第18話 エルフちゃんと雨模様

だい18 エルフちゃんと雨模様あめもよう


 六月ろくがつのある

 連日れんじつ雨天うてんだったが今日きょうのぞいている。


 ゴオオオオオオオ。


 ひくいエンジンおとこえていた。


飛行機ひこうきんでますねぇ」

「ああ」

「まるでてつのドラゴンみたいでカッコいいですぅ」

てつのドラゴンか、みょうだな」

「はいっ」


 異世界いせかいのドラゴンがんでる世界せかいとは。

 とおくならいいけどよくかんがえたらめちゃくちゃ物騒ぶっそうでは。


「ランドルフは赤竜せきりゅうひがしのベリドントン山脈さんみゃくんでるんですよ」

「お、おう」

「アイバリスタは青竜せいりょうきたのマダグダスカルさんんでいて、なかがいいんです。よくそらうえ合流ごうりゅうして一緒いっしょんでますね」

「へぇ」

りゅうんだあともあんなふうに」


 そういってそら飛行ひこうぐも指差ゆびさす。


飛行ひこうぐもができるんです。りゅうしずかにびますけどね」


 ララちゃんがここまで具体的ぐたいてきなことをはなすのはひさしぶりかもしれない。

 すこさみしそうなかおをしていた。なつかしいのだろうし、やっぱりかえりたいよな。

 つめていると以前いぜんはなんともなかったのに、いまはすぐに目線めせんおよいでかおあかくする。

 キスをして以来いらいなのでおもしてしまうのだろう。


あぶなくはないの?」

あぶないとはなんですか?」

「いや、りゅうとかいて」

大丈夫だいじょうぶですよ。会話かいわもできてあたまもいいのでめったに人間にんげんおそうことはないんです」

「へぇぇ。小説しょうせつとかだと一夜いちや王都おうとうみにして壊滅かいめつさせたとかあるよな」

「あはは、よほど人間にんげんにいじわるされたんでしょうね。りゅうさんが可哀想かわいそうですねぇ」

「なるほど」

人間にんげんだってちょうえくりかえるほどイヤなことされたらおこりますよ。りゅうおなじです」

「そうだね」


 ララちゃんも普段ふだんほわわんとしているぶん本気ほんきおこらせたらめちゃくちゃこわそう。

 物理的ぶつりてきかみなりおちるかも。ライトニングが四方しほう八方はっぽう破壊はかいくすかもしれない。


 またいもうとのところへく。


「エリカ、調子ちょうしはどうだ」

「こんにちはぁ」

「こんにちは、ララおねえちゃん」

「あとハルカは?」

「ハルカさんもたまにてくれますよ。ありがたいです。えへへ」


 毎週まいしゅう一回いっかいいもうとのところへおれたちはとおっている。


「じゃあ、さっそく治療ちりょうしようかぁ」

「うん。あっおにいちゃんはあっちいてて」

「ういうい」

「でははじめますぅ」


 ララちゃんが普段ふだんせないような真剣しんけんかおいもうとにぎる。


「んっ、あんっ、んっんんんっ、あぁあ、んん」


 なんかよくからんがかんじるらしくていもうとつかわしくないへんきょうせいす。

 かおあかくなってトロンとしたになる。

 こういってはなんだがいもうとのくせにみょうにエロい。


「ありがとうございました。んんっ」


 プルプルッとふるえる。へん刺激しげき全身ぜんしんけることがあるらしい。

 いもうとずかしいからあまりおれせたがらないが、おれいもうと心配しんぱいなので一挙手いっきょしゅ一投足いっとうそくすべてていたい。


「あっおにいちゃんてたでしょ、もうっ」

「わりいわりい」


 くちではあやまるがおれるのはやめるつもりもない。

 こうして毎回まいかいいもうと注意ちゅういされていればいいんだ。

 るもんでもないし。


 毎週まいしゅうちょっとずつ魔力まりょくあたえていく。ララちゃん由来ゆらい魔力まりょくいもうと魔力まりょくじりからだ馴染なじんでいくそうな。

 なが魔力まりょくはだんだんおおくなってきている。このまま順調じゅんちょう魔力まりょく全身ぜんしん正常せいじょうながれるようになれば回復かいふくちかいらしい。


「もうだいぶ調子ちょうしくて、すぐに退院たいいんできそうだとおもう」

「エリカちゃんはそうですねぇ。大事だいじてもあとさんげつくらいですかなぁ」

「さ、さんげつうぅぅ、はや退院たいいんしたい」

「まぁもうなおるの確定かくていみたいなもんだし、いまのうちに病院びょういんあそんどけよ。いえかえってきたら受験じゅけん勉強べんきょうだかんな」

「うぅうわわわあぁぁ」


 いもうとがイヤそうなかおをする。そういうかお美少女びしょうじょはかわいい。

 病院びょういんでも勉強べんきょうはしている。おれおな県立けんりつ埼台さいだいひがし高校こうこう目指めざしている。

 偏差値へんさち六十五ろくじゅうごくらいか。じょうちゅうくらい。

 入院にゅういんしているのでかなりのハンデだ。頑張がんばるほかない。



  ◇


 また数日すうじつあめつづいている。

 ララちゃんがちょっとながいトイレからてきた。

 おなかをさすっている。


「うぅぅぅ」

「どうしたの?」

「あの、便秘べんぴみたいで最近さいきんうんちてなくて」

「お、おう」


 おんなとこういう会話かいわをしたことがないので戸惑とまどってしまう。

 いもうとのエリカは小学校しょうがっこうのころは普通ふつういえにいたけど便秘べんぴではなかった。


「あれかな食生活しょくせいかつ

「そうかもしれません、うぅ」

「エルフのさとでは野菜やさい中心ちゅうしんじゃなかった?」

「そうですね。こちらでは炭水たんすいぶつおおいかもしれないですぅ」

おれつくるのはレトルトかおとこ料理りょうりけいだからな、ごめんな」

「いえ、自分じぶんなんとかするべきなので」

「まあそうだけど。サラダとかすようにするよ」

「はい。ありがとうございます」


 ふむ。エルフちゃんはおれたちと内臓ないぞうとかもちがうかもしれないし。

 おんな便秘べんぴになりやすいらしいからなぁ。

 すこ食生活しょくせいかつ見直みなおすか。


 あさ学校がっこうくときにいえまえ花壇かだんてララちゃんがまる。


「アジサイが綺麗きれいいてますねぇ」

「ああ、うちのはあおなんだよね」

「なんでしたっけピーエイチというのでわるんですよね」

「そうらしいね」

「あっそれからほら、っぱのうえにカタツムリさんが」

「おお、いるいる。いち三匹さんびき今日きょうおおいね」

「これはってべないんですか? この世界せかいものってみんなちいさいんですよね」

「あっちではカタツムリもおおきかったの?」

「はい。あのちいさいのと五十ごじゅっセンチくらいのおおきさのがいたんですよ」

「でっか、カタツムリ、でっか」

「あはは」


 なるほど五十ごじゅっセンチのカタツムリならかい一種いっしゅだしホタテみたいにしてべるのだろう。

 かなりこたえがありそうだ。

 かいだから旨味うまみとかもすごいのかもしれない。

 スペインのパエリア料理りょうり番組ばんぐみでそのへんのはたけからカタツムリをってきてれるというのをたことがある。


 こうして連日れんじつかさして学校がっこうく。

 かさはララちゃんがくっついてこないのでおっぱいもおあずけだった。

 べ、べつこいしいとかおもってないよ。

 ただあのやわらかいなんともいえない感触かんしょくわすれがたい。


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