第17話 島村の賭け

○アパート

  島村が、紙袋に入った二千万円ほどの札束を差し出す。

桂子「あの土地で、こんな沢山のお金にならない」

  桂子は、不安そうに言う。


  柿の木 インサートカット


島村「借りたんだ。この金を元手に増やして、借りた金は、不動産屋に返すのさ」

  上機嫌の島村。

桂子「このお金は、すぐに返して!」

  桂子が、堪りかねて言うと、

島村「うるせえなぁ! どうしようと俺の勝手だからなっ」

  島村は、紙袋を引ったくるように持ち去り、アパートを出て行く。

  桂子は、両手で顔を抑えて泣く。


○島村と射場興行の土地売買の様子

  島村は、謝罪口調で、力無く。

島村ナラタージュ「俺は、柿の木の土地と周辺の空き地の土地所有者になりすまし、

         射場興行に話を持ちかけた。

         俺は、騙し取った金で競馬競輪競艇にのめり込み、

         すべてを使い果たした」


○不動産屋から返金を催促される島村

  島村は、ただただ、頭を下げている。

  挙句の果ては、土下座している。


○アパート内 深夜

  桂子と健次が、布団の中で寝ている。

  正恵は、自分の部屋のベッドで寝ている。

  薄暗い中で台所のガス栓をひねる島村。

  島村は、放心状態でライターを目の前で点ける。

  物凄い爆発。


○アパート全景 深夜

  アパートは、爆発後、火の手が上がる。


  海岸で波と戯れる正恵がオーバーラップ


○夏の海岸

  波と戯れる正恵、赤い水着を着て、はしゃいでいる。

正恵「お兄ちゃん、おいでよ! 気持ちいい!」


  柿の木の土地へオーバーラップ


○柿の木と正恵と洋子

  柿の木を背景に、正恵の暗く沈んだ顔が、洋子の明るい笑顔に変わっていく。

洋子「公ちゃん、公ちゃん…」

  洋子の声が、遠くで聞こえている。


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