あと一人乗れますよ

「あと一人乗れますよ」


夜勤明け。早朝のバス停だ。

いちを数えるのもやっとな頭でも分かる。このバス、何かがおかしい。

乗車を断り、角を曲がっていくバスを見送りながら脳をフル回転させる。


バスは、乗客でいっぱいだった。

始発のバスにあれだけの人間が乗っているわけがない。

恐らく魔の類だろう。


「厄介なのに魅入られたな」


ため息とともに独り言ちた。


足早にバス停を離れる。

なにはともあれ、今は睡眠が優先だ。

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