第22話 レミュの試練

ユウキは 闘技場の真ん中に立ち 大きく深呼吸をする

レミュ

「そんなに 緊張しなくていいさ さて ユウキ 確認したいんだが あんたの体力はいくつだい?」

ユウキ

「は?さっきも言ったけど… もう一度ですか?…ん…えっと…うん やっぱり 変わってませんよ?…9999のままです」

レミュ

「聞いたかい アモン?これで 少しは確信が持てたんじゃないかい?」

アモン

「!!!……嘘だろ…ほんとに9999のままなのか?ユウキ!」

ユウキ

「???あ…ああ…」

アモンが 取り乱して驚いたことに ユウキには 理解が出来なかった

レミュ

「凄いよあんた 何が凄いかさっぱりわかんない顔だね あたいが あんたの肩を叩いた時があったろ? 覚えてるかい?」

ユウキ

「え?…あ…たしか…この闘技場に向かってる時に…」

レミュ

「そうさ その時にあんたに こっそり猛毒の状態異常の魔法をかけたのさ そして 今でも猛毒は進行している なのに あんたのHPはひとつも減っちゃいない 状態異常というのは かけられたら 本来すぐに気付く なのにあんたは状態異常にかかった事に全く気づいていない じゃあなんで 気付かなかったのか? 気付かなかった理由は2つ その状態異常が無効 もしくは かかっていてもなんの影響もないってこと あんたの場合は…後者だ」

ユウキ

「?俺には 猛毒は意味がないってこと? よくわかりません…」

レミュ

「猛毒にかかっているのに 意味がない… そこから導かれる答えも…2つ あんたが無尽蔵のHPの持ち主か 自然治癒力が猛毒のダメージを上回っているか どっちかだ」

ユウキ

「…全然 気付かなかった…俺…いつのまにか猛毒になってたのか…もしかして…これも 試練だったんですか?」

レミュ

「試練は2つ 1つ目の試練は合格 な?簡単だろ?さて もう1つの試練は あんたのHPの解明につながる試練だ」

ユウキ

「俺のHPの解明?」

レミュ

「そうだ あんたのHPは 無尽蔵のHPの持ち主か?それとも どんなにダメージを受けてもすぐに回復してしまう自然治癒能力者か この試練でわかる」

ユウキ

「???そんなの どうやって分かるんでしょう?」

レミュ

「簡単さ 一撃で9999を超えるダメージを受けりゃいいだけさ もし自然治癒能力なら それで おしまい あんたは消滅しちまうって事」

その言葉を発した瞬間 闘技場に上がりながら 怒鳴り声を上げた人物がいた

ヒデオ

「ふ…ふざけるな! そんな事!俺が許さない!ユウキ!こっちにこい!闘技場から降りるんだ!」

レミュ

「ん?誰だい?あんた?」

ヒデオ

「俺は ユウキの父親だ!こんなこと 俺は許さない!ユウキ!速くこっちにくるんだ!」

ユウキ

「父さん!ちょっと待ってくれ レミュさん 1つ聞いていいですか?」

レミュ

「なんだい?」

ユウキ

「その…レミュさんは どう思っていらっしゃるんでしょうか?」

レミュ

「そうだね…あたいの予想は 表示しきれない程のHPがあると ふんでいるよ」

ユウキ

「そうですか…わかりました その試練受けます」

ヒデオ

「ユウキ!!」

ユウキ

「心配してくれてありがとう でも 大丈夫だ 父さん だけど…もしものことがあったら サヤカをお願い」

ヒデオ

「……だ…駄目だ…ユウキ…」

ヒトミ

「…あなた もう何を言っても無理よ ユウキはあなたの息子よ あなたと同じで頑固者…一度言い出したら もう下がらないわ…」

ヒデオ

「し…しかし 母さん!」

ヒトミ

「…じゃあ聞くけど あなた あの子と逆の立場だったら どうするの?」

ヒデオ

「うっ…」

ヒトミ

「……そういうことよ…ヒデオさん…私たちの息子を信じましょう…」

ヒトミに説得され ヒデオは闘技場から降り ユウキを見守る

レミュ

「……いいのかい?前にも言ったように 無理にしろなんて 言わないよ?」

ユウキ

「…ここまできて 下がれないさ…」

レミュ

「…いい覚悟だ 気に入ったよ もし 消滅しても あんたの大事な人たちは あたいが責任を持つ 安心しな さて ユウキの体力を一撃で 削れる適任者は…誰にするかな…えっと…誰かいないかい?」

一時の静寂の中 一人の人物が名乗りを上げる

アモン

「………オレが…しよう…」

アモンは ゆっくりと闘技場にあがる…

カイ

「へー…アモン様か…こういう場合は 大体 シャースの旦那が名乗りを上げるもんだと 思ってたけど…珍しい事もあるもんだね」

カイは 闘技場の上空で 独り言のように呟く

ユウキ

「……アモン…」

アモンは 冷徹な顔でユウキを見た後 ニカッとユウキに笑って見せた

アモン

「まあ…なんだ その…あれだ オレがしっかり引導を渡してやるさ!」

ユウキは その言葉を聞いて ユウキもアモンに向かってニカッと笑う

ユウキ

「いっとくが 俺は消滅する気なんて サラサラないからな! でも 手はぬくなよ!……いや…ぬいてもいいけど…」

アモンは両手を後ろに下げ 力を溜める

アモン

「ぬかねぇよ!…見事耐えて見せろユウキ!この技で消滅しなきゃ お前を 誰もが認めるだろう それでいいな!各王よ!!」

レミュ

「ま…まさか あれをやる気かい!?ま…まずいね…カイ!防御壁を二重…いや三重に闘技場を覆うんだ!」

カイ

「え…ええーっ…闘技場を三重!?わ…わかりましたよ…一体何が始まろうっていうんですか…」

レミュ

「…第2の塔が陥落したとき 当時 全軍を指揮していた正一位天使長を一撃で仕留めた アモンの持ってる最大の技だよ…」

カイ

「うわ…ホントですか!?僕が出来る最大の防御壁を発動しとかなきゃ…」

カイが魔法を発動すると 六角形状の青白い透明な壁が 闘技場全体を覆う

サヤカ

「………あれ?」

ふと 気付くと サヤカの周りには 別にシャボン玉の中のような膜が形成されていた

カイ

「お嬢さんは あの子の大事な人なんだよね? 君になにかあったら 僕はあの子に顔向けできなくなっちゃうからね その防御壁まで 突破されることはないと思うよ」

サヤカ

「カ…カイさん…」

アモン

「そんなヘマはしねぇよ……だが…カイありがとよ さて ユウキ…じゃあ 行くぜ!」

ユウキ

「ああ!」

ユウキの返答に対し アモンは笑顔を見せた後 両手を前に出し 赤黒いエネルギー破が ユウキに向かって放たれた

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