第8話 配達の詩

 配達の詩


 時を閉じ込めて

 過去から未来に配達する

 ゆきゆきて、大体、配達に間に合わない


 物語を作る人、聞く人

 語られるべきものはすでに何回も使われた話ばかり

 馬鹿は何回も見る

 賢い人は何回も配達される


 過去を振り返るたびに

 今から過去の地点に

 私は再配達される

 過去から抜け出せない


 未来を進むたびに

 どこかから今の地点に

 不安が再配達される

 生きること、死ぬことから抜け出せない


 ゆきゆきて、再配達

 円環が回るように、次の地点を巡る。

 そうして、亡くなった感情を再依頼して

 私はこの部屋の片隅で待っているのです。

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