第11話 鬼だから愛されてないのでしょうか?

 優平くんと夫婦喧嘩した。

 実際にはまだ結婚してはいない。


 私もだいぶこの世の結婚のことがわかってきた。未成年は結婚式なんてあげない!もっと大人になってから綺麗なドレスというのを着て、教会って言う所で上げるのだとドラマで学習した。


 ドラマでもアニメでも結婚式のシーンは教会というところで上げるのが一般的なんだ!!


 私も早くしたい。

 でも優平くんはまだ私を外に出してくれないし、贅沢を言っちゃダメなことも判るけど、やっぱり鬼の血をつけてたまに帰ってくる優平くんを待つだけの嫁なんて辛い!しかもキスも最近してくれなくなっているし、照れて逃げられる。


 私は…どうしたらいいんだろう?

 民代さんは


「優平様はきっと鈴様を守りたいのだと思いますよ?


 陰陽師は外の結界から出ると鬼に襲われることが結構あるんです。だから外に鈴様を連れて行くのを渋っているんだと思います」


「そんな…!では私、一生ここでだらだら生きなきゃならないの?子作りも未成年じゃダメって言うし!私何の為に…


 うっうっ…!きっと優平くん最初こそ優しくお嫁にすると言っていたけど、もう私には興味はないんだわ!」

 と泣いたら民代さんは


「そんなことないですよ、鈴様…。確かに優平様にも問題がありますね…。それではこの民代が一肌脱ぎましょう!!」

 と言ってくれて優平くんが学校から戻ると民代さんは優平くんに何か告げてちょっと反省したように部屋に呼ばれた。


「あの…鈴さん…。誤解してるようだね。その…、ぼぼ、僕は…鈴さんを好きだよ?じゃないとお嫁さんになってなんて言わないし」


「でも!お嫁さん…。いえ、私は婚約者で恋人なんでしょう?私もその辺はもう学習したのです!ドラマとかで外の世界のバスやら電車やらに乗ってみたいし!買い物もしたいし、映画館や遊園地にも行ってみたいです!


 こんな所に閉じこもってばかり!!いくら鬼がいて危険だからって!!私だって鬼でしょう!?やっぱり私が鬼だから嫌いなんですよね?」

 と興奮気味に怒ると


「ちち、違うよ!鈴さんのことは鬼だとしても好きな子だよ…!お嫁さんだよ…!


 でも僕、そんな経験あんまりないから恥ずかしいんだよ…。外は…まあ、機会を見て行こうと準備してる最中だからもう少し待ってくれない?だめ?」


「………判りました!私には嫌だなんて言えないし!」

 とプイっと横を向くと焦った優平くんは…


「う…うん…。じゃあ、ど、どうして欲しいの?あっ!手ならいいよ!」

 と手を差し出した。憎らしい!そんなことで私が許すはずないわ!


 でも折角だし握ってみる。ドラマで『恋人繋ぎだね』って言ってたヒロインが居たし。

 でもそれじゃ気が済まない!!私は握った優平くんの手を離して手にキスを始めると


「なっ、何してんの!?鈴さん!!?」

 と赤くなる。


「手にキスもダメならどうすればいいの!?私のこと愛していないんですね!?お嫁さんなのに!それとも学校で好きな女の子がいるから私を外に出したくないんですね!?」


「違うよ!!」


「違わないです!鬼だし怖いし人じゃないし…」

 とボロボロと優平くんに愛されてないことが悲しくて涙が出る。優平くんは慌てて


「わぁ!泣かないで!ごめん!本当に違うよ…鈴さん綺麗だから外に出すの躊躇っていたんだよ!!ごめんよ…そんなに気にしてるだなんて!


 もちろん鈴さん以外の女の子には興味無いよ!!………恥ずかしいけど、お詫びに鈴さんがして欲しいこと言って…」

 とついに優平くんは折れてくれたから私は遠慮なく抱きついて


「遊園地に行きたいですっ!」

 と要望した!だってドラマやアニメでも男女は必ずそこへ行って観覧車とかいうのでキスしていた!優平くんは悩んで


「んんんんーー!!…わ、判りました行こう…。今度の日曜日は翌日振り返り休日だし…」

 と折れた。やった!!一つクリアした!!外に行ける!!


「それからもう一つ!!して欲しいこと…!とりあえずキスしたいです!あの映画みたいな濃いの!!」

 と言うと赤くなる優平くん。


「いや、あの、せめて普通のじゃ…」


「やっぱり愛されてないーー!!!」


「いやいや、そんなことないよっ!!あああ、愛しししていいるるしっ!」


「それじゃあできますよねっ!さっきして欲しいことしてくれるって言ったのに!!」


「うぐっ!!」

 と呻く優平くんは仕方ないと照れながらも了承して、


「そ、それじゃあ…」

 と赤くなり接近する。優平くんの匂いがして嬉しくて堪らない。でもちょっと渋っていたから私からしてみると驚いて固まる優平くんに2、3回キスをして行くと段々彼は受け入れてもうどうにでもなれと小さく呟いたかと思うと一気に私を引き寄せて深いキスをしてくれた…。


 しばらくして息が少し苦しくなったところでようやく離れて優平くんは


「ど、どう?」

 と感想を聞いてくるから…私も赤くなり


「はい…大変満足しました!」

 と言って無防備に笑う私を見て優平くんは額と胸を抑えて


「ぐううっ!」

 とまた呻いた。

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