「詩集 永劫」(令和1年~)
舞原 帝
29.唐変木
これまで やってきた事 やってこなかった事 どちらも山程ある
のに どうしてだろう 圧倒的に後者がチラつく そんな現在只今
先の事など考えず なら当然 後の事も慮らず 喜怒哀楽に身を寄せ――
るだけ寄せ 「人」を取り繕っては 不自然なまでに「間」に割り込む
そうして どこからともなく聴こえてくる苦情の嵐 一身に受け――
流しまして へらへらと でもつらつらと 書き足してゆくは 言葉どおり言葉 なので御座います・・・
「さぁ!さぁ!寄ってらっしゃい観てらっしゃい、ここに御座しますは只の人。
創られた世で、造られた物を纏い、作られた命を食うだけの、ワタクシという名の人。
何も生んだ例は御座いません。何か遺した形跡も御座いません。あるのは存在それのみ。
しかし、その価値は如何ほどかと申せばないに等しい。よってタダ同然。
命に値など付けられぬとは申せど、そこはむしろ付けてやっとの「タダ」という有様」――
押し並べて 見解も感想も偏ってばかりな唐変木 を背に伝わってくるは 空虚な齢 何十年
すくすくと そうすくすくと ただ育ってきただけの木
(伐り倒されても文句は言えない。
薪として焚べられたならそれを本望としなければ。
もしくはいつかは朽ちるその刻まで成らない実が成るのを待つべきか)
そんな 聴こえもしない声たちに耳を傾けていると 『クサらず大成』がいつしか座右の銘となっていた
こんな 頓狂な話を真に受ける奴などそうはいないと 高を括り 鼻で笑い 挙句「くだらない」と呟く
のは 大方 どこの馬の骨とも分からぬ賢人に違いない
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