第9話 血だらけの旦那様のご帰宅におったまげる
私は美味しいお昼ご飯の後もずっとテレビを見ていた。
何というかこれを見ていると、今の世がどうなっているのか一瞬で視覚として入り勉強になった。
お昼の奥様ワイドショーとかいう、旦那さんがいるのに他の男の方と秘事をしている番組を民代さんと見る。
「今の世は浮気とか結婚している人は不倫といいます。これは作り物のお話で役者が演じているだけですが、実際にすると世間から後ろ指指されますし、離縁の元になるので鈴さんは絶対にやってはいけませんよ?生涯優平様だけです」
「わかりました」
と応えて一応聞く。
「あの…優平くんがその浮気や不倫をしたらどうなりますか?私捨てられるんですか?」
捨てられると行く所がなくなってしまうし、優平くんに冷たくされたら生きていけないかもしれない…。
あれ?私どうかしているわ。
優平くんは優しくて私に酷いことしない旦那様になってくれたのに。感謝しても、し尽くせないのに。
そしてチャンネルを変えると今時の女子高生特集という、若い女の子達が建物に入り、買い物している姿や見たこともない食べ物、いんすたばえ?すぽっととやらが映った。
民代さんが説明してくれたので女子高生やらジェーケーやらを覚えていく。そして
「ちゃんとこの世に鈴さんが対応できるようになると鈴さんもJKとして優平さんと同じ学校に通えますよ」
と学校と言う建物がテレビに映し出され
「ほら、こういう建物の中で未成年の学生は勉強するのですよ…ほら教室で勉強しているでしょう?」
と教室内も映って先生と言うのが黒板というものに文字を書いていて話していた。なるほど、優平くんは毎日こういうとこに通って勉強しているんだ…。
と思いハッとした。
先程の電話で優平くんが授業中だからとダメと言ってたの…。
私は一気に横の式神優平くんに先程やってたことを思い出して後悔した!!勉強中に何てことしたんだろう!!
叱られる!優平くんが帰ってきたら叱られる!!民代さんは判ってたんだよね?ニヤニヤしてるし!!
「あの民代さん…!わ、私…玄関で待ってます!!」
と立ち上がり民代さんが止める間もなく玄関にずっといた。
*
夕方になり足音が近づき、玄関がガラリと空いて優平くんが帰ってきた。
私はすぐに頭を下げる体制で待っていたけど、姿を見ておったまげた!!
「ゆ、優平くん!?」
「!!なっ!鈴さん!?何でここに!?」
と向こうも驚いていたが、こっちはもっと驚く!
民代さんはしかし普通だった。
「あら、優平様お帰りなさいませ?鈴さんがどうしてもお帰りをここで待つと聞かなくて…」
「何を呑気なことを言ってるの?民代さん!!優平くんが!血だらけじゃない!!」
と私が叫ぶと
「えっ!?あら…そうなのですか?私には生憎普通に見えます。そうですか、鬼と闘ってきたのですか?優平様」
と言う。
え?民代さんには優平くんについた血…見えなくて普通に見えてるの?
「……鬼の血はね、僕や父さんくらいにしか見えないんだよ…土御神の血を引く者や陰陽師の家系を持つ者だね。土御神以外の陰陽師とか。
だから僕が外で鬼と闘って返り血が服についたりしても普通の人には見えやしないのさ」
と言った。私は鬼だから見えるんだと悟った。
「闘ったって…?優平くん自身は怪我どこもないのですか?」
「…僕は大丈夫だよ、心配してくれてありがとう鈴さん…。
今日闘ったのは比較的弱い方だったし、大丈夫。いずれ今の世の鬼のことも説明するからね…。
それよりちょっと流石に気持ち悪いからお風呂に先に行ってくるよ!民代さん、悪いけどこの制服はクリーニングに出しておいてね?」
「はい、ご当主様」
と頭を下げる民代さん。そして優平くんはお風呂に入ってしまった。
本当に怪我がないのだろうか?でも私にしかあんな血見えないし。あ、そうか、鬼の血を全身に浴びて血だらけで私には判り辛いけど民代さんなら。
「民代さん、優平くんどこも怪我をしてませんでしたか?私には鬼の血がべったり浴びるように見えてて優平くん自身が怪我して血が付いてないか見分け付かなくて」
「ああ、見え過ぎるのも厄介ですね。ていうか優平様そんなにべったり血を浴びてるんですか!?
まあ私にはいつものようにどこも怪我はしていませんよ?子供の頃…鬼退治を始めた頃は、よく生身を怪我してきましたが、流石にもう慣れたのか力が強過ぎて滅多に怪我することはないですから平気平気!」
と民代さんが笑う。
「優平くんは強いのですか?」
「?強いですよ?陰陽師ですからね。しかも…闘いになると性格変わりますからねー…。ふふふ、いずれ鈴様も一緒に闘う時に判りますよ」
と言う。優平くん性格変わるの?鬼退治の時に?あんな優しそうな方が??
うーんと首を捻る。
*
それから私は優平くんのお部屋に呼び出された。お部屋は優平くんの匂いでいっぱいで嬉しい。優平くんのお部屋にもテレビがある!
コトリと机にお茶を置いた。
優平くんはお風呂上がりのホコホコした身体と髪を乾かした後の色気が凄い。
思わず都の美人も蕩けそうなくらいだ。
「あの…鈴さん…。今日のことだけどね?僕が学校にいる間、式神に変なことをしちゃダメだよ?民代さんに唆されたんだろうけど…」
「はい…ごめんなさい…。あの後、テレビで学校のことを少し学んで判ったんです。もうしません」
と私は震えた。
「え?鈴さんごめんよ?僕…怖かった?震えているよ?」
「あ…これはその…ごめんなさい、ごめんなさい!悪さというか私達鬼はいつも何かあったら紐で引っ叩かれたりしていたから…!
そ、その優平くんを怒らせたのでどうぞ罰をお与えください!手やお尻を100叩きとか…」
と言うと
「昔そんなことさせられてたの!?酷い!!僕はそんなことしないよ!!」
「でも私!お勉強を邪魔してしまいました…ごめんなさい、ごめんなさい!」
と頭を床につけ謝ると優平くんは
「も、もういいんだよ!鈴さんはお礼のつもりでやったんでしょ?僕もちょっといきなりだし驚いてしまったんだよ…もう次は悪戯しないでね…」
と赤くなる。
「悪戯…」
お礼のつもりなのに。
「あ、お礼か…お礼はいいから、いちいち。ね?」
と優しく言う。この家にいると今までの扱いが嘘のようだ。1200年経ったから?
それから私は優平くんが学校に行ってる間とかもテレビを見たりして学習していく。休みの日は優平くんが文字を教えてくれた。特に漢字を覚えるのは大変だった。小学校一年生の書く漢字とかから一生懸命覚えている。時々テレビにも文字は出てくる。簡単なヤツなら少し読めるようになった。
そうかと思えば優平くんはまた鬼の血を被って帰ってくることも時々あった。
早くこの世を覚えて私も一緒に闘おうと決めた。
そして民代さんから学園青春ドラマのDVDと言うのを借りて私は現在それにハマっていた!!学校の中の様子、若い学生が恋をする様子が面白い!!こんな風に恋するんだ!!今って!!
でもドラマ内で娘さんの親に当たる奥さんはいつも家で家事をして夫にご飯を作って待っている。お昼のワイドショーでも旦那さんの帰りを待ち、夕飯を作る奥さんは多かった…。
あれ?私…何もしてない!!!
いつも夕飯は民代さんが用意してくれて私は青ざめた!!
このままじゃ!民代さんが優平くんのお嫁さんになっちゃう!!?
と私が言うと民代さんはお腹を抱えて大笑いして優平くんは
「そんなことあるわけないでしょ?お料理の作り方も分からないでしょ?それにお世話係りの民代さんが僕のお嫁になることはないよ」
「そっ!そもそも私は夫がいますよ!!あはは!あ、それとも優平様と不倫してますか?あははー!」
と笑う。
「絶対嫌だよ、こんなおばさん!」
と優平くんは嫌そうな顔をした。
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