第48話 テストからの解放
テスト週間が終わり、四人は学校の中庭で集まっていた。夏の陽気が心地よく、テストからの解放感が空気を軽くしている。
太郎は伸びをしながら言った。「ふう、なんとか終わったな」
美咲も柔らかな笑みを浮かべる。「うん、いつも通りの手ごたえかな」
「そういえば」太郎が美咲に向き直る。「今回は古典にも自信があるんだ。神崎、ありがとう」
美咲は少し照れた様子で答える。「いえ、私は大したことしてないよ...」
一方、花子と健太も安堵の表情を浮かべていた。
「よーし、赤点回避できた気がする!」花子が両手を挙げて喜ぶ。
健太も頷く。「ああ、俺も何とかなったと思う。勉強会開いてよかったな」
花子は急に目を輝かせる。「もうどっちにしろ終わったことだし、先を見よう!」
「先?」太郎が首を傾げる。
「そう!」花子が勢いよく言う。「まずは今週末、ショッピングセンターへ水着を買いに行くぞ!」
健太が困ったような表情を見せる。「あー、悪いけど今週末は都合が悪いんだ」
「じゃあいつにする?」太郎が意見を求める。
「えー」花子が不満そうな声を上げる。「私もう行く気なんだけど!」
健太は言った。「いや、俺水着あるし。お前らだけで買ってこいよ」
太郎は慌てて口を挟む。「おい、健太。それは...ちょっと居心地悪いから、一緒に行こうよ」
健太はニヤリと笑う。「俺がいないときはいつも両手に花だろ?」
「そ、そうじゃなくて...今回は水着...」太郎が言い訳しようとするが、健太に遮られる。
「いいから行ってこいよ。こんな行く気満々の花子にお預けくらわせたら、後が怖いぞ」
花子は満足げに頷く。「そうそう、健太わかってるじゃん」
太郎は困惑した表情で二人を見る。「おい、ちょっと待てよ...」
しかし、健太と花子の強引な押しに、太郎は徐々に押し切られていく。
美咲はその様子を少し楽しそうに眺めている。
太郎は最後の望みをかけて美咲に向かって言う。「ね、神崎。やっぱり4人で行こうよ」
しかし、花子が美咲の返事を待たずに割り込む。「ダメダメ!決まりは決まり。三人で行くの!」
美咲は少し困ったような、でも楽しそうな表情で頷く。「うん、わかった」
太郎はため息をつく。「はぁ...わかったよ」
花子は満足げに笑う。「よし、決まり!じゃあ、土曜日の午後1時に駅前集合ね」
健太は太郎の肩を叩きながら棒読みで言う。「太郎、頑張れよ。女の子二人と買い物、羨ましいぜ」
「お前なぁ...」太郎は呆れたように言う。
美咲は少し心配そうに太郎を見る。「ただの買い物だし大丈夫だよ」
太郎は苦笑いしながら答える。「そうだよね。むしろ、楽しみだ」
花子は嬉しそうにうなずく。「うんうん!太郎、その意気だよ!」
四人は笑い合いながら、これからの予定を立てていく。テストの緊張から解放され、夏の楽しい計画に胸を膨らませる。
夏の陽射しが四人を包み込む。テストという試練を乗り越え、これから始まる夏の思い出作りに、太郎の心は期待と少しの不安で揺れていた。
「じゃあ、土曜日に」太郎が言う。
花子は元気よく答える。「うん!楽しみにしてるからね!」
美咲も優しく微笑む。「土曜日、楽しみましょう」
健太は太郎の背中を軽く叩く。「太郎、男を上げてこいよ」
「おう」太郎は少し照れくさそうに答える。
四人はそれぞれの家路につく。太郎は歩きながら、これから始まる夏の冒険に思いを馳せる。水着選び、そして海。どんな思い出が待っているのだろうか。
太郎の青春は、また新たな1ページを開こうとしていた。この瞬間が、彼にとってかけがえのない時間になることは間違いない。
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