第123話 ここまですべてお前らの憶測です
「えっ、ケンさんと連絡が取れなくなった……?」
「……はい」
警察を通じて須藤恋音の捜索状況を追っていた加賀麗華は、いつになく重苦しい表情で頷いた。
予想外の事態に、金本美久は狼狽えながら、
「恋音ちゃんの捜索に必死になっていて、連絡に気づいていない可能性は……」
「向こうも警察の捜索状況については一刻も早く知りたいはずです。なのにすでに一時間以上も連絡が返ってこないのです」
「ケンさんにまで何かあった……っ!?」
美久には俄かには信じられなかった。
なにせ彼は魔族すらも倒したSランク探索者なのだ。
「恋音を人質に取られ、命令に従うしかなかったのかもしれません」
「っ……もしかして、そもそも恋音ちゃんがいなくなったのは……」
最初から目的は西田賢一の方にあったという可能性に思い至り、美久は言葉を失う。
「恋音を拉致したと思われる車は、首都高を降りて羽田空港に向かっていったところまでは追えたそうなのですが……そこから先は調査中とのことです」
「羽田空港……まさか、海外に連れていかれた……?」
「……その可能性はあります」
敵が海外の組織で、すでに国外脱出されていたとすると、もはや警察にも対処は難しい事態になってくるだろう。
「相手組織によっては外交問題に発展するかもしれません。そうなると、一体どれだけの期間がかかるか……」
「そ、そんな……」
絶望的な状況を前に、美久の目の前が真っ暗になっていく。
気づけばまともに立っていられず、その場に膝をついていた。
◇ ◇ ◇
【突然の行方不明】ケンちゃん食堂part147【臨時休業(再開未定)】
無名の探索者
今日も臨時休業なんだが
無名の探索者
SNSでの告知もなし
無名の探索者
ニシダ生きてる?
無名の探索者
マジでどこ行ったんだ?
無名の探索者
マツタケ食べに行きたかったのに……
無名の探索者
海外の組織に拉致られたんじゃね?
無名の探索者
ニシダ拉致れる組織なんてねーだろwww
無名の探索者
須藤恋音も行方不明になったって噂ほんと?
無名の探索者
選抜のはずなのに昨日のSステに出てなかったからほんとかも
無名の探索者
しばらくブログの更新も途絶えてて、毎日必ず更新してたからファンがざわついてる
無名の探索者
マジらしい。急遽閉店になった日、ニシダがそう言ってたそうだ
無名の探索者
先に恋音ちゃんがいなくなったってことか
無名の探索者
えっ、恋音ちゃんも行方不明なん!?
無名の探索者
ニシダはともかく須藤恋音は心配だな……
無名の探索者
ニシダはずっと姪っ子を捜し続けてんじゃね?
無名の探索者
それは有り得る
無名の探索者
須藤恋音は拉致られたって噂も
無名の探索者
ソースは?
無名の探索者
お好み焼き
無名の探索者
そのソースじゃねぇwww
無名の探索者
探索者を拉致るって、簡単なことじゃねーぞ?
無名の探索者
しかも恋音ちゃんは新人とは思えないくらい強くなってるし
無名の探索者
相手も探索者なんだろ
無名の探索者
何が目的だろうな?
無名の探索者
口にするのははばかられる
無名の探索者
恋音ちゃん傷モノにしたら俺が許さねぇええええええええっ!
無名の探索者
お前には何の力もないだろwww
無名の探索者
ニシダはブチ切れるだろうな
無名の探索者
犯人ご愁傷様
無名の探索者
その恋音ちゃんを人質に取られてる可能性ないか?
無名の探索者
有り得るな
無名の探索者
人質取ってニシダに何をさせるんだ?
無名の探索者
まさか、ニシダのケツ穴が目的……?
無名の探索者
やめろwwwwww
無名の探索者
そりゃニシダは魔族殺しのSランカーやで。自由に言うこと聞かせられたら、これ以上ない人材やろ
無名の探索者
いつでも美味いメシを喰わせてくれるしな
無名の探索者
ケツ穴も……
無名の探索者
だからやめろってwwwwww
無名の探索者
姪っ子の存在がニシダのアキレス腱だったわけか
無名の探索者
ここまですべてお前らの憶測です
◇ ◇ ◇
ビデオ通話越しに、二人の中年男性が話し合っていた。
『なかなか大変なことになったなー』
『ケンちゃん、マジで行方不明なの?』
『そうらしい。オレが何度連絡しても出ないしさ。今まで一度もこんなことなかったぞ』
『うーん、ケンちゃんに限って、何かあるとは思えないけどなぁ』
『それが拉致されたって噂』
『拉致? あのケンちゃんを?』
『なんでも同時に姪っ子が行方不明になっているらしい』
『まさか……それは確かに、ケンちゃんを従わせる上で最も効果的なやり方かもね。反吐が出るけど』
『オレも同意見』
とそこへ、新たに一人が通話に入ってくる。
『おーい、ケンちゃんを拉致った連中のことが分かったぞ』
『本当か? さすがだな』
『それで、一体どんな連中なの?』
『ランジタラ統合王国』
『は?』
『それマジ?』
『マジだ。しかるべき筋から得られた情報だからな』
『思ってたよりずっと巨大な相手だなー』
『ね。しかも海外なんて』
三人は一瞬沈黙する。
それから誰ともなく聞いた。
『どうする?』
『どうするって……決まってるだろ?』
『だよね』
互いに口をそろえて、これからの方針を告げるのだった。
『『『ケンちゃんを助けに行くぜ』』』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます