第3話 ショック

 廊下での銃撃戦が終わり、静寂が戻った旅館。田村誠一が勝利を確信して振り返った瞬間、彼の視線は紫藤に向けられた。


 紫藤はスマートフォンを手にしており、その画面には「ブラック企業QUEST」と書かれたゲームが映っていた。この位置情報ゲームで、プレイヤーはブラック企業を特定し、情報を集めて主催者に報告することが目的だった。紫藤はこのゲームに熱中していたが、ゲームは現実と交錯し始めていた。


 **ブラック企業QUEST**のルールは、プレイヤーがブラック企業の人事部に配属された社員となり、さまざまな課題や状況に対応しながら生き残ることを目指すゲームです。以下はそのルールの概要です。


### ゲームの目的


プレイヤーはブラック企業の社員となり、与えられた課題や状況をクリアし、ゲーム終了時に最も多くの生存ポイントを獲得することを目指します。


### ゲームの準備


1. **プレイヤーキャラクターの作成**: 各プレイヤーはキャラクターシートを作成し、キャラクターの職種や能力を決定します。職種には様々な部門(営業、人事、経理など)があり、それぞれの職種に応じた特殊な能力やスキルがあります。


2. **ゲームボードのセットアップ**: ゲームボードには会社のオフィスや部門、会議室などが描かれています。これらの場所には特定のイベントや課題が隠されています。


3. **イベントカードの準備**: ゲームにはランダムで発生するイベントカードが用意されており、これには課題やトラブルが記載されています。


### ゲームの進行


1. **ターンの進行**: ゲームはターン制で進行します。各ターンの初めに、プレイヤーは移動やアクションを決定し、与えられた課題に対処します。


2. **課題の対処**: プレイヤーはイベントカードやシナリオに基づく課題に直面します。これらの課題には、業務のトラブル、クレーム対応、上司からの指示などがあります。課題には成功するための条件や制限があり、成功するとポイントが獲得できますが、失敗するとペナルティが発生します。


3. **社内の人間関係**: 他のプレイヤーと協力したり、時には競争したりすることもあります。社内の人間関係がゲームの進行に影響を与えるため、交渉や駆け引きが重要です。


4. **ストレス管理**: プレイヤーはストレスを管理する必要があります。ストレスが溜まると、パフォーマンスが低下し、ペナルティを受ける可能性があります。


### 勝利条件


ゲーム終了時(例えば、全ての課題が解決された時、または指定されたターン数が経過した時)、最も多くの生存ポイントを獲得したプレイヤーが勝者となります。生存ポイントは、課題の成功、社内での評価、ストレス管理の達成度などによって決まります。


このように、ブラック企業QUESTは、プレイヤーが企業内のさまざまな課題に対応しながら生き残るための戦略やスキルを試すゲームです。


「お前もこんなところにいるのか、紫藤?」

 田村は苛立ちながら尋ねた。

「うん、でも君の相手をするつもりはない。俺は別の目的でここに来たんだ」紫藤は冷静に答え、スマートフォンの画面を見つめ続けた。


 その時、廊下の向こうから足音が聞こえ、矢野祥子が現れた。彼女の正体は詐欺師で、田村と山田の過去を知っていた。

「やっと会えたわね、田村。あなたの終わりが見えるわ」矢野は微笑みながら近づいてきた。

 田村は再び銃を構えた。「お前も俺を追ってきたのか。何が目的だ?」

「私を殺せば、蒲郡市内のブラック企業を教えてもらえる約束があるのよ。成宮がそう言ってたわ」

 矢野は挑発的に言った。


 田村は一瞬、矢野の言葉に惑わされた。しかし、その隙を見逃さず、紫藤が動いた。彼はスマートフォンの画面に何かを入力し、矢野に向けて叫んだ。「今だ!」


 矢野は紫藤の合図に反応し、素早く田村の腕を掴んで銃を奪い取った。田村は驚愕の表情を浮かべたまま、矢野の行動に対処することができなかった。


「これで終わりね、田村」

 矢野は冷たく言い放ち、田村を無力化した。


 その後、紫藤は矢野に近づき、スマートフォンを見せた。「成宮に連絡して、約束を果たしてもらおう」


 矢野は頷き、成宮に連絡を取った。「約束通り、田村を始末したわ。さあ、ブラック企業の情報を教えて」


 成宮の声がスマートフォンから聞こえた。「よくやった、矢野。約束通り、蒲郡市内のブラック企業の情報を送る」


 紫藤と矢野は情報を受け取り、次の行動に移る準備を始めた。田村が倒れた廊下には、まだ銃撃戦の痕跡が残っていたが、二人の心には新たな目標が刻まれていた。


 #### **銃撃戦の余波**

 銃撃戦が収束し、葛城烈と美咲はほかの参加者たちとともに現場を調べていた。紫藤涼の遺体が外庭で発見された後、参加者たちは衝撃を受け、緊張が一層高まった。


**烈:**「これはただのデスゲームじゃない。ただのサバイバルじゃなく、誰かが俺たちを標的にしている」


**美咲:**「ええ、でもどうして紫藤さんが最初に狙われたのかしら?」


**烈:**「彼は弁護士で、冷静な判断力を持っていた。そんな彼が最初のターゲットになったのは、敵が一番厄介な相手を排除しようとしたからかもしれない」


**橙山敦:**「これからどうする?私たちは何か武器を見つける必要がある」


**烈:**「そうだな。まずは旅館内を探してみよう。何か役に立つものがあるはずだ」


### **武器探し**


 参加者たちは手分けして旅館内を探し始めた。烈と美咲はクローゼットを開けたり、古い家具の中を調べたりしながら、使えるものを見つけようとした。


**烈:**「クレイモア地雷があったらいいんだが、こんなところにあるわけないか」


**美咲:**「そうね。でも、クローゼットの中に何か隠されているかもしれないわ」


 クローゼットを開けると、そこには古い剣が一本隠されていた。使い古されているが、まだ使えそうだ。


**烈:**「これだ。少なくともこれで自衛はできる」


**美咲:**「他にも何か見つかるかもしれないから、他の部屋も探してみましょう」


### **別の参加者の発見**


 一方、他の部屋を調べていた参加者の一人、桃井梨沙が驚くべきものを見つけた。彼女は畦道のように狭い廊下の先にある部屋に入ると、床屋の椅子が置かれている不自然な部屋に辿り着いた。


**梨沙:**「この部屋は何だろう…。床屋の椅子なんて、旅館には似つかわしくないけど」


 椅子の後ろにはクローゼットがあり、その中には手製の武器がいくつか隠されていた。ナイフや鉄パイプなど、即席の武器として使えるものだ。


 参加者たちが集まり、見つけた武器を共有した。


**橙山敦:**「見つけたものはこれだけか…。俺はまだ贅肉で腹がいっぱいなんだが、これじゃ戦えない」


**烈:**「それでも何もしないよりはマシだ。焼き肉用の鉄板も見つけた。これを盾代わりに使えないか?」


**美咲:**「そのアイディアはいいわ。みんなで協力して、少しでも安全を確保しましょう」


### **クライマックスへの伏線**


探索を続ける中で、参加者たちは次第に不安と疑念を募らせていく。烈と美咲は、敵が仕掛けたクローン兵の存在に気付き始める。紫藤涼の死がただの始まりであり、彼らを待ち受けるさらなる試練の前兆であることを理解する。


このデスゲームから生き延びるために、参加者たちは一丸となって戦う決意を固める。紫藤涼の死を無駄にしないために、彼らは真の敵を見つけ出し、打ち破る覚悟を決めるのだった。


### **最初の犠牲者**


**名前:** 紫藤 涼


**プロフィール:**

- **職業:** 弁護士

- **特徴:** 論理的で正義感が強く、冷静な判断力を持つ。法廷での経験が豊富で、周囲の状況を客観的に分析する能力が高い。

- **性格:** しっかり者で、自分の意見に自信を持っているが、他人の意見にも耳を傾ける柔軟さも持つ。


#### **犠牲者の状況**


**発見場所:** 旅館の外庭


**死因:** 銃撃による致命傷


**詳細:**

紫藤涼は銃撃戦の中、旅館の外庭で戦闘に巻き込まれた。彼は冷静に戦局を分析しようとしていたが、敵の奇襲により不意を突かれた。彼の身体には複数の銃弾が命中しており、戦闘の混乱の中で動けなくなった。最終的には致命傷を負い、その場で息絶えた。

 紫藤の標的は **矢野 祥子**だった。

- **職業**: 科学小説作家

- **特徴**: 科学知識と創作力を兼ね備えた作家。

- **背景**: 科学に基づいたエンターテイメント作品を執筆する作家。

 


**発見の経緯:**

 銃撃戦が収束した後、参加者たちが外庭を調べていると、紫藤涼の遺体が発見された。彼の死は、デスゲームの激化と参加者間の対立を象徴するものであり、残りの参加者たちにとって深刻な警告となる。


**影響:**

 紫藤涼の死は、他の参加者たちに大きなショックを与え、緊張感をさらに高める。彼の死が、今後のデスゲームにおける戦術や参加者たちの動きに影響を与えることは間違いない。


 この設定で、最初の犠牲者がデスゲームの緊迫感と参加者間の対立を深める重要な役割を果たします。


 

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