[総ルビ]留学生は同棲JKエルフちゃん

第1話 エルフちゃんといきなり同棲

●タイトル

留学生（りゅうがくせい）は同棲（どうせい）ＪＫエルフちゃん　～地球（ちきゅう）の常識（じょうしき）と違（ちが）うようでぐいぐい迫（せま）ってくる～

●通常版

https://kakuyomu.jp/works/16817330650231607807

●あらすじ

地（ち）球（きゅう）へ転（てん）移（い）してきたエルフ。公（こう）務（む）員（いん）の父（ちち）のせいでエルフは日（に）本（ほん）の俺（おれ）の家（いえ）で同（どう）棲（せい）して留（りゅう）学（がく）生（せい）女（じょ）子（し）高（こう）生（せい）として学（がっ）校（こう）へ通（かよ）うことに。常（じょう）識（しき）をまったく知（し）らないエルフは俺（おれ）にぐいぐい迫（せま）ってくるようになり、なんだか俺（おれ）のことが大（だい）好（す）きらしい。巨（きょ）乳（にゅう）エルフちゃんが主（しゅ）人（じん）公（こう）を襲（おそ）う。

ＪＫエルフちゃんと俺（おれ）の現（げん）代（だい）日（に）本（ほん）ラブコメディー、ここに開（かい）幕（まく）！

■第（だい）１話（わ）　エルフちゃんといきなり同棲（どうせい）

「はじめまして、山女（やまめ）さんですか？」

「あ、ああ……」

「あの……よろしくお願（ねが）いしますぅ」

　タクシーから降（お）りてきて、俺（おれ）んちの玄関（げんかん）でにっこり笑顔（えがお）の金髪（きんぱつ）碧眼（へきがん）の美少女（びしょうじょ）。

　場違（ばちが）いと思（おも）えるような綺麗（きれい）なお辞儀（じぎ）をした。

　身長（しんちょう）は俺（おれ）より小（ちい）さいので百五十センチくらいか。胸（むね）がデカい。

　だが納得（なっとく）できないものがある。彼女（かのじょ）は耳（みみ）が尖（とが）っていた。

「え、エルフ？」

「はいっ！　ご存（ぞん）じですか？　うれしいです。異世界（いせかい）から来（き）たエルフ族（ぞく）のラーラミン・ハイッペロット・トワイライトです。ララって呼（よ）んでくださいねぇ」

「分（わ）かった……」

　っておい。分（わ）かるかよ。

　なんだよエルフって。聞（き）いたことねえぞ。

　確（たし）かに父（とう）さんは国家（こっか）公務員（こうむいん）で、安全（あんぜん）保障（ほしょう）周（まわ）りを担当（たんとう）している防衛省（ぼうえいしょう）の職員（しょくいん）で今（いま）は出向（しゅっこう）により外務省（がいむしょう）で海外（かいがい）勤務（きんむ）をしている。

　それで預（あず）かった子（こ）らしいのだが、エルフなのか？

　父（とう）さんの仕事（しごと）が宇宙人（うちゅうじん）や異世界（いせかい）人（じん）を担当（たんとう）としていることは、薄々（うすうす）気（き）が付（つ）いていた。

　たまに漏（も）れ聞（き）こえる電話（でんわ）の会話（かいわ）から、俺（おれ）たち以外（いがい）の知的（ちてき）生命体（せいめいたい）がいることは分（わ）かってはいた。

　しかし国家（こっか）機密（きみつ）というか国際（こくさい）機密（きみつ）なのだろう。

　エルフの美少女（びしょうじょ）が俺（おれ）と同棲（どうせい）するのか。今日（きょう）から。マジか。

　聞（き）いてねぇ。マジ聞（き）いてねえんだが、それ。

　◇◇◇

　数日（すうじつ）前（まえ）のこと。

　俺（おれ）の携帯（けいたい）電話（でんわ）が鳴（な）っている。相手（あいて）は普段（ふだん）海外（かいがい）を飛（と）び回（まわ）っている親父（おやじ）だった。

　母親（ははおや）も一緒（いっしょ）にくっついていったので家（いえ）にいない。

「やっと出（で）たか。景都（けいと）」

「なんの用（よう）、父（とう）さん？」

「ああ、それでだ。今度（こんど）、我（わ）が家（や）に外国（がいこく）から留学生（りゅうがくせい）がくることになった」

「はぁ？　俺（おれ）んちって俺（おれ）しかいないけど」

「まあなんだ、ちょっと特殊（とくしゅ）な子（こ）でな。世界（せかい）中（じゅう）をたらい回（まわ）しにされた挙句（あげく）、すまんがうちで預（あず）かることになった」

「それで？」

「よかったな、金髪（きんぱつ）碧眼（へきがん）の美少女（びしょうじょ）だ。あと日本語（にほんご）は普通（ふつう）にしゃべるからコミュニケーションは大丈夫（だいじょうぶ）」

「あ、うん」

「んじゃ、そういうことで。母（かあ）さんの部屋（へや）使（つか）ってもらうから布団（ふとん）干（ほ）しといてくれ。明後日（あさって）タクシーで家（いえ）に直接（ちょくせつ）来（く）る」

「はぁ……」

　とまあ、こういう会話（かいわ）があったのが三日（みっか）前（まえ）か。

　晴（は）れていたので布団（ふとん）は無事（ぶじ）干（ほ）した。

　それでだ。

　玄関（げんかん）で巨乳（きょにゅう）の金髪（きんぱつ）碧眼（へきがん）エルフちゃんとご対面（たいめん）をした俺（おれ）は彼女（かのじょ）を家（いえ）に入（い）れた。

「あ～ぅ、よろしくお願（ねが）いしますぅ」

「ああ、っておい、いきなり、うおぉ……」

　エルフのララちゃんは靴（くつ）を脱（ぬ）いで家（いえ）に上（あ）がったと思（おも）ったら、俺（おれ）の横（よこ）を通（とお）り過（す）ぎるわけもなく、俺（おれ）にガバッと抱（だ）き着（つ）いてきた。

　何（なに）がとは言（い）わないけど、ナニが二（ふた）つ。すげえ柔（やわ）らかい。当（あ）たりまくってるんだが。

　いや当（あ）たってるどころじゃなくて、ぐいぐい押（お）し付（つ）けてくる。

「想像（そうぞう）してた通（とお）りの優（やさ）しそうな人（ひと）です。私（わたし）、うれしいですっ」

「あ、ああ」

　やっとのことで離（はな）れてくれたララちゃんを居間（いま）に通（とお）す。

　テーブルがあり椅子（いす）が四（よっ）つある。

　両親（りょうしん）と俺（おれ）、それから妹（いもうと）の分（ぶん）の椅子（いす）。

　妹（いもうと）も訳（わけ）あって家（いえ）にいない。今（いま）は埼台（さいだい）東（ひがし）総合（そうごう）病院（びょういん）に入院（にゅういん）している。

「そこ、妹（いもうと）の席（せき）なんだけど入院（にゅういん）しててな、座（すわ）っていいから」

「はい、ありがとうございますぅ」

　エルフちゃんが椅子（いす）に座（すわ）る。

　俺（おれ）はお茶（ちゃ）を淹（い）れに台所（だいどころ）へ行（い）き素早（すばや）く日本茶（にほんちゃ）を準備（じゅんび）すると、それを持（も）って居間（いま）に戻（もど）ってくる。

　うちはいわゆる居間（いま）とキッチンが続（つづ）き間（ま）になっているダイニングキッチンではなく、別々（べつべつ）の作（つく）りだった。

「お茶（ちゃ）持（も）ってきたよ」

「ありがとうございます、うれしいですぅ」

　彼女（かのじょ）は丁寧語（ていねいご）だけど、なんか独特（どくとく）のイントネーションが末尾（まつび）付近（ふきん）にある。

　なんだろう、エルフ語（ご）なまりなのだろう。

　エルフ語（ご）……。考（かんが）えるとめっちゃすごいのでは。

　それからさっきから現実（げんじつ）逃避（とうひ）をして気（き）にしないようにしていたことがある。

　おっぱいがテーブルに乗（の）ってる。うん。

　彼女（かのじょ）は背（せ）が低（ひく）いのに胸（むね）が大（おお）きい。

　そのためテーブルが相対的（そうたいてき）に高（たか）く、ちょうど胸（むね）がテーブルに、どんと。

　そのおっぱいの前（まえ）にお茶（ちゃ）を置（お）いた。

「美味（おい）しいですぅ」

「はは、ありがとう。日本茶（にほんちゃ）の味（あじ）が分（わ）かるんだね」

「はいっ、あの、エルフの里（さと）にも似（に）たようなハーブティーがありまして」

「なるほど」

「エミルル茶（ちゃ）という名前（なまえ）で、森（もり）に生（は）えている低木（ていぼく）の葉（は）っぱなんですけど、こう蒸（む）して丸（まる）めたものを乾燥（かんそう）させておいて、あとでお湯（ゆ）で戻（もど）して飲（の）むんですよ。たぶん似（に）たような作（つく）り方（かた）なんだろうなって」

「そうだね。だいたいそんな感（かん）じ」

　日本茶（にほんちゃ）の作（つく）り方（かた）は実（じつ）はあまり知（し）らないけど、確（たし）かに蒸（む）すんだったはず。

　それにしてもテーブルの上（うえ）に乗（の）ってるソレが気（き）になって真正面（ましょうめん）に座（すわ）ってるけど、ついついガン見（み）してしまっていた。

　ふと気（き）づいて俺（おれ）は視線（しせん）を逸（そ）らす。

　そうすると彼女（かのじょ）もお茶（ちゃ）から視線（しせん）を俺（おれ）に一瞬（いっしゅん）移（うつ）した後（あと）、明後日（あさって）のほうを向（む）いて顔（かお）を赤（あか）くする。

　目（め）をスッと細（ほそ）めていた。

　やはり向（む）こうも気（き）が付（つ）いたか。その目（め）は恥（は）ずかしいと書（か）いてあるようだった。

「あの、このおっぱい……気（き）になりますよねぇ」

「え、ああ……ごめん、じろじろ見（み）て」

「いいえぇ、見（み）られるのはもう慣（な）れているので。でもなんだか男（おとこ）の子（こ）にじっと見（み）られることって今（いま）までなかったので……恥（は）ずかしかったですぅ」

「そうか」

「はい。でもこれから同棲（どうせい）っ、するんですから、慣（な）れないとですよね」

「まあそうだね」

「毎日（まいにち）いっぱい見（み）てくださいね。早（はや）く日本（にほん）にも順応（じゅんのう）しなきゃですもの。これから一生（いっしょう）住（す）まわせてもらうつもりなのに」

「そっか。エルフの里（さと）ってそれほど都会（とかい）じゃないのかな」

　ここは大都会（だいとかい）東京（とうきょう）。人（ひと）はいやというほどいる。

　もし人口（じんこう）の少（すく）ない田舎（いなか）なのだろうエルフの里（さと）から転移（てんい）してきたのだとしたら、環境（かんきょう）が違（ちが）いすぎてびっくりしちゃいそうだ。

「はい。エルフの里（さと）、キャシュリルメーベルリの人口（じんこう）は一万（いちまん）人（にん）ぐらい、でしょうか。たぶん」

「たぶんか」

「はい。人口（じんこう）の統計（とうけい）とかいうのでしたっけ、そういうのまだなくて、すみません。異世界（いせかい）ってちょっと遅（おく）れてて」

「でもすごい技術（ぎじゅつ）とかもあるんでしょ」

「はいっ。ミスリルやアダマンタイトの加工（かこう）技術（ぎじゅつ）とか、魔法（まほう）薬（やく）、ポーションとかですね。長年（ながねん）の研究（けんきゅう）の積（つ）み重（かさ）ねなんです」

「すごいね」

「えへへ、ありがとうございますぅ」

　ぺこりと頭（あたま）を下（さ）げると、テーブルの上（うえ）の胸（むね）がぼいんと揺（ゆ）れる。

　俺（おれ）はギョッとするところだったけど、なんとか誤魔化（ごまか）した。

　このおっぱい、攻撃（こうげき）特化（とっか）スキルが付（つ）いてるに違（ちが）いない。

　こちらの防御力（ぼうぎょりょく）なんて、童貞（どうてい）のソレだ。紙切（かみき）れみたいに吹（ふ）き飛（と）んでしまいそうだ。

　かろうじて共学（きょうがく）の中高（ちゅうこう）なので、女（おんな）の子（こ）そのものには慣（な）れているけれど、これほどの攻撃力（こうげきりょく）はめったにお目（め）に掛（か）かれなかった。

　俺（おれ）とエルフちゃんの同棲（どうせい）学校（がっこう）生活（せいかつ）。

　どうなってしまうか期待（きたい）と不安（ふあん）のごちゃませした感情（かんじょう）が湧（わ）き上（あ）がってきた。

　変（へん）な感情（かんじょう）に負（ま）けてしまわないように、これからは毎日（まいにち）頑張（がんば）ろう。

　俺（おれ）は心（こころ）に誓（ちか）った。