[総ルビ]留学生は同棲JKエルフちゃん

第35話 エルフちゃんとクリスマス

■第（だい）３５話（わ）　エルフちゃんとクリスマス

　もうすぐクリスマスだ。

　今年（ことし）はちょっと奮発（ふんぱつ）してクリスマスツリーを新調（しんちょう）した。

　前（まえ）は小（ちい）さいころのもので三十（さんじゅっ）センチくらいの小（ちい）さいのだったが、これは一（いち）メートルくらいある。

「えへへ、お兄（にい）ちゃんとクリスマス祝（しゅく）えるなんてねぇ」

「だよなぁ、今（いま）までだったら考（かんが）えもしなかった」

　今（いま）までなら妹（いもうと）を一人（ひとり）病院（びょういん）に置（お）いてとてもクリスマスなんて気分（きぶん）ではなかった。

　でもエルフのララちゃんの魔法（まほう）のおかげで回復（かいふく）、無事（ぶじ）退院（たいいん）したからには、こりゃイエス様（さま）にも感謝（かんしゃ）を申（もう）し上（あ）げる。

　本当（ほんとう）は羊飼（ひつじか）いが山（やま）に行（い）く季節（きせつ）なので少（すく）なくとも冬（ふゆ）生（う）まれではない、みたいな話（はなし）も聞（き）いたことがある。

　ということで正確（せいかく）には冬至（とうじ）やイエス様（さま）の誕生（たんじょう）を祝（いわ）う日（ひ）であって誕生（たんじょう）日（び）ではないらしい。

「ツリーの飾（かざ）りつけ頑張（がんば）っちゃうね」

「おう、頼（たの）んだ」

　こうしてニコニコのララちゃんとハルカとエリカの三人（さんにん）でツリーの飾（かざ）りつけをやってもらった。

　俺（おれ）は見（み）てる係（かかり）。

　銀色（ぎんいろ）に輝（かがや）くよく分（わ）からん丸（まる）い飾（かざ）りとかをつける。

　あとは靴下（くつした）、ミニサンタ人形（にんぎょう）とかもある。

　お茶（ちゃ）を淹（い）れたりするのが俺（おれ）の仕事（しごと）だ。

「プレゼント貰（もら）えるといいね」

「ああ」

　そういえば父親（ちちおや）はいないのでプレゼントをくれる人（ひと）がない。

「病院（びょういん）はどうだったの？」

「あのね、お菓子（かし）とか貰（もら）ってた」

「そういえばそうだったな」

　入院（にゅういん）中（ちゅう）もナースさんたちのご厚意（こうい）でプレゼントなどがあったそうな。

　別（べつ）に検査（けんさ）しても悪（わる）いところがないので食（た）べ物（もの）を貰（もら）っても問題（もんだい）なかった。

　俺（おれ）がサンタをやってもいいが。

「クリスマスは楽（たの）しみにしててよね。お兄（にい）ちゃんっ」

「お、おう」

　なぜか妹（いもうと）にぐいぐいと迫（せま）られて言（い）われたので、なにかサプライズがあるのだろう。

　碌（ろく）なことがないのでちょっと心配（しんぱい）だが中高生（ちゅうこうせい）にできることなんてたかが知（し）れているから大丈夫（だいじょうぶ）だろう。だといいな、希望的（きぼうてき）観測（かんそく）、うん。

　メリークリスマス！

　十二月（じゅうにがつ）二十（にじゅう）四日（よっか）。今日（きょう）はクリスマスイブ。

　両親（りょうしん）は年末（ねんまつ）に帰（かえ）ってくる予定（よてい）だ。

「クリスマスイブだよ、お兄（にい）ちゃん、おめでとう」

「おお、ハッピークリスマス」

　いえいっと掛（か）け声（ごえ）をかけてハイタッチする。

　だいぶ妹（いもうと）も元気（げんき）になった。本当（ほんとう）にちょっとでも動（うご）くと咳（せ）き込（こ）んでいたのが嘘（うそ）みたいな回復力（かいふくりょく）だった。

　黒髪（くろかみ）ロングが美（うつく）しい。まるで清楚（せいそ）なお嬢様（じょうさま）だ。病院（びょういん）にいた関係（かんけい）で美容院（びよういん）にもいけず伸（の）ばしているままだったという理由（りゆう）が主（おも）だけど、それのおかげで茶色（ちゃいろ）に染（そ）める機会（きかい）もなく、長（なが）く伸（の）ばすしか選択肢（せんたくし）がなくて、黒髪（くろかみ）ロングの女（おんな）の子（こ）の完成（かんせい）だ。

　せっかくだからそのまま清楚（せいそ）系（けい）でいてほしい。

　ギャルとかになったらお兄（にい）ちゃんは泣（な）いてしまう。

「お昼（ひる）は牛丼（ぎゅうどん）」

「やった」

　これは近所（きんじょ）から少（すこ）し歩（ある）いた先（さき）の国道（こくどう）にある牛丼（ぎゅうどん）チェーン店（てん）のものだ。

　牛丼（ぎゅうどん）並（な）み盛（も）りを三（みっ）つ、普通（ふつう）に買（か）ってきた。お味噌汁（みそしる）もある。

　もぐもぐ、とみんなで食（た）べる。

「これが牛丼（ぎゅうどん）ですかぁ」

「うん、そういえばここ半年（はんとし）、出（だ）したことなかったっけ」

「そうですねぇ」

　ララちゃんも長（なが）く住（す）んでいるが、そっか今回（こんかい）が初（はじ）めてだったか。

　まだまだ食（た）べたことがない料理（りょうり）はいっぱいあるな、そういえば。

　そして夜（よる）になる。

　夜（よる）ご飯（はん）はうちでは唐揚（からあ）げだ。悩（なや）みに悩（なや）んだ末（すえ）、以前（いぜん）両親（りょうしん）もいたころの風習（ふうしゅう）をそのまま継続（けいぞく）することにした。

「はい唐揚（からあ）げでーす」

「やった」

「うれしいですぅ」

「それから飲（の）み物（もの）はシャンメリー」

「「わーい」」

　みんなで唐揚（からあ）げご飯（はん）を食（た）べる。唐揚（からあ）げに白米（はくまい）が美味（うま）い。

　学食（がくしょく）のものも美味（おい）しかったが、醤油（しょうゆ）が効（き）いている我（わ）が家（や）の唐揚（からあ）げもなかなか美味（おい）しい。自画（じが）自賛（じさん）。

　しゅわしゅわするシャンメリーもこの時期（じき）ならではだ。

「美味（おい）しいですぅ」

「美味（おい）しいよ、お兄（にい）ちゃん、結婚（けっこん）しよ」

「結婚（けっこん）、ごほごほ」

「やっぱり料理（りょうり）が上手（じょうず）な人（ひと）と結婚（けっこん）したいし」

「そうか、そうか」

　まあ妹（いもうと）とは結婚（けっこん）できないけどね。ララちゃんも義妹（ぎまい）としてハルカと結婚（けっこん）しそうな感（かん）じでまとまりつつあるものの、分（わ）からないけども。

「ケーキもちゃんとあります」

「わーいケーキ」

「ケーキですぅ」

　ケーキを一人（ひとり）いちピースずつ食（た）べる。

　今年（ことし）はノーマルのイチゴのショートケーキとなった。

　ちょっと奮発（ふんぱつ）してスーパーではなく駅前（えきまえ）の有名店（ゆうめいてん）のだ。

「美味（おい）しいですぅ」

「おいちい」

　もぐもぐと口（くち）いっぱいに頬張（ほおば）る妹（いもうと）がかわいい。

「「「ごちそうさまでした」」」

　片付（かたづ）けをしてお風呂（ふろ）にも入（はい）ってダラダラしているとき。

　ピンポーン。

「こんばんは」

　ハルカだ。なにやら荷物（にもつ）を持（も）ってうちにやってきた。

「どうぞ、どうしたこんな夜（よる）に」

「プレゼントを届（とど）けにね、にひひ」

　なにやら企（たくら）んでいるご様子（ようす）。

　二階（にかい）へ行（い）って妹（いもうと）の部屋（へや）に行（い）く。

　そうしてララちゃんもいつの間（ま）にか合流（ごうりゅう）していて、部屋（へや）から三人（さんにん）が出（で）てきた。

「じゃじゃーん」

「おまえら……」

　ミニスカサンタの誕生（たんじょう）だった。

　いや厳密（げんみつ）にはサンタはララちゃんだけだ。ハルカとエリカは頭（あたま）に角（つの）が付（つ）いているので分類（ぶんるい）上（じょう）はトナカイのコスプレなのだろう。

　三人（さんにん）とも首（くび）から下（した）はお腹（なか）とおヘソ丸出（まるだ）しの胸（むね）まで覆（おお）っている赤（あか）いミニシャツと、マイクロミニの赤（あか）いスカートを穿（は）いている。足（あし）には白（しろ）いニーソックス。

　シャツはノースリーブで代（か）わりにロンググローブが二（に）の腕（うで）までを覆（おお）っている。

「どうお兄（にい）ちゃん？」

「景都（けいと）、メリークリスマス」

「ケート君（くん）、クリスマスおめでとうですぅ」

　三人（さんにん）がポーズをとって俺（おれ）に見（み）せつけてくる。

「記念（きねん）写真（しゃしん）撮（と）りましょうね」

「「おおお」」

　なぜか俺（おれ）も連（つ）れてかれて一緒（いっしょ）に写真（しゃしん）に納（おさ）まった。

　なるほど、かわいい格好（かっこう）のサンタさんそのものがプレゼントだったわけだ。