第2話 ノイズキャンセリング

あんまりにたくさんの音が聴こえてうるさかったものですから、神様に相談したところ、ノイズキャンセリング機能付きのヘッドホンを付けてくれました。


だから、僕は自分が聞きたい音だけが聞こえるようになりました。




ある日、君はとことことやってきて、「人の話をきけよ」と言いました。


聞いてるよ、と答えましたが、ちゃんときいていないと言われました。


君は言いました、ヘッドホンを外せと。


僕は嫌でした。


たくさんの人の声が入ってきて、僕は辛かったんですから。


君は言いました、聞こえようが聞こえまいが、同じだからと。


ヘッドホンは、自分の意思でないと外せません。


君があんまり怒るので、僕はしぶしぶベッドホンを外しました。




僕がいて、君がいて、もう一人の僕がいて、もう一人の君がいる。


二倍うるさい。


ほらやっぱり神様は正しい。


あのヘッドホンは素晴らしいんだ。


僕はまたヘッドホンをつけようとしました。


ムッとした君と、寂しそうな君がいました。


もう一人の僕は何かを言いかけましたが、その前にヘッドホンをつけたので、何も聞こえませんでした。

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