第20話 ヒュドラを討つ・5『ケルベロス・2』
馬鹿に付ける薬 《気まぐれアルテミスとのんびりベロナの異世界修業》
020:ヒュドラを討つ・5『ケルベロス・2』
ちょっと 待って くれぇ
バラバラで元気のない声がした。
なにやつ!?
得物を構えた三人が振り返る……と、肩で息をして、今にもへばってしまいそうなケルベロスがよろよろと進み出てくる。
アルテミス:「なんだあ、またやろうってのか(`▢´)!?」
アルテミスが吠えると、ケルベロスはペタンと腰を落とした。かろうじて突っ張った前脚はガクガクと痙攣するように震え、とても戦える状態ではない。三つの首は、どれもフルマラソンを終えたポンコツ選手のようにゼーゼー喘いで、なんとも情けなく、戦意が無いことは明らかだった。
ベロナ:「なんだか様子がへん」
プルート:「なにか言いたいことがあるのか?」
ケルベロスの三つの頭は「……ぁ……」「……ぇ……」「そ…の…」と声は発するが息も気力も続かず、一瞬黙ったかと思うと、お座りの姿勢のまま小便を漏らしてしまう。
「おまえぇ(-▭-;)!」「てめえぇ(;'△')」「きさまらぁ(-_-;)」
言い合いになりそうだが、言葉も気力が続かず、やっと真ん中のが頭を上げてやっと語り始める。
ケルベロス真ん中:「みっともねえとこを見せちまったな、笑ってくれてもいいんだぜ」
ベロナ:「笑うだなんて、そんな……ちょっと待ってね」
ベロナがロッドをかまえる。
アルテミス:「あ、回復魔法とかダメだぞ!」
それには答えずに短く詠唱すると漏らした水溜まりが消えて、ケルベロスのお尻は紙おむつにくるまれた。
「「「あああ……(=△=;)」」」
それまででいちばん情けない溜息を漏らすケルベロス。
アルテミス:「やっちまったな」
プルート:「完全に心を折っちまったな」
ベロナ:「え、あ、まずかった(;'∀')」
ケルベロス真ん中:「いや、これで、もう一つ吹っ切れた気がしたかもな……」
左右の頭は完全にうな垂れて覇気も根気も失せ果てている。
仕方なく、真ん中が声を落としたまま語り始めた……。
☆彡 主な登場人物とあれこれ
アルテミス アーチャー 月の女神(レベル10)
ベロナ メイジ 火星の女神 生徒会長(レベル8)
プルート ソードマン 冥王星のスピリット カロンなど五つの衛星がある
カロン 野生児のような少女 冥王星の衛星
魔物たち スライム ヒュドラ ケルベロス
カグヤ アルテミスの姉
マルス ベロナの兄 軍神 農耕神
アマテラス 理事長
宮沢賢治 昴学院校長
ジョバンニ 教頭
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます