きれいごと

僕は、山での作業が多い仕事に携わっている。


ジブリが好きな僕は、ナウシカのように自然との共生を大切にしたいと思っている。

しかし、僕は虫が、めちゃくちゃ苦手だ。

それでも、虫たちに迷惑をかけないよう、細心の注意を払っている。



だが、先輩たちは違う。


彼らは、御乱心されたかのように、棒切れを振り回して蜘蛛くもの巣や蜂の巣を襲撃する。


そんな彼らは、よく返り討ちに遭っている。


僕も一度、地蜂の巣を踏んでしまい、刺されたことがある。

でも、それはただの僕の不注意だ。


蜂たちも無駄な争いは望まない……と思う。



先輩たちは、マムシを見つけると嬉々として襲い掛かる。


僕はそれを見ないふりをすることしかできない。


「もし俺たちがマムシに噛まれたら、お前のせいだ」と言われたことがある。

なんとなく理屈が正しそうなだけに、少し罪悪感を抱いてしまう。


マムシに遭遇しないことを祈るばかりだ。



実際、蜂は刺すし、マムシは噛む。


僕が言うことなど、「きれいごと」だと分かっている。


ただ、そうだったらいいなぁと願っている。

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