[総ルビ]留学生は同棲JKエルフちゃん

第4話 エルフちゃんは高校へ通う

■第（だい）４話（わ）　エルフちゃんは高校（こうこう）へ通（かよ）う

「おはようございますぅ～。朝（あさ）ですよ？」

「ううぅぅ……」

　俺（おれ）がベッドで寝（ね）ていたら朝（あさ）になったらしい。

　ベッドのすぐ脇（わき）に立（た）ったララちゃんのおっぱいが見（み）える。

　下（した）から見上（みあ）げるとほとんどおっぱいしか見（み）えない。

　おっぱい。

「はっ……俺（おれ）、確（たし）か留学生（りゅうがくせい）が、それでエルフで、あっ」

「起（お）きましたか？　エルフのララちゃんですぅ」

「ごめんごめん。さすがに思（おも）い出（だ）した。ちょっと朝（あさ）からおっぱいの攻撃（こうげき）で一瞬（いっしゅん）、頭（あたま）が真（ま）っ白（しろ）になったもんで」

「それは、ごめんなさい、私（わたし）のおっぱいが悪（わる）いですね」

　そういうと、なぜか胸（むね）を揉（も）みだす。

　ぐにょぐにょと動（うご）くおっぱい。

　なんだこれ、すげぇ。

「んっ、んんっ、はぁ」

「もういいから……すまん」

「いえ、では、おっぱいは許（ゆる）してあげました。よかったです。取（と）らなきゃならなくなったら大変（たいへん）」

「えっ？」

「もう、冗談（じょうだん）ですよーだ」

「そうか、ふむ」

　そうして俺（おれ）が料理（りょうり）をする。

　ベーコンと卵焼（たまごや）きだ。それから今日（きょう）は買（か）い置（お）きのクロワッサン。

　俺（おれ）は目玉焼（めだまや）きやゆで卵（たまご）よりは卵焼（たまごや）き派（は）なのだ。どの派閥（はばつ）でもいいと思（おも）う。

　料理（りょうり）は簡単（かんたん）なものくらいなら平気（へいき）だ。

　ところでおっぱいって取（と）れるのだろうか。

　手術（しゅじゅつ）で切除（せつじょ）自体（じたい）はできるが、そういう意味（いみ）ではない異世界（いせかい）特有（とくゆう）の謎（なぞ）かもしれないし。

　おっぱいの謎（なぞ）は深（ふか）まるばかりだ。

　ベーコンをひっくり返（かえ）す。いい感（かん）じに焼（や）けた。

「ところで、俺（おれ）は高校（こうこう）行（い）くんだけど」

「はいっ、私（わたし）も今日（きょう）から同（おな）じ高校（こうこう）へお世話（せわ）になるので大丈夫（だいじょうぶ）です」

「おおぉ、そうなのか。知（し）らなかった」

「すみません。昨日（きのう）、ちゃんと話（はな）しておけばよかったです。こっちは本当（ほんとう）に留学生（りゅうがくせい）みたいですね」

「そうだな」

「あの、一応（いちおう）、エルフなのは秘密（ひみつ）なので、アルクメニスタンからの留学生（りゅうがくせい）ということで」

「アルクメニスタン？　そんな国（くに）あったっけ」

「ないですよ？」

「バレちゃわないか？」

「地図（ちず）に載（の）ってない、非（ひ）国連（こくれん）加盟（かめい）国（こく）なんです」

「そうだったか、なるほど」

「納得（なっとく）しないでください。異世界（いせかい）から来（き）たなんて言（い）えないですし」

「そうだった。嘘（うそ）ばっかり言（い）うから、どれが本当（ほんとう）かだんだん分（わ）からなくなってくる」

「えへへ。そうやって煙（けむり）に巻（ま）く作戦（さくせん）なんですよ」

　実在（じつざい）の国（くに）を挙（あ）げたら、それはそれで色々（いろいろ）聞（き）かれそうだしね。

　今（いま）はネットでも調（しら）べられるから、中途（ちゅうと）半端（はんぱ）な嘘（うそ）ばっかり言（い）ってるとバレるかもしれない。

　それならいっそ架空（かくう）国家（こっか）か。これなら調（しら）べられても痛（いた）くない。なるほど。

「「いただきます」」

　二人（ふたり）で挨拶（あいさつ）してから朝食（ちょうしょく）をいただく。

　なんやかんや、妹（いもうと）がいなくて一人（ひとり）で寂（さみ）しかったが、こうしてエルフちゃんと一緒（いっしょ）だと俺（おれ）もうれしい。

　妹（いもうと）が入院（にゅういん）してしまってから随分（ずいぶん）と経（た）つけど、俺（おれ）も寂（さみ）しかったんだなって改（あらた）めて思（おも）った。

　ララちゃん、家族（かぞく）として大切（たいせつ）にしてあげないとな。

　バタバタと二人（ふたり）で協力（きょうりょく）して食器（しょっき）を片付（かたづ）けて、部屋（へや）に戻（もど）って着替（きが）える。

　そうして再（ふたた）び部屋（へや）から出（で）ると、そこには、ふむふむ、なるほどなるほど。

「どうですか？　変（へん）、じゃ、ないですかぁ？」

「ううん、めっちゃ似合（にあ）っててびっくりしてる」

　セーラー服（ふく）エルフとかいうコスプレみたいな生（い）き物（もの）がいた。

　絵（え）では見（み）たことがあるけれど、マニアックだなぁとは思（おも）ったんだ。

　それがリアルの目（め）の前（まえ）にいる。

　めっちゃ似合（にあ）ってる。かわいい。

「今（いま）すぐ写真（しゃしん）撮（と）って、全（ぜん）世界（せかい）に紹介（しょうかい）したいぐらい、かわいいよ」

「そうですかぁ、うれしいですぅ」

　テレテレで頬（ほお）を赤（あか）くするララちゃんも余計（よけい）かわいかった。

「それでは、行（い）ってきますですっ」

「おお、行（い）ってきます」

　誰（だれ）もいないけど、俺（おれ）たちはお互（たが）いに行（い）ってきますを言（い）った。

　えへへと笑顔（えがお）を向（む）け合（あ）って、出発（しゅっぱつ）する。

「それでは家族（かぞく）なんですから手（て）をつながなきゃですよね」

「え、ああ」

　まあ手（て）ぐらいならまあいっかな、と思（おも）ったんだこの時（とき）は。

　指（ゆび）をつんつんとしたと思（おも）ったら、ガシッと腕（うで）を取（と）られて、腕（うで）を絡（から）めてくる。

　ララちゃんは背（せ）が低（ひく）いので肩（かた）と肩（かた）が当（あ）たることはなく、俺（おれ）の手前（てまえ）に彼女（かのじょ）が半分（はんぶん）収（おさ）まるような感（かん）じになっているのはいいんだ。

　問題（もんだい）は例（れい）のアレだった。

　胸（むね）が。おっぱいが組（く）んでいる腕（うで）にダイレクトアタックを決（き）めている。これだけで何（なに）ポイントも得（とく）点（てん）が入（はい）りそうな見事（みごと）な連続技（れんぞくわざ）だった。

　俺（おれ）は腕（うで）を決（き）められ、めっちゃくちゃ柔（やわ）らかい感触（かんしょく）がぐにゅぐにゅと当（あ）たる。

　しかも歩（ある）いているので、動（うご）いてその変則的（へんそくてき）な柔（やわ）らかさが尋常（じんじょう）じゃないほど伝（つた）わってくるのだった。

「あの胸（むね）が」

「胸（むね）くらい当（あ）たっちゃいますよね。すみません」

「いや、いいけど、これ……」

　まさかめっちゃ柔（やわ）らかいからどけてとか幸（しあわ）せそうな笑顔（えがお）を浮（う）かべている彼女（かのじょ）に言（い）えるわけもない。

　このままにするしかないか。

　目（め）に毒（どく）くらいならまだ平気（へいき）だけど、直接（ちょくせつ）の感触（かんしょく）は心臓（しんぞう）に悪（わる）い。

　俺（おれ）はドキドキしていた。

　というか胸（むね）が当（あ）たっているので彼女（かのじょ）の心臓（しんぞう）の音（おと）さえ聞（き）こえそうだ。

　うっ、学校（がっこう）までこのままか。

　心臓（しんぞう）に悪（わる）いどころではなく、精神（せいしん）にきそうだ。天国（てんごく）にいるのに忍耐（にんたい）を試（ため）されている。

　お風呂（ふろ）は気持（きも）ちいいが、熱（あつ）いお風呂（ふろ）にはご注意（ちゅうい）みたいな感（かん）じというか。

　もう何（なに）を言（い）ってるか分（わ）からないが、とにかくそういうイメージだった。

　しかも周（まわ）りの視線（しせん）がすごい。

　そりゃあ俺（おれ）んちの学校（がっこう）のセーラー服（ふく）を着（き）ていて、金髪（きんぱつ）碧眼（へきがん）。しかもよく見（み）ると耳（みみ）が尖（とが）っているとか、尋常（じんじょう）じゃないですし。

　それが絶世（ぜっせい）の美少女（びしょうじょ）ときて、平々（へいへい）凡々（ぼんぼん）な俺（おれ）と腕（うで）なんて組（く）んでニコニコで登校（とうこう）していたら目立（めだ）つに決（き）まっていた。

　あぁ、もう俺（おれ）ダメかもしれない。

　初日（しょにち）に頑張（がんば）ると決（き）めたはずなのに。天国（てんごく）に召（め）される日（ひ）も近（ちか）いのだろうか。

　仏（ほとけ）にでもなったような神妙（しんみょう）な顔（かお）をして登校（とうこう）するのだった。