贖罪の愛
初めての書き出し小説風
第1話 新婚生活
「では、こちらを」
バンッ!....
そう言って強くテーブルに叩き置かれたのはA4サイズの紙2枚。
1つの紙には「慰謝料請求書」と記載され、金額が300万円。
そしてもう1つの紙にも金額が記載されていた。
100,000,000円。
「…1億円!?ふ、不倫しただけだろ!」
「しただけって、ほんと変わらないのね」
「私もアナタの要求を受け入れますので、こちらの対応をお願いします」
その見たことのない金額が記載されている紙には「xx市における反逆罪及び請求書」と見慣れない命題が記載されていた。
・
・・
・・・
・・
・
時を少し遡ったここは東京で新たに創られたxx市。
この市は今後の日本の少子化対策を考え、住みやすい環境と特に女性を支援することに特化した市。
例えば、住居の提供やWI-FIなどの環境提供など、これまでにない町作りを考えている。
そして今日も新たに新婚さんが1組引っ越してきた。
「トモくん〜起きて〜!仕事行く時間だよ〜!!」
声をかけたのは須藤 清乃(すどう きよの)が名前の32歳。
仕事は近所でパートとして働いている。
「・・・あ〜い、もう起きる。。。」
とても小さな声で子供のように返事をしたのは30歳の須藤 友春(すどう ともはる)。
大手の会社に勤務し、仕事はバリバリやるがそれ以外はプー太郎。
この2人は友人同士の紹介で出会い、付き合って2年ほどで結婚をしたカップル。
xx市の発足により、色々とタイミングが良かったこともあり、とんとん拍子で新婚生活を送っている。
「ふー今日のパートも終わりっと!」
-
仕事終わった〜!スーパー寄って帰る〜!
今日は何時くらいに帰宅できそ?
-
ポチッ
今日は返信あるといいな〜
いつも仕事終わりには必ず連絡を入れ、今日の夕ご飯の買い出しと支度をするのが彼女のルーティーン。
彼の仕事は波が激しく、深夜に帰ってくることもしばしばで、連絡の返信もかなり時間が空くことも多い。
でも、この日はラッキーの日だった。
ピロンッ
-
おつかれさま〜今日はいつもより早く帰れそうだよ〜
ご飯はなーに〜?
-
「あっ返信だ!!!」
仕事の疲れが少し吹き飛んだのを感じた。
-
今日は週末だから2人で晩酌しようと思って!
日本酒に合う和食系を買って帰る〜!!!!
-
ポチッ
ピロンッ
-
おっいいね〜!楽しみだ!
もう少ししたら会社出ますー
-
たまにある2人で早めの夕食は本当に楽しみだった。
そんな晩酌をしたある日の夕食後。
時間はもうすぐ23時過ぎ。
お互いにお風呂も済ましリビングでテレビを見ていると彼がソファーでくつろいでいる私の横に座ってきた。
ドサッ・・・
「・・・どしたの?」
と聞き返したものの、彼が考えている事は分かっている。そしてこの後言ってくる内容も。
「今日もご飯ありがとね!」
「あっうん、どういたしまして〜」
「それより今日も約束したゴミやってくれなかったでしょ〜!」
「あっ・・・ゴミは捨てに行ったんだけど・・・」
「ゴミは捨てに行くだけじゃダメなのー!」
「全部のゴミ箱の中身集め一つにしたり、排水溝の髪の毛とかも掃除したり、終わったあとはゴミ袋とかちゃんと…」
「本当にごめん!次は大丈夫だから!!!ね!」
「いつも代わりにやってくれてありがとうね!!」
「もう〜約束だからね!」
「もちろん!だからそんな怒った顔しないで〜!可愛い顔が台無しだよ!!」
切り替えすぐに無邪気な顔で言ってくるからいつも押されてしまう。
「もう、ほんとに///(笑)」
スリスリ....
「それでね・・・今日しよ?」
やっぱりそうだった。
結婚する前からもそう。
前後の話の流れとか関係ない。
彼がSEXをしたい時の誘い文句だ。
あまり性欲が強くない私。
かなり性欲の強い彼。
SEXは嫌いではないけど、私からしたい!って思うことは少なかった。
でも、彼の為と思いこれまで断ったことはなく、そして今日も。
彼に手を引かれ寝室に向かった。
ドサッ
しゅるっしゅるっ.....
ベットに着くなり早々に私のパジャマを脱がした。
これもいつも彼はそう。
ムードなどほとんど感じたことはない。
良く言うと動物的とも言えるが、私からしたらただ自分の欲求を満たしたいだけにしか見えない。
もちろん彼から直接聞いたことでもないから憶測だけど・・・
「んっ・・・」
脱がした後は私の体を好きなように触り舐めまわして満足したら、
下着の中に手をやり指を入れてくる。
幸い濡れやすい体質だから、痛くなることはないけど・・・
そしてその後すぐ聞いてくる。
「・・・もう我慢できないよ」
「挿れていい?」
今日もいつもと同じだった。
「・・・うん、、いいよ」
「うんっ挿れちゃう///」
そうゆうと私の穿いてる下着を少しずらし挿入しようとしてきた。
「あっ、だめ!」
「・・・?」
「ちゃんとゴムつけて・・・?」
「いいじゃん、もう我慢できないもん」
「ダメだって!」
「…俺らもう結婚してるんだよ?」
「それでもまだ赤ちゃんは早いよ。結婚も1年経ってないんだし・・・」
「・・・どうしても?」
「うん、つけてほしい」
「・・・わかった」
これもいつものこと。不満そうな態度をする。
まぁちゃんとつけてくれるからいいけど・・・その態度はダメでしょって思う。。
付き合っていた時も彼からゴムをつけようとしたことはなく、いつも私が言って付けさせていた。
そしてイった後は、特に何もなく彼は眠ってしまう。
そんなSEXを終えた後の布団の中。
手を伸ばせば体温を感じる横の布団。
彼はいるけど眠っている。
「・・・」
すごい寂しさが私を襲ってくる。
彼の寝息が微かに聞こえる。
たまに通る車のエンジン音。
それ以外に音はない。
「…」
「さみしいなぁ・・・」
いつも我慢してたけど、今日はなぜか声に出てしまった。
自分の気持ちと彼の態度、そしてSEX後のこの時間がいつも辛い。
「もし"ゴムをしないでいいよ"って言ったら、こんな気持ちはないのかな・・・」
「でもでも…赤ちゃんはいいよ・・・まだ2人での生活がいいんだもん」
そんな考えが頭をよぎっては振り払い、声を押し殺しながら泣いてしまうのを堪え、疲れていつの間にか眠りにつく。
…トモくん。。。
今思えば、もしかして"こう"なってしまったのはこれも大きな要因だったのかも知れない・・・
・・・
・・
・
「キヨ〜!」
「あっトモくん!どこ行ってたの〜!?」
「俺こそ探してたんだよ!ほら約束の時間だろ!」
「あっそうだね!私たちの結婚1年記念日のね!!」
「そうだろ〜2人でお揃いの買うからほら行くぞ!」
そう言って手を差し伸ばしてくれた。
普段しないそんなトモくんに少し照れながらも待ってくれてる手を握った。
ぎゅ…
「キヨどうしたん?(笑)、顔赤いぞ熱でもあるんか?(笑)」
「ちっ、そうなんじゃないよー!!////」
「あはは(笑)ならいいんだ、さっ行こう」
「・・・うん!」
・
・・
・・・
…チュンチュン
「・・・んっ??」
ゆっくり目を開けた。
フッ,,,,,
横を見るとまだ彼が寝ている。
「・・・夢かぁ」
「…思えば、彼から何かするだとか手を握ってくれるとかなくなってきたなぁ」
嫌な夢ではなかったけど、少し複雑な夢。
いつ眠りについたのかも分からず、そんな夢を見てしまった。
「・・・さっ起きないと」
ササッ....
真っ裸のままシャワーに向かった。
それでも2人とも若い中での結婚と共同生活、そして仕事や家事などに追われ大変な日々だったけど、そんなこんなで時間はあっという間に過ぎ、来月で結婚1周年を迎える頃。
「ねね!来月でやっとだね!!!」
「・・・ん?何が??」
「えっ…何がって・・・」
「あっあーあれでしょ!!あの・・・あの日!!」
「・・・」
最悪・・・絶対わかってない。
元々ズボラではあったし、誕生日とかも特に気にしないタイプなのは知ってる。
でも、お互い初めての結婚で、その1周年を忘れるとか・・・。
「どうせわかってないでしょ!!」
「あっうっ・・・ごめん」
「ごめんじゃなくて、思い出そうとかしないわけ!??」
「・・・ごめんなさい」
「もーいいよ!初めての1周年なのに・・・」
「・・・あっ〜!もちろん覚えてるよ!」
「結婚1周年記念日だよ!!」
「ほんと酷い・・・」
「ほんとほんと!実は内緒でディナーを予約してるのです!!!」
「・・・」
「だから楽しみにしといて!!」
やり手の営業マンだから、こう言う所は本当に上手い。
でも絶対嘘。本当に調子良い。
「もー勝手にして...」
タッタッタ...バタン
そう返事をして寝室に逃げてしまった。
「・・・はぁ…」
「せっかく楽しみだったのに・・・」
新婚生活が始まった時はなかったけど、段々とケンカと言うか言い合いみたいなのが増えてきた。
それでもわだかまりがなくなるように、いつも私が折れてその場で終わらせてきた。
でも・・・。
初めて突っ張ってしまった。
「だって、今日のは許せなかったんだもん・・・」
初めての結婚生活で慣れないことばかり。
でも、1年!365日ちゃんとやりきれた!そんな記念日なはずだった。
それに結婚生活が無事1年過ぎたから私も子供の事を考えようとしていたから余計に。。
「はぁー・・・」
「こんな気持ち嫌だなぁ・・・」
大きくため息を吐いた。
静まり返った寝室。
スタスタスタ・・・
スタスタスタ・・・
スタスタスタ・・・
スタスタスタ・・・
ドアの向こうで足音が聞こえる。
近づいては離れ、近づいては離れを繰り返してる。
「はぁ…」
彼が何をして今どんなことを考えているのかもわかる。
初めての対応をした私にビックリしてどうしたらいいのか分からなくなっている。
「・・・このままじゃダメかっ」
「せっかくの記念日だもん、笑って向かいたいもん」
「でも・・・今日は反省させるためにも、このまま無視しちゃおっと」
そう思い、扉を開けた。
そこには案の定あたふたしている彼がこちらを見ている。
そんな彼を置き去りに、寝る準備を進め終え再び寝室に戻り布団に潜った。
彼は何か話そうとするも不機嫌そうな私を見て、何も言えずのままだった。
「・・・ちょっとやりすぎたかな??。。。」
「…明日いつものするか〜」
「でも今日は知らなーい!」
バサっ...
こんな怒ったことがないから少し罪悪感。
だからケンカした後の仲直りでいつもやってたお互い好きなものを気にせず食べお酒を飲むご飯会をしようと心に決め眠りについた。
次の日の昼。
目を覚ますと彼はいつもより少し遠く、ダブルベットの端の方で寝ていた。
そんな彼を横目に買い物の支度を静かに進めた。
普段は近所にある小さなスーパーで買い出しをするが、今日は駅前にある大きな商業施設のデパ地下へ向かうので支度は少し丁寧に。
お化粧ももちろん!気分転換にもなるかなって。
入念に支度をしてお家を出た。
スタスタスタ...
歩きながら今日買うものを頭で整理する。
「今日は特別に少し高い日本酒を買ってあげよ」
「んー日本酒だとやっぱりお刺身もか!」
完全に気持ちが晴れたわけじゃないけど、彼が喜ぶかもって考えるのは楽しい。
「それから・・・それから・・・」
「早く仲直りしたいな〜!」
笑みが自然と溢れていた。
はやる気持ちを抑えきれず、歩む速度が早くなる。
とその時。
見知らぬ人の声が大きくあがった。
「キャー!!!!」
大きな声にビックリし振り返ろうとした。
「・・・えっ?」
キュ〜〜〜!ドシャンッ!
グチャーーーガッガッガッタ....
乗用車が速度そのままに、清乃を轢いた。
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