第34話 屋台のサカキ開店です!
気合いの入った坂木家が動き出したら早い早い。
まずは防衛で父さんが拠点を囲うように半径10km地点にサクッと防護壁を作り、俺が[物理/魔法防御]と[透明化]の付与をかけたんだ。
見えない壁ってやってみたかったんだよなぁ。因みに入り口は作らないぞ。中からは魔導キックボードか転移フラフープで出入りするように決めたんだ。
で、爺ちゃんと母さんと凛は拠点内の魔獣狩りを開始。
「凛ちゃーん、お義父さーん、そろそろお昼よぉー」
「はーい!」「あいよ」
凛と爺ちゃんが魔獣を狩っている間に、木の下で敷き物を敷いてバスケットを取り出す母さん。
「遥さんや……その後ろの蛇はどうした?」
「繁さんには内緒にして下さいね?お肉がとっても美味しかったから仕留めてみたんです」
「うわぁ!お母さん凄ーい!」
「凛ちゃんとお義父さんも凄いわよぉ〜?嬉しいわぁ、またローストボアが作れるわねぇ」
「お、遥さん。角煮も作ってくれないか?」
「勿論、良いですよ。はい、お義父さん裏巻きどうぞ」
「おお!納豆裏巻きか!イカがあれば尚良いな!」
「お母さん、サラダ巻き美味しい!」
……いや、良いんだけど。一応言っておくぞ?ここ魔獣まだいるゾーンなんだよ。
だけど、出て来た途端に母さんに部位ごとにバラされるから、逆に魔物が母さん達を避けるという現象が起こりつつあるんだ。
で、逆に母さんに目をつけられた魔獣がいてさ。
「あ、お義父さん!ちょっと待って下さいね!」
味噌汁をカップに注ぐ母さんの手が上に伸ばされたかと思ったら、ズズズン……!と隣に落ちて来たこの魔物。
「きゃあ〜!嬉しいわぁ!そろそろ無くなりそうだったのよ〜!」
綺麗に臓物が抜かれて、三枚おろしにされた魔物はフライングキングサーモンという魔物。
まあ、空飛ぶデカい鮭だな。アレ見つけた時の母さんの喜ぶ声ったらなかったよなぁ……とちょっと遠い目をしてしまった程だ。
「鮭があると、便利よね〜」
なんて言う母さんだけど、本来はこんな簡単に獲れる魔物じゃないからな!母さんが食材に認定された魔物限定なんだ。
とまあ、のんびりピクニック気分の三人は置いといて。
一方、拠点の周りではカンカンカンッガッ!という音が響いているんだけど……
「ゼファ、鈍っただろ?」
「馬鹿野郎!生きて行くだけで精一杯だったっての!」
どうやらゼファさんとディグレンさんが軽口を言いながら打ち合っている様子。
その周りでは、スワイ君がヤレンさんを背中に座らせて腕立て伏せをしているみたいだな。
すげえ、それが出来るからあの身体かぁ……!と最初に見た時は感心したもんだ。
こんな風に最近はディグレンさんやヤレンさんが、ゼファさんやスワイ君の鍛錬と指導をしているんだ。ジャンさんは周りを警戒しつつ、護衛中って感じ。
みんな俺達坂木家を守る為に頑張ってくれているんだぜ?ありがたいよなぁ。
坂木家は強いとはいえ、それは魔物相手だからであって……対人はてんで駄目だからな。
屋台を開店させる為にも、ゼファさんやスワイ君にも護衛して貰わないと、うちの屋台絶対目をつけられるだろうし。
あ、そうそう!屋台で何出すか決まったのか?って思うだろ?
結構意見が出たんだけどさ、定番のハンバーガーセットに落ち着いたんだ。材料さえ揃えば、簡単だからな!
でもさ、ハンバーガーでも種類あるだろ?
俺の好きなダブル照り焼きバーガーも、凛の好きな竜田上げバーガーや爺ちゃんが食べられる白身フライバーガー、父さんが好きな厚切りベーコンバーガーも全部やっちゃえ!って事にしてるんだ。
材料費はほぼかからないからな、ウチ。女性陣の手助けもあるし、父さんもイケルだろって判断をしたし!
その女性陣であるケイトさん、マーチさん、ナラちゃんは、ケイトさん監修の下現在屋台のユニフォームを作成中。
ってもTシャツだけどさ。お揃いの服装だとより良いんじゃね?って言う俺の案が通ったんだ。
なんつーか学園祭の準備みたいで楽しんでしまったけど、こんな感じで三日くらいで屋台の準備は完了。
で、爆走改良型バイクでかっ飛ばした爺ちゃんと父さんに、ロックシュリーの近くの林で魔導フラフープを設置してもらって、転移で合流した俺達。
一応、ジャンさんとケイトさんとトーニャ、ついでに源は拠点で待機してもらっている。ちゃんともう片方の転移フラフープ設置してきたからいつでも合流出来るからな。
で、また街へ入り商業ギルドで魔石換金と場所代を払って……
やってきました!スラム街近くの広場!
ジュージューと焼けるハンバーグ、ジュワアアアッと油の中で踊るポテト、そしてグツグツ煮えるガラスープの美味そうな匂いが漂う屋台サカキ。
「おう!新参者は古参屋台に貢げ!」
……既に何回目だろうなぁ。カツアゲに遭っています。
「あー、お客様じゃなければお引き取り下さい」
俺の言葉で出て来たディグレンさんとヤレンさんはカッチリ装備した上で氷炎剣と雷豪剣に魔力を流し、素早い動きで喉元にナイフを突きつけるゼファさんとスワイ君のおかげで無事撃退。
「ったく参るよなぁ……治安悪いにも程があるぜ」
パンにハンバーグを挟みながら呟く俺と隣で作業しながら頷く凛。
あ、でもちゃーんと商売もできてるぞ?だって、ハンバーガーはセレクト出来るし、セットに付くポテトとスープは揚げたて熱々でなんと5銅貨(500円)という激安だからな!
さっきから接客に当たっている爺ちゃんや父さんが大忙しさ!母さん達もしっかり保護魔導具つけているし、安心して調理出来ているしな。
因みに、ゼファさんやスワイ君マーチさんやナラちゃんは、綺麗な服きているし風呂に入って綺麗になっているしって事で、スラムの元住民とは思われてない感じだな。
ディグレンさんもヤレンさんも、周囲の人達にはウチの家族に雇われている獣人って認識なんだろう。特に獣人だからとからまれずに済んでいるんだ。
そして、そうやっている内にやっと目的のカツアゲが来てくれたんだ。
「おい、ここの店はデーヴィに挨拶は済んでいるのか?」
やって来たのは、ただのチンピラとは違う中堅クラスのスラムメンバーだろうな。ちょっと落ち着いた雰囲気を持つ30代くらいの男性がいる五人組だったんだ。
目でゼファさんに確認したら頷いていたって事は、幹部クラスだ!おっし!此処はしっかりおもてなしだな!
「新参者でして……まだご挨拶に伺っておりません。後ほど伺わせて頂きますが、まずはお一ついかがですか?」
父さんが丁寧に対応し、後ろにいる部下のみなさんにもハンバーガーを手渡しして行く。
「どうぞ、是非ご贔屓に」「どーぞー!」
爺ちゃんもスープを渡し、俺も揚げたてポテトを渡して行くと……まあ、遠慮なく食べるわ食べるわ。
この幹部達を接待している間は、お客が寄って来なかったから助かったけどさ。欠食児童かよってぐらい五人共ガツガツ食ってたな。
ようやく満足したのは全種類を食べ切ってからで、しっかりお土産分まで催促し「デーヴィに伝えておく」って言って金も払わずに帰って行くんだぜ?
これ毎回やられたらそりゃキツいよなあ……と思いつつも、俺達からするとしてやったりなんだ。
土産に渡したのには、母さん特製角煮バーガーやローストボアバーガーや極上赤ワインが入っていたからな!
これでおそらく俺達が挨拶に行った時にデーヴィ本人が顔を出す筈!
まあ、ちょっと勿体無いって思ったけどさ。今後の為に今だけは我慢、我慢!
だけど、その後は本当に普通に商売が出来たんだよ。だから、スラムの取り締まり役の存在ってデカいよなぁ。
なんて感心しつつもただ搾取されるつもりは無い俺達。
店仕舞いをしていたらわざわざ迎えが来たし、いっちょご挨拶に行かせてもらおうか!って気合い入ったね。
俺達坂木家は理不尽は大っ嫌いだからな!待ってろ、デーヴィ!
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読んで下さってありがとうございます!
次回更新は10/27予定でしたが、10/30に変更します🙇🏻♂️
ご迷惑をお掛けします💦
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