ケース01:デチュワちゃんが毒になっちゃった その3

振り向くと、ヤクくんが怒っていた。毛を逆立てて、鋭い歯を見せ、唸り声で「グルルルル」と鳴いていた。


ウサキュアくんが「ウサキュア睨み」で睨むと、ソクくんが「ヤクくん!」と反応した。ヤクくんは目を大きく開いて咳払いをした。


「申し訳ございません!この鬼にフィギュアは大変危険なので、マジコロ病院から撤去する事を強くおすすめします!」


「します!」


ゲラキッツみたいだったな、ヤクくんは… まあ、ウサキュアくんがそばにいるなら大丈夫。嫌な事があるといつも、彼がウサキュア睨みで「やめてください」と言ってくれたり私を慰めたりしてくれているっけ。本当に素晴らしいよね!


… あ、思い出した。すっごく嫌なことではないよ。


「ヤクくん?なんでポテトチップスがそこにあるの?」


「最近、必要に折られて受付係で働くふりをしております」


「掃除をしていないとき、私達はいつもここで二、三分間くらいたっているんですが、あいにく私達の物がバラバラと散らかってしまって…」


タヌキの三つ子は深々と頭を下げて謝った。いつものんびりしているドオリくんも本当に申し訳なさそうだった。


「申し訳ございません!」


ドオリくんは急に立ち上がった。


「…ございません!」


病院では予約を受け付けていないのに、なぜタヌキの三つ子は受付係ごっこをしていたのだろうか、と考えていた。予約は受け付けないって皆に言ったはずなのに…


「なぜ受付係として立つの?君たちは何をしているの?」


「患者さんにご挨拶したり、患者の予約をしたりー」


「予約してるの?!でも、もし、容体が危険な患者さんが予約を持っていたら、どんどん悪化して最後死んでしまうよ!」


「先生、申し訳ございませんー」


「今は予約があるの?すぐに変えて!変えて!」


私が泣き出してトッポッキくんの怒声よりも大きな声になったと思ったら、ウサキュアくんは私の背中を優しくそっと叩いた。


「息を吸って、一、二、三、四、五、六、吐いて…」


深呼吸をして頭の中で数字を数えた。そして、楽しいことを考えようとした。


っていうか、不安な時はいつも、海の低で泳いだり寝たりすることを考える。楽しいとは言えないけど、癒されるんだよね。


一、二、三、四、五、六、目を開ける。


「落ち着きましたか」


小さい音も聞こえるほど落ち着いた。通気口から流れる空気、シーと回っているパソコンのファン、リボンくんの囁き声…


「うん、でも…」


「でも、どういうことでしょうか」


ウサキュアくんが首を傾けたとき、私はカウンターに顔を向けた。


「リボンくん、デチュワちゃんー」


ウサキュアくんとデチュワちゃんは咳をして紫の泡を出した。


「デチュワちゃん!ウサキュアくん!」


「ゴホッ、先生、ゴホッ、先生は間違えー」


私は出来るだけ早くカウンターに駆けよった。リボンくんとデチュワちゃんは、再び古ぼけた黄色い紙を見ていた。そして、黄色い紙と私を交互に見返した。


「先生?」


「うん」


「先生に似てるキャラがいるじゃない?」


あれ?悪いマジコロっているのかな?兄ちゃん以外には、他にウニペンギンはいないと思うけど…

ワルコロ?っていうキャラがいるのかな…


「そうは思わないけど…」


「思わないの?」


「でも、このダンジョンには戦うべきボスはいないみたいだし。君たちも悪者じゃないし…」


ちょっとおかしな依頼を引き受けたみたい。マジコロじゃないけど、マジコロみたいなキャラがいるって?


不思議なキャラの正体が誰なのか考えていると、ウサキュアくんが咳をしているのが聞こえた。軽い咳じゃなくて、本当に重い咳をしている。


「ウサキュアくん!」


カウンターの後ろのチップスを取るために体を前に傾けた。何か理由があるのか、リボンくんとデチュワちゃんは黄色い紙を私から隠した。


「チップスをちょうだい!ウサキュアくんが気絶しそうなんだ!」


リボンくんとデチュワちゃんはびっくりしてチップスを1個くれた。チップスを取る時に足が床から浮いてカウンターの後ろに落ちちゃったけど、彼らは上手く避けてくれた。固い床から10のダメージを受けたけど、そんなに重要じゃないよ!


重要なことは、全速力でウサキュアくんにこのチップスを届けることだ。


「食べる、食べる…」


ウサキュアくんが全てのチップスを食べ終わった時、デチュワちゃんを背負っているリボンくんがカウンターの後ろから飛んできて、


「先生、あの、他の先生は大丈夫なの?」


と尋ねた。


「チップスを持っていこう!皆が気絶する前にできるだけ早く研究室に行かなきゃ!」


ソクくんは私に向かってきた。


「あの、先生―」


「今すぐ食べ物を買ってよ!」


ヤクくんとソクくんは目を大きく開いた。私はいつもこんな風には言わないよ、トッポッキくんはいつもこうだけど。


っていうか、トッポッキくんは怒鳴るけど、私はパニックになって叫ぶんだ。とはいえ、毎日がこうというわけじゃないよ。


「… 買ってよ!」


ありがとう、ドオリくん。


私達4人は廊下を走った。私はウサキュアくんを背負って、リボンくんはデチュワちゃんを背負った。ようやくうまく進みだしたよね。やっと研究室に着くー


バタン!


「チップス奪って隠してるんじゃねぇーか?」


「がっ!」


すとん!


すぐに止まって後ろを見ると、デチュワちゃんが床に落ちて、トッポッキくんが黄色い紙を取って見ていることに気付いた。


「『最近マジコロ病院では違法なことが行われています、医院長のDr.マジコロを倒してくれませんか』って… マジコロを暗殺しようとしてるんか?!」


暗殺するって… 私を殺そうとしてるの?!

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