30. いいからとっとと話を進めろ ~ 読者を離脱させないために

「この後からが面白いところなのに!」

 物語の途中で読者に飽きられてしまう。


 長編を書いている作者にとって、悩みの種ですね。

 読者の中途離脱を防ぐためには、読者が作品に何を求めているのかを理解するのが重要です。


 まあ、それがわかったら苦労はしないのですが……。私の足りない頭でちょっくら考えてみました。


 何が読者を飽きさせてしまうのか。

 自分が読者になった場合を思い浮かべれば、おのずと見えてきます。


 その答えは「ストーリーが進んでいるようで、まったく進んでいない」です。



◆メインプロットは常に動いていなければならない


 序盤で主人公の目的や作品のテーマなどを提示したら、できる限りペースを保ったまま突っ走りましょう。

 くれぐれも、脇道に逸れるなどして、主軸となるストーリーを長期間お留守にしてはいけません。


【悪い例】

・肉親や師のかたきなど、倒すべき敵がわかっているのに、なかなか登場しない

・主役カップルの関係が、いつまで経っても進展するちょうこうすら見えてこない

・主要キャラの正体など、謎を匂わせておいて、以後全く触れる様子がない


 こういった本流を無視して、いわゆるサブイベントにばかり浮気してると、いずれ読者から見放されしまいます。


 極論、サブイベ続きであっても、話自体が面白ければ間を持たせられるでしょう。ですが、作品自体を飽きられるリスクは常にともなうということを忘れてはいけません。


「この作品は◯◯を◯◯する物語なんだ」

 読者を期待させたら、必ず応えるのが作者としての責任です。経過報告はてき行いましょう。




◆サブプロットの役割


 あえてサブプロットを進める場合でも、後でメインプロットに合流したときのカタルシスを見据えた戦略を立てるとよいでしょう。


 出てきた当初は「誰だこいつ」「何だこれ」だったキャラやアイテムが、実はメインストーリーにおいて重要ファクターだったことが判明したりすると、テンションが上がりますよね。


 一見して脱線にしか思えないイベントを、後々の伏線として機能させる。作者の腕の見せどころです。


 ただし、再三言いますが、いつまでも読者をおあずけ状態にするのは頂けません。ワクワクが冷めてしまう前に、ご褒美(=本筋の進展)を投入するべきです。


 三人称視点であれば「一方その頃――」を活用するのも良し。

 一人称であれば、人づての情報などでもいいので、ヒロイン不在時の様子や敵の動向など、ちゃんとメインストーリーが進行している証明をすることが必要です。




◆またしても当たり前の結論


 大事な点は二つだけです。


・主人公の目的・作品のテーマ=本筋を見失わない

・サブイベントはあくまでメインストーリーを引き立てるためのもの


 とにかく、ストーリーを進めることです。どうでもいい風景描写とか、ファッションの説明をしている暇はありません。

「いいからとっとと話を進めろ」

 これに尽きます。


 言うまでもありませんが、脱線以前に「何が本筋なのかわからない」のは論外ですので、プロットから見直すべきでしょう。


 色々と語って参りましたが、上述した悪手の数々に関しては、私も少なからず身に覚えがあります。よりよい作品づくりのため、日々反省する心を忘れずにいたいものです。


 正直、毎回これを書きながら「お前が言うな」と激しく自答しております……。

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