第27話 待ちに待った旅行
あれから1週間があっという間にすぎ、お母さんは魔力との一体化を完璧にして放出系魔法の訓練をしている。
あの事件の後初めての修行の時は、自分のことを追い込んでいて魔力がブレブレだったが、私たちの応援と大丈夫と伝えたら徐々に良くなってきたのだ。
私達も気合いが入ったのかいつも以上の進みで進んでいき私は火魔法の他に水、風魔法も覚え、サリアは、火、水、風の制度を上げたりしていた。
他の属性や、アレンジした魔法は一緒に教えた方が紗夜ちゃん的にも楽だし、一緒にやった方が楽しいからという理由だからだ。
……
今日は振り返ってる余裕なんてなかったんだ!!急いで準備しないと!!
なんでこんなに急いでいるかって?
今日は待ちに待った街まで出かける日だから!!
私は布団から出て急いで洗面所で顔を洗いリビングへ行く。
リビングにはお父さんとお母さんがいるが、まだサリアの姿が見えない。
時間的に、もうそろそろ起きないと間に合わなくなるのに……
「おはよう。サリア起こしてくるね。」
「おはよう。よろしくね」
「おはよう」
私は2階に戻りサリアの部屋にノックもせずに入る。
もちろんいつもはノックをしているが、いまはどうせ寝てると思うのでしていない。
そこには、ベッドの上で、お腹を出しながら寝ているサリアの姿が。
布団は何故かベッドの下に落ちてしまっている……。
ここまで寝相が悪いのか……。
いや待てよ。
私と寝る時は寝相がいいはず。蹴られることもなければ、布団がぐちゃぐちゃになることも無い。起きると横でしっかりと寝ているぞ?
私は疑問に思いながらサリアを起こす。
「もう起きて、そろそろ起きないと間に合わなくなるよ!!」
「お姉ちゃん?」
「そうだよ。おはよう。今日は街に行くんだから起きて!!」
「そうだよ!!街まで行くんだよ!!お姉ちゃん早くリビングに行くよ!!」
サリアは勢いよくベッドからとびだして、私と一緒にリビングに向かう。
その間にしっかりと顔を洗ったが、急いでいたのか少し服を濡らしてしまった。
濡れたところを拭きながらおっぱいを堪能したことはもちろん内緒だ……。
段々とと私が変態になってないか!!
私たちがリビングに着く頃には料理ができていたので、自分の分をよそって椅子に座る。
今日の朝食は、卵とキノコのスクランブルエッグとなめこの味噌汁と白米。
前に味噌汁を出してから家族でブームになったのだ。
疑似体験時でもそうだったが、私はなめこのお味噌汁が1番好きで、朝から飲めるなんて最高の気分。
みんなが席に着くと、
「「いただきます」」
朝食はとても美味しかったが、今度卵とキクラゲの卵炒め?が食べたくなった。
疑似体験時に食べた料理だが、卵がトロットしていてそこにキクラゲの食感と味が混ざり合う感じが美味しすぎてつい食べすぎてしまう一品だ。
もちろん今日のスクランブルエッグも美味しかった。
私たちは食べ終わると自室に戻り着替えや準備をすることに。
食材はお父さんが全額出してくれる。と言ってくれたが、他に欲しいものが出てくるかもしれないので、しっかりとお小遣いを持っていく。
お小遣いといっても、ほぼ図鑑にお金を費やしていた為ほんの少ししかない……。
もしも足りなかったら、お小遣い前借りしないと……
私は、お小遣いを財布に入れた後に着替えを始める。
今日は街まで行くのだからオシャレをしないと。と思うが、私のセンスはゴミレベル。今ある洋服も全てお母さんが買ってきてくれたもの。
私はとの組み合わせがいいか分からないので、白Tシャツに黒いパンツをチョイスした。
何故このチョイスかは、疑似体験時によく街で見かけた服装だからだ……。
……問題ないよね。
私は着替え終わるとサリアの服のセンスが、気になりサリアの部屋に向かう。
ドアをノックすると、「どうぞ」と言ってくれたので開けることに。
そこには、既に着替え終わっているサリアがいるが…………。
上は、どこで買ったのか分からないカエルが大きく描いてある緑の服に緑のパンツ……。
ほぼカエル……
「お姉ちゃん。どう?似合ってるでしょ!!このカエルさんね。お母さんが似合わない!!って言ったんだけどすごい似合ってると思わない?どう?どう?」
「サリア……」
私は言葉に詰まった。
なんと言えばいいよか……。
私よりもセンスがないとは……
「サリア。今日はお姉ちゃんが洋服決めてもいいかな?せっかくの思い出になるから、似てる服で街まで行きたいんだよね。どうかな?」
「お姉ちゃん!!賛成!!」
私はサリアのクローゼットから黒いパンツと白いTシャツ。それに、黒いウエストバッグをかけてもらう予定。
そう、ウエストバッグを……。
私が、洋服を用意している間にサリアは、下着姿になって待っていた。
準備が終わって振り返ると巨乳の美少女が、下着姿でたっているのだから、相当驚いた。
「サリア白Tシャツは、ズボンの中にしまう感じで。ウエストバッグは、肩から斜めにかける感じでやってみて」
「はーい。」
サリアが着替え終わると私が想像通り似合っているし、ある部分が強調されている……。
私がウエストバッグをつけない理由はそれではないからね……。
「どう?大丈夫?」
「大丈夫!!似合ってて、可愛いよ」
「お姉ちゃん!!」
サリアは嬉しかったのか私に抱きついてきた。
私が頭を撫でると、「えへへ」と喜ぶのがたまらない……。
忘れてた!!急がないとなんだ!!
私とサリアは忘れ物がないか確認した後、一緒にリビングに行く。
「準備できたか?」
「「はーい」」
私たちは玄関に行って靴を履く。
今回は転移魔法で行くので、馬車の腰痛い問題は無いが、少し寂しい気持ちもある。
いつか旅をする時のお楽しみにしておこう。
お父さんは詠唱を始める。
「遠くよ遠く。四方八方どこまでも天にまで伸び、あられもなく現れ、人々は喜びと悲しみに包まれることであろう………………いざ、舞い上がれ。転移!!」
私たちの足元に魔法陣が浮かび上がったと思ったら、足元に見えるのは先程まで見れなかった土。
顔を上げるとどこかの森や、林の中を連想させるようで木で埋め尽くされている。
「お父さんここは?」
「ここは街の近くの森、あらず森だよ。」
「「あらず森?」」
「街まではだいたい歩いて20分程かな?足元に気をつけて行くんだよ。」
エルフは森の散策を良くするので全く疲れないが、他種族が急に歩いたら相当疲れるだろう。
私たちはお父さんが先頭になって街まで歩いていく。
もうすぐ街に着くというドキドキ感と、里の外に出た緊張感が体全身に伝わってくる。
緊張しすぎて、少しロボットみたいな歩き方になっているが、それは見なかったことにしてもらいたい……。
そのまま歩いていると森を抜けて街の砦が見えてくる。
「お姉ちゃん!!あれが街なんだよね!!中はどうなってるのかな?楽しみだね!!」
「どんな街かすごい気になるね!!楽しみすぎてすごいドキドキしてるよ!!」
「私も!!」
私はもうすぐ街に入るので、サリアと手を繋ぐことにする。
「へへへ。お姉ちゃんの手暖かい。」
「サリアも暖かいよ」
「えへへ。」
私たちのやり取りを見て、微笑ましくなる両親。そんな両親を見て私達も顔を合わせてにっこりと笑った。
砦には、何個か人が出入りする穴が空いてありそこで、危険人物では無いかなどを確認して、街の中に入るシステムとなっている。
砦自体はコンクリートで作られたような感じで、一面灰色だ。
私たちは街にはいるため検査の列に並ぶ。
見た感じだと前に10人ぐらいいる感じなので、このまま行けばすぐに中に入れるだろう。
「お姉ちゃん。真ん中の穴から少し中の様子が見れるよ!!見たことがない家みたいだね!!楽しみ!!」
「どんな食材と出会えるかも楽しみだよ!!食材によって、どんな料理を作れるかワクワクが止まらないよ!!」
「2人とも楽しい気分はいいけど、はぐれちゃダメだからね。行きたい場所がある時はしっかりと言うのよ」
「「はーい」」
まるで、遠足に来た気分だ。疑似体験でも、こんな気分を味わっていたが中学生までで、それ以降は楽しい遠足!!ってことは無かった。
社会人になれば、体の休息を一番に考えていたので、ボランティア以外に出かけることはほぼなかった。
私達は、まだかまだか。という気持ちで列に並んでいたら、とうとう私たちの番に回ってきた。
「身分証見せてもらっていいですか?あと水晶に手をかざしてください。」
「「身分証?」」
私とサリアは、頭の上にはてなが並ぶ。
そう、私たちは身分証を持っていないからだ。お父さんたちはギルドカードを見せているが、私たちはギルドにも所属したことがなければ、貰う機会すらやってきていない。
私たちがあたふたしている間に、お父さんとお母さんは身分証を提示し、水晶に手をかざし終えていた。
なんでも水晶に手をかざすと、犯罪歴などがわかるらしい。
ってそんな場合じゃない!!
私の番になってあたふたしていると、門番が怪しく見始めた。
「もしかして、身分証忘れたのか?」
「あの……。持ってないんですけど……。」
「そうか。では、こっちに来てもらうぞ!!」
「えっ?」
私は、門番の後ろにある扉の中に入れられた。
そこには、門番と同じ格好をしたおじさんとお兄さんがいる。
どうしよう。と悩んでいたら、後ろからサリアもやってきた。
……。
どうしてお父さんとお母さんは助けてくれないのだろうか。
私が不安になっていると、門番と同じ格好の人から声をかけられた。
「そんなに緊張しなくて大丈夫だ。ここで、一時的な身分証を発行するだけだから。そこの水晶に手を当ててくれ。そうすると、こんな感じで自分の年齢や犯罪歴の有無などが出てくるから。」
おじさんが、水晶に手をかざすと水晶の上に年齢や名前などの個人情報が出てきた。
魔力量などについては、記されてないので、本当の個人情報だけみたい。
サリアと顔を見合わせて、ゆっくりと水晶に近づいていく。
私から水晶に手をかざすと、おじさんと同じように個人情報が出てきた。
「犯罪歴なしっと。次。」
「はひ!!」
緊張しているのか、サリアは少し噛んでしまった。ガクガクに緊張しているサリアを見て、門番格好の2人はクスクスと笑っている。
手をかざすと私と同じように個人情報が出て、こちらも「犯罪歴なしっと」で、終了した。
「このカードが、一時的な身分証だからね。さっき手をかざしてもらったと思うけど、その情報がこのカードに入ってるから絶対に無くさないこと。カードの有効期限は一週間だから、その間にギルドに立ち寄ってギルドカードを作ることをおすすめするよ。てか、二人だけで来たのか?大丈夫か?」
おじさんは、心配しながら私たちにカードを渡してくれた。
カードには、名前と顔が記載されてるだけで、あとは何も見えない。カードの大きさは診察券ぐらいの大きさなので、お財布に優しい。
「私たちは両親と来たので、大丈夫です。多分門の近くにいると思うので……」
「そうか。それなら、両親と会えるまで一緒に同行しよう。エルフは危ないからな。」
「「はい!!」」
私たちはおじさんについて行く感じで反対側の扉から出た。
そこには、今まで見た事がない作りの家が続いており、私とサリアは感動する。
疑似体験時のヨーロッパの街並みって感覚だが、実際に国外に出たことがない私にとってはすごい新鮮な感情になった。
「二人とも終わったみたいだね。」
「お疲れ様。」
「「……」」
私たちが、外の景色に驚いていたら、お父さんとお母さんに話しかけられた。
しかも、ここから出てくるのが分かってたみたいに待ち伏せしてるし……
「あなた方がご両親ですか?」
「はいそうです。」
「お疲れ様です。」
「はぁー。エルフってなんでいつもこうなんですかね?初めて街に来た方に説明もせずに、私たちのところに追いやって、自分たちはそのまま街の中に入るって……。流行ってるんですか?」
おじさんは少しキレ気味で言葉を放つ。
それもそのはず。説明すれば早く済むことに時間をかけて、子供たちを不安にさせるのだから。
正直いってサリアが居なかったら、絶対不安で泣いてたし……
「すみません。エルフのしきたりみたいなもので……。初めて街に来た時には、何かあっても自分で対応するようにってことで、今回みたいなことをしているんですよ。」
「はぁー。少しはこっちの身もなってください。」
「はい……」
門番は、お父さんとお母さんに怒り終えると、私たちに笑顔で「楽しんでね」と言って部屋に戻って行った。
「もう、お父さんとお母さん意地悪しないでよ!!ほんとに大変だったんだからね!!」
「ほんとにそうだよ。おじさんが優しかったから何とかできたけど、怖い人だったら初めての街が地獄の思い出になるところだったよ!!」
「でも、これはなしょうがないんだよ。俺だってやられた時は辛かったよ。大人になった時に、笑い話になるから今となってはやって良かったと思うからな……。正直いって、待ってる側の方が苦痛だったし……。」
「それはそうね。待ってる方が辛いわね。」
「もう意地悪しないでね!!ぷん!!」
サリアは、プンプンと怒りながら私と手を握っている。さっきまでと違い少し手に力が入っているが、まだ気づいていない様子。
私は呆れた表情をしていたが、気持ちを入れ替える。だって、街の中に入れたんだから!!
早くどんな食材があるのか見たいし、調理器具なんかも見たい。楽しみすぎてしょうがない。
「ごめん。せっかくだし身分証を作りに行こっか。冒険者ギルドでいいかな?一応商業ギルドもあるけど」
「そうね。旅をするって言ってたから冒険者ギルドがいいと思うけど、どうするの?」
「「冒険者ギルドがいい」」
私たちは冒険者ギルドに向けて歩き出すのであった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ついに今回からエルフの里外のお話です!!
今まで異世界っぽい所をそこまで書くことが出来ませんでしたが、しばらくは異世界感満々で行く予定です!!
楽しんでください!!
【お知らせ】
今後は、日、木の週二投稿予定ですので、引き続きよろしくお願いします!!
最後まで読んで頂きありがとうございます。
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