第33話 結愛とお出かけ
ベスト8入りした翌日。俺と結愛はJR大船駅にやってきていた。
今日は日曜日。ベスト8入りおめでとうということで結愛が「今日遊びに行きませんか?」というお誘いメールを送ってきてくれたのだ。
もちろん快諾した俺は大船駅に来ているというわけだ。
集合時刻の30分前に着き、ベンチに座りながらスマホを見ていると、あと10分と言ったころに目の前が影で覆われた。
「おはよう、結愛。」
「おはようございます、佳浩くん。」
やってきたのは結愛だった。今日は白色のワンピースを着ている。
今日、どこに行くのか俺はまだ知らされていない。
「結愛、今日はどこに行くの?」
「まだ、秘密です。じゃあ今から行きましょ!」
といい、結愛は大船駅の改札へと歩いて行った。俺も着いていくと、結愛はICカードで駅構内に入った。
大船駅はJR東海道線・JR横須賀線・JR根岸線・湘南モノレールが乗り入れるターミナル駅。
改札に入り、結愛は3・4番線へと向かうエスカレーターに乗った。つまり結愛はここからさらに西へと行こうとしているのだ。
電光掲示板を見ると、次の列車は熱海行きだった。
結愛について行って、乗車位置に並ぶと接近放送が鳴りはじめた。
やってきた列車に乗り込んで、西へと向かう。
藤沢・辻堂を越えて次の停車駅である茅ヶ崎が見えて来た頃。
結愛は俺に、
「次の茅ヶ崎駅で降ります」
と言ってきた。なるほど、茅ヶ崎で降りるのか。
列車が止まり、ドアが開くと結愛と俺は茅ヶ崎駅に降り立った。
ボーカルが茅ヶ崎市出身の国民的バンドの名曲「希望の轍」が発車メロディとして流れているのを聴きながら階段へと歩いていく。
階段に着いたのと同じくらいに列車のドアが閉まり、列車は平塚方面へと走り去っていった。
茅ヶ崎からは橋本まで行ける「相模線」に乗り換えることもできるが、結愛はそのまま改札を出た。
そして「えぼし号」と書かれたバスに乗っていたので俺も乗り込む。
しかしこの段階で俺は、結愛がどこに連れて行こうとしているのかを察してしまった。
「あ、なるほどね。だから茅ヶ崎まで来たのか。」
そしてバスは動き出し、茅ヶ崎の街を移動していく。
「結愛、俺たちが今から行くのって、もしかしてあそこ?」
と言い、俺は結愛に耳打ちをした。
「さすが佳浩くんですね。正解です」
「だよね。茅ヶ崎でこのバスなんだからあそこしかないと思った。」
そして10分ほどバスで移動していると、バスはとあるバス停に停まった。
ここで俺と結愛はバスを降りた。
俺たちが到着したのは、「サザンビーチちがさき海水浴場」だ。
ここで俺たちは一旦別れ、あらかじめ持参していた水着にそれぞれの更衣室で着替えることにした。
まあ俺は持参したとは言ってもただのスクール水着なんだけどね()
5分ほどで着替え終わったので結愛を待つ間、軽めに体を伸ばしてウォーミングアップをしていると、着替えを終えた結愛がやってきた。
結愛は、黒色のセパレートタイプの水着を着ていた。
「すごい、綺麗だよ。」
さすがに女子に水着の感想を言わないというのはタブー行為に近いと思っているので感想を言うと、結愛は
「ありがとうございますっ♩ 佳浩くんも素敵ですよ」
と返してくれた。しかし耳はだいぶ赤くなっているのに俺は気づいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます