第1話「位」

入学した瞬間「位」がつく。

それは決まっているものではないし、誰かがそういった訳でもない。

ただ、みんながそれとなく意識している。


位が高い人は何をしても許される。

掃除をサボっても誰一人と何も言わない。


位が低い人は仕事をサボるなんてもっとも。

毎日のように雑用が回ってくる。


しかもこれの一番厄介なところは


【一度決まったらそう簡単に変わらない】


というところだ。


高校入学式 4月7日

僕の名前は田中 光。

名前の由来は…言いたくない。


門を潜りクラス名簿に真っ直ぐ歩く。

「おい!春!お前クラス同じだ!」

「しかも由香さんとも一緒だ!」

「大雅、終わった。荒井が同じだぞ。」

「3組、翼いるぞ!4組は奏多いるし。これ2組ハズレじゃね?」

とか声が聞こえる。

僕はそんなことをよく大声で言えるな。

位が低ければいいのにと思いながら3組の教室へ向かう。

さあ、ここからが本番だ。


ドアの前で深呼吸をする。

「邪魔だよ。」

ドッ

誰かに押されて転びながら教室へ入る。

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