No.4 散文詩『螺環・凪』

散文詩『螺環・凪』

天空の御花畑。

楽園に一人立つ君を祝福しているから。

花々に包まれて。

どんな夢を描いていたの?


暗闇の中で君は踊る。

終末の狭間、フィニスの刻でさえ君は踊る。


夜を手放して

はっとした


私は歩く。三つの世界の境にあるあの駅から陸橋を渡った所にあるバス停。そこから天国へと向かうバスが出るのだ。


バスを待ちながら、隣にいる君と手を繋ぐ。


闇夜を照らして

ほっとした


感傷を赦して。

白昼夢のさなかで祈って。


ここは、いつもの公園の芝生の上。

薔薇が有名な公園は、まさしく君のために楽園だった。


輪廻を止めて

明日には


バスは7番目の停留所に付いた。

天界。柔らかな翼を持つ者たちが誘われる。

私は君に連れられて、太陽の昇る丘へと、その上に立つ施設へと。


嫌だ

未だまだ見えない


君は、誰なの?

わからないから、確かめるように触れようとして。

手は虚空を掬って。


永久を悟りて

恋をした


君は誰よりも美しい世界。

輪廻の軌跡がたまたま奇跡が生んだこの星で、また私達を結び合わせるようにと。


ラカン・フリーズ

恋をした


白い服を纏った者たちが迎えてくれた。

明日はいつだっけ。


あの部屋から出て、柵を越えて。

君は本を読んでいた。

中庭で。

君は風に揺らいでいた。

樹陰で。


「あの、こんにちは」


ラカンはやがてフリーズする

その病はいずれ増殖する


君は本から目を離し、その翡翠の瞳で私を捉えた。


「待ってた」




Fin

フリーズ4 散文詩『螺環・凪』

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