第9話 中間テストは牙を剥く

それはGWに入る直前のことだった。


「なーなー、中間考査まで1週間らしいぜ?」


「まじ?俺まだ勉強してないんだけど...」


学校の最寄り駅である八王子みなみ野駅の改札を出た途端聞こえたこの会話で、俺は危機的状況を察知した。


(え、嘘やろ。テスト1週間前!? まあ一応予習と復習はちゃんとしてたし寝てもないから大丈夫やと思うけど... 点取れるか不安だから家にこもって勉強するか)


と思いながら学校へと続く道を歩く。


教室の自席に座ると、さっそく雄平が俺の席に寄ってきた。


「なーなー、今日でテスト1週間前やって!やばい俺全く勉強してへん終わったぁ...」


と絶望気味の様子。てかあの人たちと同じようなセリフやなお前も()


「あと1週間あるんやから復習はできるやろ。なんならわからんところは俺がわかるまで教えてやる。」


「おぉ...神様仏様佳浩様...お助けください。全部わかりません。」


「わかった。じゃあ明日の放課後、八王子駅に来い。駅構内にあるコーヒーショップで待ってるわ」


「ありがとう!この恩は必ず返す」


「いやまだやってない段階からそれ言うなよ?そろそろ先生来るから授業準備しろよ。」


と雄平との勉強会の約束を取り付けた。


ちなみに社会の抜き打ちテストの結果、平均は48.3点だったらしい。雄平は51点、結愛は86点、俺は96点だった。まあ得意の社会科だからこの得点はそこまで驚くほどじゃないが、平均が40点台なのは多分抜き打ちだったので40点以下だった人がたくさんいたんだと推測する。


ちなみに、俺の得点は学年2位だったらしい。得意の社会の点数で俺より上がいたんだと若干絶望した。


一応俺は文系だけど、数学と理科もある程度はできる。多分70くらいは取れるはず。


俺とは逆に、結愛は完璧な理系。だが英語と国語が苦手なだけで、理系なのに社会科は高得点を叩き出してくる。


テスト1週間前の授業を終え、帰宅するために八王子みなみ野駅まで歩いていると突如メッセージアプリの通知音が稼働した。


それを見ると送信者は結愛で「文系科目を教えてくれませんか?」とのお誘いだった。

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