第13話 優秀ではない能力
村の広場はいつも通りにぎやかだったが、最近はエリックの能力についての噂が飛び交っていた。カナの誕生日からしばらく経ち、エリックも同様に能力を発揮したが、村人たちはその能力に対してあまり感心していない様子だった。
「エリックの狙撃能力、あれだけじゃあまり役に立たないね」と、一人の村人がため息をついた。「大弓がないと使えないなんて、現実的じゃないわ」と別の村人が応じた。
アッシュはその会話を聞きながら、少し胸が痛んだ。彼自身も雑魚兵の力を持っており、その力を村のために活用しているが、彼の友人エリックが村人たちからそのように評価されることは心苦しかった。
エリックも、村人たちの評価を耳にして不安を感じていた。彼は広場の片隅で、自分の手のひらを見つめながらため息をついた。
「僕の能力、本当に役に立たないのかな…」エリックはぽつりと呟いた。「大弓がなければ、何の意味もない。」
その時、アッシュがエリックに近づいてきた。「エリック、ちょっと話があるんだ。」
アッシュはエリックを落ち着いた場所に連れて行き、優しく語りかけた。「エリック、君の能力は、確かに今は村人たちにとってはあまり評価されていないかもしれない。でも、それは君が本当の可能性を見出せていないだけだと思うんだ。」
エリックは不安げな目でアッシュを見た。「でも、どうやって…?」
アッシュは微笑んだ。「一緒に考えてみよう。君の能力は特別だ。それをどう活かすかは、僕たち次第だよ。例えば、大弓がなくても、君の狙撃の精度は他の形で役立つかもしれないし、訓練を重ねて別の武器でもその技術を活かせるかもしれない。そして、大弓が用意できれば、その力が役に立つし、その他にも君にはまだ知らない力があるのかもしれない。」
エリックは目を輝かせた。「そうか、僕の力をもっと練習して、もっと上手に使う方法を見つければ…」
アッシュは頷いた。「そうだよ。そして僕たちで協力して、村のために役立てる方法を見つけよう。」
エリックはその言葉に希望を見出し、前向きな気持ちを取り戻していった。彼はアッシュの提案に同意し、自分の能力をもっと良くするために努力しようと決意した。
日が暮れ、広場の灯りが夜空に輝く中、エリックは新たな目標に向けて歩き出した。彼は狙撃の技術を磨くために一心に努力し、大弓がなくても自分の力を活かせる方法を模索し始めた。そしてアッシュは、エリックを支えながら自分の雑魚兵の力を最大限に活かし、村全体の力を引き出すための方法を模索していた。
あとがき
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