カエデからの投稿

 湯之原さん、はじめまして。いつも夫と一緒に楽しませていただいております。

 

 これは、私の夫に関するお話です。

 夫と私は幼馴染で、ずっと一緒に過ごしてきました。

 夫は昔から霊感が強く、あちこちで色々なものを見ていました。まったく霊感のない私は不思議だなと思っていました。でも、彼がそこにいると言うのならいるのだろうなと思えるくらいには、当時から信頼関係があったのだと思います。

 夫の家に遊びに行くと、夫の母が彼の言動を「気味が悪い」と怒っているのを何度も見ました。今思えば、彼の霊感を信じられず、受け入れられず、拒絶していたのでしょう。

 そのせいか、小学校に上がる頃には「見える」ことについて何も言わなくなりました。口数はどんどん減り、話してくれるのは二人でいる時だけになりました。


 中学生になってから、夫には友達ができました。

 それは、夫にしか見えない友達でした。名前を――すいません、ここはちゃんと名前が書いてあるのですが伏せます。仮にBくん、としますね。

 夫は小学生の頃は『見える』ことをひた隠しにしてきたのに、教室の誰もいない空席に向かって毎日楽しそうに話しかけ始めたんです。

 このままでは夫がおかしな子と思われて、いじめられるかもしれない。私は彼に注意しましたが、聞き入れてもらえませんでした。


 ある日。夏休みに二人で近くの川で遊んでいた時のことです。

 夫は途中で大きく取り乱して、ケータイでどこかに電話をかけ始めました。

 私には何が起こったのかわかりませんでしたが、彼が電話口に「友達が川に流されてしまった」と言っているのを聞いた時。ああ、Bが川に流されているのが見えているのかと察しました。幽霊でも川に流されたりするんですね。

 とりあえず、私は止めようとしました。通報したって迷惑になる。実際に流された人などいないのです。でも、彼は聞き入れてくれませんでした。

 当たり前ですが、Bは見つかりませんでした。もともと夫にしか見えていないものだったのですから、当たり前ですが。

 いたずら通報をした扱いを受けたであろう夫が、何かしら注意されたのかどうかはわかりません。でもその日から、彼は塞ぎ込んでしまいました。


 誰もいなかった席に花瓶を置き、花を供える夫に教師や生徒は声をかけませんでした。きっと気味悪がっていたのだと思います。でも、昔から夫が見えることを理解していた私は、彼を励まし続けました。


 大人になった今も、夫は相変わらずです。

 口数は少ないですが、幼い頃から一緒にいる私には色々話してくれます。

 でもたまに、夫は何もない、誰もいないところに「ごめん」と言っているのを見ます。私には霊感がないのでわかりませんが、何かが見えているんだと思います。

 帰りが遅い日や休日出勤が多いのもあると思いますが、かなり疲弊しているようです。その上、その謝っている何かに取り憑かれているのではないかと心配で。


 怪談話ではないですが、よかったらお知り合いの霊感のある方や霊能力者、そういう方面に明るい方にこの話をお伝えして、見解を聞かせていただけませんでしょうか。

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