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猛獸不群、鷙鳥不雙
淮南子、或いは列子の一節である。説林訓に於いて「日月不並出、狐不二雄、神龍不匹、猛獸不群、鷙鳥不雙」と、世の理をつらつらと述べている。日本書紀には淮南子のオマージュが見られるため本邦でも非常に古くから読まれていたと思われる。この淮南子は淮南王劉安によって編纂された書物である。劉安はまぁ漢孝武の時代の人らしくその末路は不幸なものであったが、多くの食客を集めていた当代きっての文化人だったらしい。彼のおもしろエピソードが捜神記にある。淮南王のもとに仙人を名乗る八人の老人が訪れた、彼は「仙人名乗るくせに不老の術を修められず老人の姿なのか」と追い払おうとしたところその仙人たちは十四、五の美少年の姿に戻った。王は非礼を詫びて彼らを饗したという。
さて、鷲鳥不群、という言葉を見たことはあるだろうか。これは陸奥宗光の座右の銘を起源としているらしい。不群とすると語感が異なり好ましくない、多少改変するにしても雙の略字である双とするくらいにするべきだろう、雙んで飛ばない、であるのだから。陸奥宗光が淮南子を読んで間違って覚えていたのか、それとも間違えて覚えた著述家がいてその著作を陸奥宗光が読んで覚えたのか。言葉の移ろいは面白いものだ。
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