第12話 好感度カンストボーナス
《クラス替え》スキルの画面には、こんなメッセージが表示されていた。
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統率力が100になったため、ステータスボーナスとして1ポイント割り振れるようになりました。
また、的場柚愛の好感度が100になったため、カンストボーナスとして10ポイントが付与されます。
現在、ステータスに割り振れるポイントは11ポイントです。
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「おお!すごい!1ポイントだけだと思ってたのに11ポイントも貰えた!」
「へー?なんかすごいんだ?」
「そりゃすごいよ!この前なんて握力10以上も上がったんだぜ!」
「へー?で、どのステータスにポイント振るの?」
「んー……悩ましいけど……素早さかな?」
「なんで素早さなの?」
「だって、ゆあちゃんを守るのに足が速くないと困るじゃん。危険なときにすぐに駆けつけれるようにしたい」
「……ふーん?一応、りっくんなりに、ゆあのこと考えてるんだ?へー?」
「そりゃそうだよ。守るって約束しただろ?」
「……(小声)たまにカッコいいからずるいよ」
「なんて?」
「なんでもない!」
「あーそう。じゃ、ステータス割り振ってみよっかな」
ゆあちゃんがなんか怒り出したので、無視してステータス画面をいじる。
――――――――――――――――
氏名:咲守陸人(さきもりりくと)
年齢:12歳
性別:男
役職:学級委員
所有スキル:クラス替え
攻撃力:34(C-)
防御力:22(D)
持久力:69(B+)
素早さ:24+11=35(D ⇒ C)
見切り:9(E)
魔力:0(E-)
精神力:70(A-)
統率力:100(E)
総合評価:C- ⇒ C
――――――――――――――――
「よし!これでいこう!」
オレはワクワクしながら、YESボタンを押した。身体がほんのり発光する。
「おぉ〜?」
「え!?なにそれ!?大丈夫なの!?」
オレの発光現象を見て、ゆあちゃんがうろたえる。オレは気にしていなかったがこれが普通のリアクションか。
「んー?前のときもこうだったから大丈夫なんじゃない?それよりも素早さが上がった効果を見てみたい!アトム!戦闘訓練!」
「承知しました」
アトムが短剣を持って正面に構える。オレも同じ武器だ。
「いくぞー」
「いつでもどうぞ」
ドン!オレは思いっきり地面を蹴って前進した。
「うわっ!?」
すると、あまりの速さにバランスを崩してしまう。前のめりになってアトムめがけて突っ込んだ。
「隙ありでございます」
「いてぇ!」
アトムにひらりと避けられて、剣の柄で頭を殴られた。そのまま倒れ込んでヘッドスラディングをかます。
「いてて……」
「りっくん?なにやってるの?」
「いや、なんか自分の身体じゃないみたいで……よし!もう一本!」
「かしこまりました」
今度はアトムにいきなり突っ込むことはせず、周りを走り回って、かく乱することにした。徐々にスピードを上げて、ぐるぐるとアトムの周りを走る。速い。明らかにさっきまでよりも身体が軽かった。足が素早く動く。その勢いを殺さないように壁際に移動し、壁を蹴って方向転換した。
「うらぁ!!」
「なかなかの動きですね」
しかしアトムには通じない。短剣を弾かれ、身をかわされる。一旦停止して、アトムに感想を求めることにした。
「ふーむ?アトム、どうだった?」
「格段に速くなってます」
「だよな!」
「化け物じゃん……こわっ……」
なんか、ゆあちゃんが引いた顔をしているが無視だ。もっともっと試したい!
「もう一本!」
「かしこまりました」
その日、オレは時間を忘れて戦闘訓練を続けた。気づいたときには夜中で、床に寝転がって机の方を見ると、ゆあちゃんとお母さんが楽しそうにお茶会を開いている。オレの存在を忘れたようにこっちすら見ていない。それを見て、なんだか疎外感を覚えた。寝転びながら、二人に声をかける。
「……ねぇ、ご飯は?」
「あら、りっくん、やっと終わったの?ご飯ならココにあるわよ?」
そうか、忘れられていたわけではないらしい。オレは立ち上がって、ステータス上昇の満足感に浸りながらカツ丼をかき込んだ。
♢
ゆあちゃんのおかげでステータスを大幅に向上させたオレではあったが、ゆあちゃんは雑魚のままだ。こんな状態のゆあちゃんを危険なダンジョンに連れて行くのはあり得ない。
そう考え、それから、ひたすらに訓練の日々を過ごした。
小学生を卒業し、中学生になる頃、防衛大臣の父が知らないアメリカ人を家に連れてくる。50歳いかないくらいのオッサンだった。その人は、アメリカ海軍の特殊部隊にいたということで、オレに訓練をつけてやる、と言ってくれた。
防衛大臣の父、さすがの人脈だ。断る理由なんてない。オレは喜んで訓練を受けることに同意した。
それからオレは、そのアメリカ人、通称〈大佐〉から、《投剣術》という戦闘訓練を学ぶことになる。大佐の戦闘訓練は中学生のオレにとっては地獄で、でも、どんどん強くなっていることを実感できたのでついていくことができた。それに、この投剣術という戦い方がオレに合っているみたいで、戦い方が身についていく過程も楽しかった。
ゆあちゃんの訓練もしながら修行したので、投剣術の習得に1年もかかってしまったが、なんとか実戦で使えるレベルまで持ってくることができた。
ここ1年ちょっとで、ゆあちゃんもだいぶ動けるようになった。そろそろ、ダンジョンに忍び込むのを再開してもいいだろう。
そう思えるようになったときには、オレたちは中学2年生、14歳に成長していた。
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【あとがき】
本作を読んでいただきありがとうございます♪
「面白い!」「続きが気になる!」と思っていただけましたら、あらすじの下にあるレビューから「★で称える」をいただけると助かります!
「もう一歩!」なら★
「頑張れ!」なら★★★
ブクマもいただけると泣いて喜びます!
なにとぞよろしくお願い致しますm(__)m
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