母と息子の交換体験

古都礼奈

母と息子の交換体験

健二(17歳)は、いつものように朝の目覚まし時計に起こされ、布団から起き上がった。


しかし、体の感覚がいつもと違う。


鏡の前に立つと、映っていたのは自分の母親、美咲(45歳)の顔と体だった。


「これ、どうなってるんだ?」健二は混乱しながら自分の体を見つめた。


細い腕、豊かな髪、そして女性らしい曲線が目に入る。


体の動きがぎこちなく、手のひらで髪を触れるたびに柔らかさを感じた。


「落ち着け、落ち着け…」健二は自分に言い聞かせながら、制服を着ようとした。


しかし、自分の制服はサイズが合わず、仕方なく美咲のクローゼットから昔着ていたであろう制服を取り出した。


制服のスカートとブラウス、ブレザーを身につけると、体の動きにまだ慣れない自分に苦労しながらも、どうにか学校に行く決意を固めた。


学校に着いた健二は、自分が母親の体になっているのをみんなに見られ、クラスメイトたちが驚きの表情を浮かべていた。


視線を無視して職員室に急ぎ、健二は深呼吸し、担任の元に向かった。


「失礼します、先生。」健二は震える声で言った。


「実は今朝、母と僕が入れ替わってしまったんです。これからしばらく、この姿で通わせてもらえませんか?」


担任の先生は驚きながらも、冷静に聞き入れた。


「それが本当なら、大変な状況だね。学校の規則に従って、特別な配慮が必要になるだろう。」


「お願いです、先生。」健二は必死になって頼んだ。


「この状況を理解してもらい、対応をお願いできませんか?」


担任の先生は一度考えた後、うなずいた。


「わかった。クラスの皆にも説明し、君がこれまで通りに扱われるように配慮しよう。」


担任の先生は教室に戻り、全員に説明を行った。


クラスメイトたちは驚きと困惑の表情を浮かべながらも、説明を聞いた後、徐々に状況を理解し始めた。


「皆さん、今朝、健二くんとそのお母さんが入れ替わってしまいました。これから健二くんは、美咲さんの体で学校に通うことになります。皆さんもそのように扱ってください。」


クラスメイトたちは最初は混乱し、ささやき合っていたが、担任の説明を受けてからは少しずつ受け入れ始めた。


健二はその後、男子生徒としてクラスメイトたちと過ごすことになった。


休み時間、クラスメイトの一人、翔太が話しかけてきた。「健二、体が入れ替わったって本当なの?」


健二は少し戸惑いながら答えた。「うん、そうなんだ。元に戻れるまで、暫くはこの体で過ごすことになりそうだよ。」


翔太は心配そうな顔をしながらも、優しく微笑んだ。「大変だろうけど、頑張ってね。何か助けが必要だったら言ってくれ。」


健二はその言葉に感謝し、少しずつクラスメイトたちと打ち解けていった。


授業中も、何とか母親の体で男子生徒として振る舞おうと努力し、周囲の目を気にしながらも集中しようとした。


学校から帰った健二は、自分の家で美咲が健二の体で家事をこなしているのを見つけた。


美咲は健二の体でリビングで待っていた。


疲れた表情を浮かべながらも、優しく微笑んだ。


「おかえり、健二。」美咲は健二の体を使って言った。「今日はどうだった?」


「うーん、最初はすごく戸惑ったけど、みんなが理解してくれて少し楽になったよ。」健二は疲れた顔で答えた。


「でも、体の使い方がまだ慣れないな。」


「私もあなたの体で過ごすのは大変だったわ。」美咲は心配そうに答えた。


「でも、あなたが頑張っている姿を見て、私ももっと頑張らなきゃと思う。」


その夜、二人は入れ替わりの経験について話し合った。


健二は母親としての困難を打ち明け、美咲は息子としての生活の大変さについて話した。


「母さん、僕が体験したことがどれほど大変か理解できたよ。学校でのことも、これからもっと頑張るつもりだよ。」


「私もあなたの生活を理解することができたわ。」美咲は優しく答えた。


次の日、健二と美咲は元の身体に戻っていたが、その後は定期的に入れ替わるようになった。


最初は入れ替わりのタイミングに戸惑うことも多かったが、徐々に二人はこの新しい状況に適応し始めた。


ある日、健二は学校に通う準備をしていると、美咲がリビングで話しかけてきた。


「今日も入れ替わりの準備はできている?」


「うん、もう慣れてきたよ。」健二は微笑んで答えた。


「でも、毎回ちょっと不安があるんだ。」


「それは私も同じよ。」美咲はうなずきながら言った。


「でも、これもお互いの理解を深めるための機会だと思うわ。」


健二は美咲の言葉に励まされながら、毎日の生活を乗り越えた。


入れ替わりの度に、新たな挑戦や発見があり、お互いの生活や役割を深く理解していった。


彼らはこの新しい状況を一つの機会として捉え、互いの立場を尊重し合うようになった。


「それでも、この格好はさすがに無理があるだろ…母さんの下着を着ないといけないのもつらい。」


健二は45歳の身体で高校の女子制服を着ながら、美咲に聞こえないようにつぶやいた。


「これだけ若ければ、ウィッグとメイクで何とかなるわね。」


美咲は健二が登校後、17歳男子の身体でこっそり女装を楽しんでした。


最初は男子の制服を着て楽しんでいたが、だんだんといたずら心が芽生えたようだ。


「でも、私の下着だと股に違和感があるし、胸もスカスカなのよね。」


自分の息子の女装姿を見ながら、人知れずニヤニヤ笑っていた。


後日、油断していた美咲の女装姿を健二が見てしまい、ひと悶着あったのはまた別のお話。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

母と息子の交換体験 古都礼奈 @Kotokoto21

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画