第20話 魔獣が出る林の探検。
みんなとケンカをしてしまって、何故か自分の部屋に皆を残したまま自分の部屋を出て家出中だ。
「えっと……宿をとっておいた方が良いのかなぁ?」
「宿は普段は、そんなに混んでいないので大丈夫だと思いますよ」
へぇ……詳しいんだねぇー?オドオドしていて頼り無さそうに見えて実は頼れるギャップが良いなぁ……
「街の外に出てみたいんだけど……良いかな?初めてで……えへへ……」
「え!?危ないですよ……ボク一人では……お護りできないですよ?」
え!?私を守ってくれるつもりだったの?わぁっ。うれしい!思わずスーちゃんの腕を抱きしめて一緒に歩くと、恥ずかしそうに頬を赤くさせた。
「いいのっ。危なそうなら街に帰ってこよう?そこまで遠くに行くつもりは無いしー」
街の外でキャンプって出来るかな?街の中のホテルだと見つかっちゃうかもだし。この世界の魔物や魔獣の強さとか不明でコワイけれど……見てみないと判断が出来ないしなぁ……
「分かりました。危険と判断したら街に戻りましょうね?」
「はぁーい」
街を出て街道に出ると、思ったより人通りも多く馬車もたまに通っていた。魔物や魔獣が出ると聞いていたので、もっと人通りは少なくて、護衛を連れた人たちがまばらな感じで行き来をしていると思っていた。
街道を少し歩いていくと林に通じている人が行き来をして草の生えていない道が出来ていた。多分、林に冒険者や猟師の人が行き来をしているのかな?薪を拾いにとか?
「こっちに行ってみよう?」
「そこは、さっきボクが魔石を採りに入った場所ですよ?魔獣が多く生息していますけど?」
ここまで来ていたんだ?短時間に4体以上の魔獣を倒すくらい現れるって事だよね?今回は、魔石の回収はしなくて良いから、魔物や魔獣を見てみたい!それに……討伐てやつを見てみたい!ドキドキだなぁ……
「魔獣を見てみたいし、討伐ってどんな感じなのかなーって興味があってさ……良いかなぁ?」
「それって……ボクに拒否権はあるのですか……?」
「なーいっ♪一緒に行こ?ね?」
「……ミサ様も闘ってくださいよ……大丈夫ですか?」
「うん。大丈夫……だと思う……初めてで分からないけれど」
そんな会話をしていると林の入口に入っていた。道沿いに歩いていると大型犬の様な魔獣が現れ数体の気配を感じて囲まれていた。
「わぁっ。あれが魔獣?」
「はい。魔獣ですね……数体の気配を感じます。逃げますか?」
「えっと……ムリじゃないかな……囲まれているし」
「え!?そこまで……正確に気配を感じられるのですか!?」
スーちゃんまでリアクションが大げさじゃない?魔石の魔力を一度理解しちゃえば違いが分かるってばー。それに魔獣と獣の気配の違いも感じられるようになったし。
魔獣に向かって指を差して構えた。
「……えいっ」
パシュッ! パシュッ! パシュッ!
「倒せたかな?」
魔獣に少量の魔力弾を頭を目掛けて放ち、正確に全弾命中し魔獣が地面に横たわった。
「は、はい……討伐出来ています……。この魔獣は、結構厄介な魔獣で、冒険者の方ですと中級クラスでやっと倒せる魔獣ですよ。本当に魔獣の討伐は初めてなのですか?」
スーちゃんに疑いの目で見られて、ちょっとショックー。でも、ホッとした表情をしていた。中級クラスの冒険者でやっと倒せる魔獣に囲まれてたんだし怖かっただろうなー
「ボクは、せっかくなので解体をして魔石の回収をしちゃいますね」
「えー解体するの……?」
「売ればお金になるので……」
「手が汚れちゃうよー?気持ち悪くないのぉ?」
「ウォーターの魔法がありますし……大丈夫です」
はぁ。あの犬みたいなヤツを切り裂くんでしょ?嫌だぁ……見たくないよぉ……
そうだ……魔石のイメージは出来ているし……。8体の魔獣の中にある魔石を眼の前に集めるイメージをした。
ゴトッ! ゴトッ! ゴトッ!と目の前の地面に魔石が現れた。あはは……何でもありだねぇ……まさか本当に集められるとはね?これ私が作り出した物じゃないよね?集めた物かな?どっちだろう……
そうとは知らずに魔獣のお腹を切り裂き、腹に手を入れて首を傾げていた。
「スーちゃん、探し物はこれ?」
魔石を見せると驚いていた。
「え?そうだけど……ミサ様がなんで持っているのですか?え?その魔石は?」
「えっとー魔法で回収しちゃった!」
「そんな事が出来るなら……先に教えてくださいよー」
「スーちゃん、言ったでしょ?私、今回が初めての討伐だってー!自分が何が出来るのか分からないんですけど!」
「……そうでした」
気不味そうに返事をして、血だらけの手をモジモジと動かしていた。
「スーちゃん、手を出して」
「う、うん……はい……汚いけど……」
スーちゃんの手と制服をキレイに洗浄するイメージを擦ると汚れが霧散してキラキラと光り、手と制服がキレイになってオマケでいい匂いも付けておいた。
「わっ……キレイで……いい匂い。ありがとうございます」
「そろそろさぁ。2人でいる時は敬語は無しにしない?」
「……う、うん。良いのかなぁ?」
「友達でしょー!?良いじゃん!」
いつも通り無言で頷き、可愛い微笑みを返され青いショートヘアーの髪の毛がキラキラと光っていた。うわぁ……可愛い……♪
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