第15話タルタルソース中毒

 目を覚ますとそこにはお父さんとお母さんが仲良くリビングで話していた。

 あれ?寝ちゃってたみたい……


 「起きたの?おはよう。疲れたのか結構な時間寝てたのよ。お父さんとお母さんはもうお風呂入ってきたからお風呂入ってきなさい。その間にサリアを起こしとくから。」

 「お父さんおかえり。まだご飯作ってない?ちょっと作りたいものがあるんだけど」

 「大事よ。サリアが上がってきてから作る予定だから。出来たての方が美味しいでしょ。」

 「ただいま。お母さんから今日の話を聞いたけど、今度お父さんも一緒にいきたいなぁ」


 お父さんが魚掴みをしていたらどんな結果になっていたのか、相当気になるがまずはお風呂に入ってこなきゃ。

 着替えはお母さんが用意してくれているのでそのまま脱衣所に向かい、お風呂に入る。


 「ああああああああぁぁぁ」


 疲れた体に染み渡る。

 疑似体験では、シャワーだけで終わりにする日が多かったけどやっぱり湯船に浸かった方が疲れが取れる。

 しかも毎日檜風呂に入れるなんて億万長者になった気分だよ。


 そうそう。今回は白身魚フライに合うあれを作る予定!!

 エルフの里ではあまり外の料理を食べないのか前回大根おろしを作っただけで大喜び。

 今回は、白身魚フライということでタルタルソースという1度ハマると抜け出せない最高のトッピングを用意する予定!!



 へっへっへっ。冷静を保てるのも今のうちだぜ……



 お風呂でゆっくりしたいが、タルタルソースを作った後に冷やしたいからもうそろそろ上がらないと。

 私はお風呂を出て着替えてリビングに向かう。

 ちょうどサリアも起きたみたいで私とバトンタッチしてお風呂に行くことに。

 寝ぼけてたのか「お姉ちゃんと一緒に入りたかったのに」とか言ってたが、今回はスルーした。

 だってタルタルソースだよ!!


 カエルのエプロンを来ていざクッキング!!

 まずは、ゆで卵を作る為鍋にお湯を入れ沸騰待つ。

 その間に玉ねぎのみじん切り!!

 しっかり猫の手で切っているので指を切る事は無い。

 私の料理に興味津々なのかお父さんとお母さんがやってきた。


 「お母さんに聞いたけど、焼き魚似合う最高の付け合せを作ったんだって。あんなに幸せそうなお母さんの顔を見ると早く食べたくてしょうがないよ。しかも、大根で作るって全く想像ができない。今から楽しみだよ。」

 「そうなのよ。大根と一緒に煮ると美味しいのは知ってたけど、生のまま使うとは流石に思ってなくてほんとに驚いたわ。そして今回の料理もどれほど美味しいものができるのかがすごい楽しみ!!期待してるわよ!!」

 「これは大期待だな」


 こんなにもプレッシャーがかかりながらタルタルソースを作ることがあるのだろうか?

 タルタルソースは、高級料理店でしか使わない!!というものではなく家庭料理……

 少し手が震えそうになったが、包丁を持っているので落ち着いてから再開する。


 ああこれだよ。なんだかよく分からないけど涙が出てくる現象……

 鼻から来るとか目から来るとか色んな話を聞いたが結局どれが本当なのか分からなかった。

 ある時は鼻をつまんで、ある時はゴーグルをして切ったがどちらも変わらず涙が出たからよくわかっていない。

 涙で目が痛くなりながらついに玉ねぎのみじん切り終了!!

 泣きながら玉ねぎを切っていた間にお湯が沸騰している!!

 急いでコッコの卵を入れて10分待ち!!

 その間に玉ねぎをボールに入れて塩コショウを少し降る。


 「ほんとに何作ってるのか分からないわね。」

 「これは白身魚フライにつけるともっと美味しくなる最高のトッピングなんだよ。白身魚フライだけではなく、エビフライとかにも合うから後で詳しいレシピ教えるね」

 「ありがとう。我が家の料理が一段と美味しくなって、しかも娘に手伝って貰って幸せだわ」

 「娘の料理ほど最高なものはないからな。これからも楽しみにしてるよ」

 「あなた私の料理も最高でしょ。」

 「もちろん」


 料理しているそばでイチャイチャしないで欲しい。

 こう見えて結婚して数百年経っているらしい……。

 いつまでも新婚のように仲良いのはどれだけすごいことか……

 疑似体験では、熟年離婚が増え社会問題になったぐらいなのに。



 そんな感じで家族3人で話していると、卵が完成する時間になった。

 卵が入っていたお湯を流し、急いで水を入れる。

 その後、卵の殻を割るが相変わらずもどかしい!!

 一時期コップに入れて振ると割れやすい!!と流行ったが、半熟にしていたせいかグジュグジュになってしまい殻を大量に食べてしまうショッキング事件があってから禁止しているだ。

 まぁ数個しかないから楽勝だけどね。

 私は慎重に卵の殻を外し綺麗なゆで卵が完成した。

 それをボールにしれてフォークで潰す!!

 綺麗な形だからこそフォークでグチャグチャとした時になんとも言えない感情になる。

 ある程度形が無くなってきたら、出番だ!!

 自家製マヨネーズ!!

 疑似体験では、スーパーに売ってるマヨネーズを使っていたのでどれぐらい味が変わるのかが楽しみ。

 マヨネーズを入れようとした時に少し変な顔をして見てたけど、たまごサンドがあるぐらいだから全然問題ないよね。

 私は味をみながらマヨネーズを入れていくが、自家製のこともあって、いつも作るより数倍美味しい!!


 「完成!!」


 隣を見るとお母さんとお父さんがスプーンをもって待機中……

 どんだけ味見したいんだよ!!

 出来たてではなくて冷めた状態で食べて欲しいけど、多分我慢できないだろう……


 私はタルタルソースが入ってるボールを両親の方に持っていき


 「味見してみて」

 「「待ってました!!」」


 マヨネーズを入れた時の不安の顔はどこに行っとのやらと思うぐらい満点な笑みで返答。

 スプーンでタルタルソースをすくい、口に食われると


 「「んん!!おいしい!!」」


 チッチッチ。これだけで満足したとは言わせないぜ!!

 タルタルはあくまでトッピングだ。

 メインである揚げ物があることで美味しさが倍増!!

 タルタルだけでここまで美味しく食べてくれるなら、夕食時にはもっとおいしく……っておい!!


 「2人とも、味見は一回のみでしょ!!さっきから何回味見してるの!!夕食分が無くなるからもう終わり!!」

 「「そんな〜ん。」」


 やっぱりタルタルは、依存してしまう味だ。

 味見が終わるとほんとに悲しそうな顔をしている。

 だがしょうがない!!これから食べる分がなければ作った意味が無くなってしまうから。


 「お母さんが作ってくれる白身魚フライと一緒に食べると最高に美味しいと思うから我慢!!」

 「それほど美味しいのか……お母さん。もう作ってくれ!!」

 「そうね。サリアももう少しで上がってくるから作っちゃうわ!!」


 お母さんは、急いで白身魚フライの準備をして揚げにはいる。

 その間、タルタルソースは冷蔵庫で冷やしタイム!!

 途中でサリアが上がってきてタルタルソースを味見した時本当美味しそうに食べてくれた。

 その近くで両親がヨダレを垂らしそうなのがなんとも言えなかったが……


 「できたよ!!」

 「「待ってました!!」」


 今日の食事は、食パン。キャベツの千切り。白身魚。タルタルソース!!



 ここはご飯と共に食べたかったが、フィッシュバーガー(サンド)行きだ。

 フィッシュバーガーも好きなので今回の文句量は少しだ。


 「「いただきます!!」」


 開始の合図とともにタルタルソースの奪い合いが開始!!

 サリア、お母さん、お父さんは戦闘体制になっている。

 いや。美味しいのはわかるけど、早くフライに乗せてよ。

 私はキャベツの上にフライを置いて準備万端。

 後はタルタルの順番待ち。

 結局ジャンケンで順番を決め、サリア→お母さん→お父さん→私の順でタルタルソースが回ってくる。

 みんな取りすぎて私に回ってくる時は少ししか無かったのがちょっとショック。


 「タルタルソースは、ちゃんとフライに乗せて!!さっきからずっとタルタルソースだけで食べてるけど、白身魚フライと一緒に食べるために作ったの!!


 中毒性があるのは知っていたがここまでとは……」


 私の注意の後、白身魚に乗せてくれたがタルタルがこれでもかというほど溢れてる。

 それに比べて私は少ししか無いので少しずつ大切に乗せていく。



 箸で白身魚フライを持ちいざ口の中へ!!

 サクッと音とともに美味しさが口いっぱいに広がる。

 これだよこれ。

 ふっくらとした魚の身にサクサクの衣。

 そこにタルタルソースの玉ねぎの辛さとマヨネーズのまろやか感が交わって最高な味わいへ!!


 「美味すぎる♡」

 「お姉ちゃん!!お魚さんがすごい美味しいよ!!このたるたるそーす?だけでも美味しいのに、お魚さんにかけるともっと美味しくなる!!」

 「これを食べれば仕事の疲れも一瞬で吹っ飛ぶ。タルタルソースだけでもあんなに美味しかったのに、ここまで美味しくなるとは……逆に怖い」

 「これなら毎日でも食べられるわね。白身魚も今日取り立てだから新鮮でふっくらしているところに衣が包んでいい味わい。こそでタルタルソース!!かければかけるだけ美味しくなる!!もはや意味が分からないわ!!」



 速報!!

 我が家はタルタルソース中毒に感染中!!

 朝は口が臭くなるので食べられないが大丈夫か?!



 「タルタルソースを食べると口が少し臭くなるから出かける前とかはあまりおすすめしないからね。明日の分が無いから大丈夫だと思うけど」

 「「……えっ!!」」


 お母さんが小さか声で、「夕食後作る予定だったのに」とか言っていたが聞いてないふり。

 だってこのまま行くと米食べたい欲が抑えられなくなるもん!!


 二つ目はフィッシュバーガー(サンド)にする。

 まずパンにキャベツ。白身魚フライ。タルタルソースを入れ、食レポを半分に折る。


 完成!!



 白身魚フライだけを食べ続けると流石に油っこいからね。

 てか、みんな食パンとキャベツ一切食べてないじゃん!!

 タルタルソースに夢中になりすぎて全く気づいていない。

 美味しいものが目の前に現れたらつい忘れてしまう気持ちは分かるけど、私たち野菜大好きエルフだよ……

 そんなことはほっといてフィッシュバーガーをパクり!!


 「美味い!!」

 野菜が入ることによって油っこさの緩和。

 タルタルとキャベツ。白身魚フライの相性が抜群すぎる!!そこにふわふわパンが、私もいるよと主張してくるが、誰も邪魔になっていない!!

 最高すぎる!!


 「お姉ちゃんの美味しそう!!作り方教えて!!」

 「「こっちにも教えて!!」」


 結局皆にフィッシュバーガーの作り方を教えた。

 あまりの美味しさに笑っていたがタルタルソース中毒から抜け出せるのか……


 夕食が終わる頃には、今日だけでは足りないから明日も同じ夕食にしよう!!と決まってしまうのであった。


 「「ごちそうさまでした!!」」

 「ほんとに美味しかったよ。ありがとうアリア。洗い物とか終わったらレシピ教えてね。明日の分を沢山作らないとだから!!」

 「今日から明日が楽しみ!!」

 「明日の仕事は、今まで以上に気合いが入りそうだ!!」


 明日は分かるけど、また次の日などと永遠に続かないことを願うしかない。

 ちょっと落ち着いた後にタルタルソースを教えたが、相変わらずの味見の量。

 スプーン5杯もしていた……食べ過ぎだよ。



 満足した私はリビングでゆっくりした後に自室へ。

 そういえば紗夜ちゃん!!

 すっかり忘れてた……


 「紗夜ちゃん?いる?」

 「ああいるよ。幸せな家族の時間を邪魔しないようにこっそりお邪魔していたよ。疑似体験では、私が居ないと寂しそうだったのがこんなにも幸せになるとは思っていなかったよ。」


 紗夜ちゃんが嫉妬!!

 今まで友達がいなかったからここまでなかったけど、実際にいたらこんな感じになっていたのか……可愛い。

 疑似体験では、両親ともあまり話さなかったからな……


 「ここ周辺で修行場所にいい所が見当たらなかったから、ちょっとの間姿を現さないと思う。修行をする時になったら瞬間移動の魔法で帰って来るから安心して」


 もしかして、私の家族時間に嫉妬していなくなってしまうのでは!!

 本当は修行場所見つかってるが、寂しさを埋めるために新たな友達を探しに行くのでは!!

 紗夜ちゃん。私の友達はあなただけなのに!!


 「紗夜ちゃん。最近一緒に入れなくてごめんね。だから、これからも一緒にいようよ。多分紗夜ちゃんのことだから、私に迷惑かけないように少しずつ離れていってるんでしょ。嫌だよ。」

 「いや。そうではなくて、普通に場所探すためにちょっと出かけるだけ。魔力との一体化で暴走するとマジで地形変わってくるから……魔力的にも……でもアリアがそんなこと思ってくれていたとはね。案外可愛いところもあるんだね。」

 「おやすみ!!」


 赤くなった顔を隠すように布団に被った。

 ああああああああぁぁぁ恥ずかしい!!

 最近構ってなかったから、拗ねたんだと思っちゃった。

 こんな経験ないからしょうがないよね……



 おやすみ


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

今回は一日の終了はタルタルソースと共に!!

今まででは、小説内の一日が一話で終わっている感じでしたが、今回は六話にわたってお話を書いてみました。

可愛い歌が聞けたりとか、中毒症状が出たりとかなかなか濃いお話をかけたと思います!!

結構満足してます!!

明日からは、一日一日が短くなるかもしれませんのでよろしくお願いします!!(学校編に行けなくなるので)



【お知らせ】

今後は思い浮かばなかったり忙しかったりする時は投稿なしって感じになります。(前日に進捗状況みたいなのでアナウンスします。)

それ以外は毎日投稿する予定ですのでお楽しみに!!


最後まで読んで頂きありがとうございます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る