第五章 Dランクダンジョン

第85話 Dランクダンジョン

 「ここが迷宮都市〈マイソール〉か」


 〈ヴァルダナ〉と同じように高い城壁が聳え立ち、入口の城門前で衛兵の入市手続きを待つ人達が作る列の一番後方に並ぶ。


 少し時間がかかりそうだなと思い、先程から気になっていた場所に視線を向ける。


 その場所にも城壁が聳え立ち、それよりも高く白色の円柱が天を貫くように伸びている。


 「あれがDランクダンジョンか」


 何故、ダンジョンの周囲も城壁で囲っているのか気にはなるが、今は気にしても仕方ない。


 入市手続きを終えた後はそのまま冒険者ギルドに寄るつもりだ。おそらく、資料室にはダンジョンについて書かれた本があると思う。


 資料室で情報収集と宿屋の確保をしたら、早速ダンジョンに挑戦しよう。


 この後の予定について考えていると、自分の番が来た。


 「身分を証明するものはあるか?」


 「どうぞ」


 冒険者の証明書ライセンスを取り出し、衛兵に手渡す。


 「この街に来た目的は?」


 「ダンジョンに挑戦するためです」


 「分かった。行っていいぞ」


 「失礼します」


 入市手続きを終えて城門を通り過ぎる。


 左右に建ち並ぶ家屋や行き交う人達に視線を巡らせる。街並や人々の活気に〈ヴァルダナ〉との違いは見られず、拍子抜けしてしまった。


 迷宮都市と聞いて、行き交う人達が多かったり、圧倒されるほどの活気があるのかと勝手に想像していたが、いい意味で期待を裏切られた。


 左右に視線を巡らせ【探索】で冒険者ギルドを探しながら、大通りを進む。


 冒険者ギルドに辿り着き、両開きの扉を開けて中に入る。


 受付嬢が座るカウンターや依頼掲示板、併設されている食事処など、〈ヴァルダナ〉の冒険者ギルドと違いはない。


 時間帯的にも、冒険者は狩場かダンジョンに行っていると思うので、ロビーにいる冒険者は少ない。


 俺が入ってきた時、ロビーにいた冒険者達が一瞬視線をこちらに向けたが、以前のように絡まれることはなかった。


 俺もロビー内を見渡すついでに、この街の冒険者の強さを確認するため、【心眼】で所持スキルを視ようとした。


 しかし、所持スキルを視ることができなかったため、彼等の【隠蔽】のレベルは最低でも3以上ということが分かった。


 そして、受付や依頼掲示板を無視して、目的の資料室へと向かう。


 【探索】Dランクダンジョン


 本棚から一冊の本を手に取り、ページを捲っていく。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

〈Dランクダンジョン〉

 DランクダンジョンはG〜Dランク狩場に生息する魔物が出現するダンジョン。

 階層は全部で四十階層あり、最上層にはCランク魔物の階層主がいる。

 そして、最も注意するべき点は魔物の強さだ。Gランク狩場に生息するゴブリンも、Dランク魔物と同等の強さがあるので、侮ると簡単に命を落とす。


〈罠や地形、宝箱〉

 罠は二種類のみで、その空間内で大量の魔物が湧き出す罠と隠されたスイッチを押したり踏むことで周囲の魔物が大量に押し寄せる罠がある。

 地形は森や海、砂漠など様々で、ダンジョン内に出現する魔物によって変化する。

 宝箱は巧妙に隠されており、発見することは難しい。ただ、階層主の討伐や二種類の罠に対処できた時は確実に宝箱が出現する。


〈冒険者同士のトラブル〉

 基本的にダンジョン内は無法地帯なので、装備や所持品、宝箱を巡って争いが頻発しやすい。

 そのため、ダンジョン内で単独行動は厳禁。パーティー単位で行動し、自己防衛をするのが鉄則。

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〈出現する魔物〉

・ハイコボルト

 コボルトの上位種。身長はホブゴブリンと同程度であり、犬のような頭部、剥き出しになった鋭い歯、白い体毛を生やした魔物。


※所持スキル

 ・【異臭感知】Lv.4


・ゴブリン・ソードマン

 ダンジョン内にのみ出現するホブゴブリンの上位種。

 ダンジョンにより贈与された剣を所持し、スキルレベル相応の技量で近接戦闘を熟す。


※所持スキル

 ・【棍棒術】Lv.4

 ・【剣術】Lv.4


・ゴブリン・シールダー

 ダンジョン内にのみ出現するホブゴブリンの上位種。

 ダンジョンにより贈与された盾を所持し、スキルレベル相応の技量で近接戦闘を熟す。


※所持スキル

 ・【棍棒術】Lv.4

 ・【盾術】Lv.4


・ゴブリン・アーチャー

 ダンジョン内にのみ出現するホブゴブリンの上位種。

 ダンジョンにより贈与された弓を所持し、スキルレベル相応の技量で遠距離戦闘を熟す。


※所持スキル

 ・【棍棒術】Lv.4

 ・【弓術】Lv.4


・ゴブリン・ランサー

 ダンジョン内にのみ出現するホブゴブリンの上位種。

 ダンジョンにより贈与された槍を所持し、スキルレベル相応の技量で近接戦闘を熟す。


※所持スキル

 ・【棍棒術】Lv.4

 ・【槍術】Lv.4


・ゴブリン・アクサー

 ダンジョン内にのみ出現するホブゴブリンの上位種。

 ダンジョンにより贈与された斧を所持し、スキルレベル相応の技量で近接戦闘を熟す。


※所持スキル

 ・【棍棒術】Lv.4

 ・【斧術】Lv.4


・コボルト・スカウト

 ハイコボルトの上位種。

 各種感知スキルで敵を逸早く発見し、仲間を引き連れて敵を襲撃する。

 ダンジョンにより贈与された短剣を所持し、スキルレベル相応の技量で近接戦闘を熟す。


※所持スキル

 ・【剣術】Lv.3

 ・【異臭感知】Lv.4

 ・【気配感知】Lv.4

 ・【魔力感知】Lv.4

 ・【罠感知】Lv.4


・コボルト・トラッパー

 ハイコボルトの上位種。

 罠を作成し、捕まえた獲物を襲撃する。罠を解除することもできる。

 ダンジョンにより贈与された短剣を所持し、スキルレベル相応の技量で近接戦闘を熟す。


※所持スキル

 ・【剣術】Lv.3

 ・【異臭感知】Lv.4

 ・【罠作成】Lv.4

 ・【罠解除】Lv.4

 

・コボルト・アサシン

 ハイコボルトの上位種。

 各種遮断スキルで自身の存在を隠し、無音で意識外から敵を奇襲する。

 ダンジョンにより贈与された短剣を所持し、スキルレベル相応の技量で近接戦闘を熟す。


※所持スキル

 ・【剣術】Lv.3

 ・【異臭感知】Lv.4

 ・【気配遮断】Lv.4

 ・【魔力遮断】Lv.4

 ・【無音歩法】Lv.4

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