第13話 とりあえず最強目指して頑張ります!
僕とエミリスは戦いの疲れがあってか動くことができず、僕はグライトに担がれ、エミリスはアルマンにおんぶされて村に帰っていた。
僕の扱い、なんか雑じゃない…?
そして本来、森の奥にいるはずの
無事、家に着いた僕たちはグライトにお礼を言った。
「ありがとうございます。」
「あぁ気にすんな。あと、数日したら俺の家に来てくれ。お前らに渡したい物がある。」
と帰り際に言われた。
僕たちに渡したい物ってなんだろう?
「あの…ワーク。」
考えているとエミリスから声をかけられた。
「改めて…ありがと…助けに来てくれて…。」
僕はその言葉を聞いて涙が溢れた。
「えっなんで泣くの!?ちょっと、ワーク!」
泣く僕を見てエミリスがあたふたと両手を動かして落ち着かせようとした。
そりゃ泣くよ…。だって前世では一度も感謝されたことがなかったんだもん…。
「いや、お礼を言われたことなんて一度もなかったから嬉しくて、つい…。」
そう言って僕は涙を拭った。
「あなた、まだ5歳なのよね?」
僕は5歳だけど、前世の記憶があるからエミリスよりは年は上だよ…。
「わしからも礼を言う…。エミリスを助けてくれてありがとう。お主がいなければ今頃どうなっていたことか…。」
いや、あれはグライトさんの独断で僕は投げられましたけどね…。
それに僕があの方法を思いついたのはアルマンさんが保護魔法をかけてくれたからでむしろ僕が感謝したい方だ。
「さぁ、今日は疲れたじゃろう。ご飯を食べ、しっかり寝て、明日の手伝いを頑張っておくれ。」
こうして僕の長いようで短い1日が終わった。
数日後ー
「……」
グライトの家に着いた僕たちは目の前に置かれている大量の金貨が入った袋を見て唖然としていた。
えっ…何これ?
「おいグライトよ…。これは…。」
アルマンもこれを見て、目を丸くしていた。
「倒した魔物の素材を冒険者ギルドに持っていった。特に
グライトは金貨の入った袋2つを僕とエミリスの前に置いた。
「チビッ子はキラーベアも倒しているからその分、嬢ちゃんより多いはずだ。」
「あっ…ありがとうございます。ちなみにいくらくらい入っているんですか?」
僕はグライトに質問した。
「あー確か合わせて200ゴルドだったか…。」
「にひゃ…!」
あまりの金額に僕たちは驚愕した。
「いやぁ、俺もこの金貨の袋を見た時は驚いたぜ。」
そしてグライトは僕たち2人をまじまじと見て、
「お前ら、時期が来たら冒険者ギルドに入れ!お前らならSランクも夢じゃねぇ。」
今度は目線を僕に向ける。
「チビッ子、お前は特にだ。そのためにも、これからももっと魔物を倒してレベル上げに励めよ!」
と言ってくれた。
「はい!」
僕は元気よく返事をした。
「私も負けてられないわ!ワーク、今からさっそくフガイの森に行きましょ!」
エミリスはグライトの言葉に目をキラキラさせて僕の腕を引っ張って連れて行こうとした。
「待ってよ!まだ手伝いが終わってないし、探索はもうちょっと装備や道具を整えた方が…ねぇ?」
僕はアルマンに助けを求めた。
アルマンは首を横に振る。
「すまん…エミリスは一度決めたらおれんのじゃ。わしには止められん…。」
「そんな~!」
「ほら!ワーク、早く行くよ!」
僕は必死に抵抗するがエミリスが容赦なく腕を引っ張る。
そんな僕とエミリスのやり取りをアルマンたちは楽しそうに見ていた。
「やれやれ…。世話のやける孫たちじゃな。」
「あぁ、ほんと、先が楽しみだな…。」
あの、そこの2人…会話してないで助けてよ!
「ほらワーク!早く!」
必死の抵抗も虚しく、僕はエミリスに引っ張られ、フガイの森に向かうことになった。
「あぁもう!なんで…なんでこうなるの~!」
本当…第2の人生、荒地に捨てられたり、最弱のはずれ職「見習い」になったり、不運だらけの僕だけど…
もうここまで来たら、冒険者でもSランクでもなんでもなってやる!
「見習い」でも強くなれるってことを証明してやるんだ!
とりあえず…最強目指して頑張りますか!
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