第27話 エルフちゃんとケートの誕生日

だい27 エルフちゃんとケートの誕生たんじょう


 もうすぐ九月くがつ十八日じゅうはちにち。それはおれ誕生たんじょうだ。


「ケートくんまえつくってくれたカレンダーによれば九月くがつ十八日じゅうはちにちはケートくん誕生たんじょうですぅ」

「おう、そうだったな。十六歳じゅうろくさい

「なにがいいですか?」

「ん? 気持きもちがこもっていればなんでもいいよ」

「えへへ、じゃあ一日中いちにちじゅうわたしきなようにできるけんとか」

「いやそれはエッチだからダメ」

「そんなぁ」


 きなようにできるとか、どうかんがえてもエロい。


「できれば記念きねんっておけるものがいいな」

「そうですね。それとはべつにケーキもべましょう」

「うん。最近さいきん一人ひとりだったからいわったことないや」

「そうなんですか? あのハルカさんとは?」

じつはなおれたち中学ちゅうがくときはクラスもべつだったんですこ疎遠そえんだったんだ」

「そうなんですかぁ、高校こうこうはなんで?」

おなじクラスにたまたまなったからだな、うん」

「よかったですね、おなじクラスで」

「ああ」


 おれとハルカ。思春期ししゅんきにもなればまわりのになる。

 とく中学生ちゅうがくせい堂々どうどうってるやつもいたが、まわりの視線しせんにしてかくれてったり、おれたちみたいに疎遠そえんになるすくなくなかった。

 もう小学生しょうがくせいのような子供こども同士どうしではなく男女だんじょなのだという自覚じかくがあったから。


一緒いっしょにプレゼントきましょうか? それともハルカさんとって秘密ひみつのほうがうれしいですかぁ?」

「どっちでもいいけど、そうだな、ハルカとてきてくれるか?」

かりましたぁ」


 ということで基本きほん一緒いっしょ行動こうどうするおれたちだったが、日曜日にちようびべつ行動こうどうまった。


 日曜日にちようびおれ一人ひとりいえでララちゃんがえらんでくれたハーブティーをれてボーッとテレビをごした。


  ◇


 えへへ、今日きょう日曜日にちようび。ケートくんのプレゼントをとなっています。

 ピンポーン。いえのインターフォンがってハルカさんがはいってきます。


「こんにちは。じゃあララちゃんこっか?」

「はいっ。今日きょうはおデート、よろしくおねがいしますぅ」

「そうね。おんな同士どうしたのしんできましょう」


 ハルカさんとをつないであるいていきます。

 彼女かのじょもおっぱいがおおきくてあるくとぽよんぽよんとしています。

 わたしのおっぱいはもっとおおきくてばるんばるんというかんじです。


 みちとおひとたちがわたしたち二人ふたりのおっぱいをてくる視線しせんかんじます。

 でもこれはることができないので、しょうがないとあきらめています。

 おとこひとだけでなくおんなひともよくてきます。これはもう哺乳類ほにゅうるいまれてきた本能ほんのうなのだとおもいます。

 エルフぞくおんなひとぞくよりもおっぱいのちいさいおおいです。

 エルフのさとにいたころおおきなおっぱいはよくうらやましがられました。

 おおきなおっぱいはエルフぞくにとって偉大いだいなる女神めがみ象徴しょうちょうとして大切たいせつなシンボルです。だからこのおっぱいそのものはほこりにおもっています。


 わたし世界せかい唯一ゆいいつれてくれて一緒いっしょまわせてくれているケートくん大好だいすきです。

 でもそれとおなじように一緒いっしょ活動かつどうしてくれる彼女かのじょさんのハルカさんもきです。

 それから病院びょういんにいるいもうとのエリカちゃんも。

 みんな家族かぞく同然どうぜんなが一緒いっしょらせたらとおもいます。


 おんなはいいにおいがするしやわらかいし気持きもちいいので、きなのです。

 おとこひとはすこしがっちりしていてたよりになるかんじがきです。

 ケートくんはどちらかというと優男やさおとこですが、それはそれでわるくありません。

 どちらもてがたい別々べつべつさがあります。


 最寄もよえき東川ひがしかわ駅前えきまえ到着とうちゃくしました。


「それじゃあ、どこのおみせからる?」

道順みちじゅんになるおみせがあったらはいりましょう」

かったわ」


 こうしておみせをハシゴしていきます。

 おとこひとはこういうまわるのが苦手にがてなのかケートくんもあまりいいかおはしません。

 もちろんやさしく大丈夫だいじょうぶだよとはってくれますが、かおはおつかれのことがおおいです。


 みどりのゴブリン人形にんぎょうっていました。


「これなんかはどうでしょう、ハルカさん?」

「さすがにそれはないわー」

「そうですか? かわいいとおもいませんかぁ?」

「それならエルフ人形にんぎょうのほうがいいよ」

「エルフ人形にんぎょうっ」


 ピピッとこのとききたのです。エルフ人形にんぎょう。そう、これです。

 わたしのようなエルフの人形にんぎょうをケートくんにあげる。

 素晴すばらしいあんです。


「それいいですね。是非ぜひそうしましょう」

「おぅおお?」

「エルフ人形にんぎょうです。わたし分身ぶんしん肌身はだみはなさずっていてもらいますぅ」

「ずいぶん積極的せっきょくてきじゃない。本当ほんとうきになっちゃった?」

「はいっ」

「はっきりってくれるわ。あはは。わたしけないですからね」

「もちろんです。三人さんにんでいい家庭かていきずきましょうね。あいもうとさんも」

「あ、うん……そうっすぐわれたら、かなわないなぁ」


 えへへとわらうとハルカさんもわらいをかえしてくれました。

 みんな家族かぞく一緒いっしょらす。いい未来像みらいぞうだとおもいます。



  ◇


 九月くがつ十九日じゅうくにち夕方ゆうがた

 ケーキをっておうちもどってきた。


「ハッピバースデー、ケートくん

「ハッピバースデー。景都けいと、おめでとう」

「あ、ああ、ありがとう、二人ふたりとも」


 ケーキをまえにして謝辞しゃじべる。

 今日きょうはコーヒーとケーキをける。


 それからなぜかうるませたハルカから「ハルカちゃん人形にんぎょう」だという茶髪ちゃぱつふわふわセミロングの人形にんぎょうった。


「あ、ありがとう……」


つぎわたしでーすぅ。エルフちゃん人形にんぎょうでーす」

「ララちゃんも人形にんぎょうなのか。ありがとう」


 こちらはエルフちゃん人形にんぎょうというだけあってみみとがっている。金髪きんぱつ碧眼へきがんだ。

 なるほどよく特徴とくちょうをとらえている。


「あのそれから副賞ふくしょうのキスがあるから」

「あっ、はいですぅ」


「んんっ」

「んんっ」


 ハルカとララちゃんからかおをサンドイッチされてほっぺにキスをされた。


大好だいすきですぅ、ケートくん

き、だよ、景都けいと


 なぜかあい告白こくはくけるおれ


「ああ、二人ふたりともおれ大事だいじ家族かぞくだから」

「うん、ありがとうですぅ」

「はい。ありがとう」


 えへへと二人ふたりともかおあかくしてわらう。


通学つうがくカバンにけて、毎日まいにち一緒いっしょ登校とうこうしましょうねぇ」

「そうする」


 こうしておれにはハルカとララちゃんの分身ぶんしんともいえる人形にんぎょうをおともとすることがまった。

 あっああ、ハルカともほっぺだけどキスをしてしまった。

 ほんとちょっとずつだけどおれたちの距離きょりちぢまっていた。


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