とあるSNSに現れた匿名ユーザーは何者なのか

Morii

私の調査結果

不可解なネット掲示板に立てられたスレッド



市役所勤務 30代女性


『多分当時私が、高校二年生の頃だったと思います。

その頃は二〇〇〇年代初期で、丁度2ちゃんねるとかのネット掲示板に夕食を忘れる程熱中していまして。

趣味もなく、友達が少なかった私には匿名ユーザーと雑談とか、会話を交わすことがストレス解消になっていたんだと思います。

雰囲気が何となく私に合っていたからというのもあると思いますが。


いつも通り面白そうなスレを巡っていたら、確か「お願いしますお願いします」とかいう名前のスレを見つけたんです。


私は「変なスレタイだな」って、興味本位でスレ内を覗いてみると、一レス目で主さんが「墓の様子がおかしい」と書き込んでいて、書き込みとは一切関係のない御札みたいな画像が貼られていました。


私はその時、一種の釣りとか、怖い話系かと思いました。


それにしても御札とか手を込んでるなって思って、スレを離れることはありませんでした。


それから数分後、

「墓近辺の※※※村(名称は伏せる)を巡ったが様子がおかしいのです。畑を耕しているおじさんに話しかけましたが返事はありませんでした。そして、村にはそのおじさん以外誰もいないのです。寂しいですね」

と言って、多分その※※※村だと思われる画像を添付しました。


それからスレ民達は「釣りスレ確定」や、「面白くないぞ」、「今頑張って内容考えてるやろ」などと書き込み、誰一人主さんの話を真剣に信じる人はいませんでした。


それから約一分後、

「だれも来てくれないならあいにいかないと」

そう主さんは投稿しました。

先程とかなり雰囲気が変わったなと思いながら、私は主さんの次の書き込みを待ちました。


「はなしたい」

それから主さん、意味不明な投稿ばかりをして、時間が経つに連れ閲覧者数も減っていきましたね。


私は「不気味だな」なんて思いながらスレを眺めていると、少しして、また違う御札の画像が貼られました。

「千代」御札には掠れた文字でそう書かれていました。

多分、人の名前だと思います。


その御札が貼られてすぐ、スレの閲覧者数は二人、つまり主さんと私だけになってしまいました。

ここまで来ると流石に私も怖くて、怖くて。

スレから離れようとした瞬間、主さんが「みんなにげたおまえに会いにいく」と投稿しました。

私は恐怖のあまり必死になってパソコンを閉じました。

これで大丈夫だと、安心した途端、後ろから高く、掠れた声が聞こえてくる。


「わたし千代。一緒に話しましょう」


窓のカーテンも閉め、玄関の扉も閉じていたはずで、人が入って来れるわけがなかったので、私は恐怖に陥りました。


私は部屋の扉を開け、全速力で走って逃げる。

後ろを振り向くこともできず。ただ前へと走り続けました。


幸い家の近くに祖母の家があったので、逃げ込みましたが、扉を何度も、何時間も叩かれ、いや、殴られたり蹴られたような感じです。

「話しましょう早くこちらに来てください」

数時間それが続くと、音は鳴り止みましたね。


私はホッとして、深く深呼吸をしました。

「千代」はなぜそれほど人と話したかったのでしょうか。

あれから二十年程経った今でも、その事は、はっきりと覚えています』



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