第7話

 初心者用区画の地下五階。


 最終フロアはオークを入れようと思う。


 ダンジョンにはちょっとしたボスが必要でしょう?


 オークは森を好んで生活しているからこのフロアは森をイメージし、木や茂みを作ってみた。


 私の作るダンジョン内の植物達は詳しくいうと魔植物。


 ダンジョンという特殊な環境に適応した植物で、見た目も中身も森の植物とあまり変わりはない。が、瘴気を栄養とするため地中の魔植物が多ければ多いほど周辺は浄化のスピードが早まるのよね。


 まぁ、私が『魔族の種』で生成する種類の一つなので他の種と同じといえば同じかしら? 


 魔植物に意識は感じないけれど、時間を掛けて瘴気を取り込んだ魔植物はそれなりに意識が芽生えるため植物系の魔人や魔獣とは相性が良く、お互い意思疎通うを図るようになる。


 ここ地下五階の魔人住居区に魔人達が会議する部屋を作ってみた。簡素な造りでソファとテーブルがあるのみ。


 その奥の部屋は私の部屋。完全な私室になる。ベッドという物を作ったり、机と椅子を作ったり、クローゼットという物を作ってみた。


 どうやら人間は着ているものをその日によって着替え、オシャレを楽しむようだ。


 私の場合は魔法で外見から着るものから全て変えられるのでクローゼットは必要ないが、気分的に作ってみた。


 これでようやく初心者用ダンジョンは完成といったところかしら。


 最後に初心者用のフロアを繋ぐ地上から地下への入り口を作れば終わり。

 魔族の住居区画で育てていく魔人をまだ決めていないので依頼主であるファーストに魔法で連絡してみる。


『ファースト、初心者用ダンジョンが完成したわ。これから魔人を育てていくつもりだけど、ファーストも育てて欲しい魔人はいる?』

 するとすぐに返事がきた。


『あぁ、ちょうど良かった。魔王軍の幹部を育てたいと思っていた。この種を育てて欲しい』


 転移魔法で送られてきた種は二つ。ファーストがスキルを使い生み出したため、私にはこの種からどんな魔人が生まれるのかは分からない。


『わかったわ。ある程度育ったら魔王軍に戻るように話ておくわ。じゃあね』


 種を持ったまま地下四階の森のスペースへとやってきた。そして種を蒔くとすぐに種はシュルシュルと根を出し、伸びた根が種を持ち上げる。


 そして種が徐々に膨らみ成長していく。


 ある程度大きくなると種はパカリと割れて中から魔人が出てきた。一人は奇術師。一人は妖術師だった。


「二人ともある程度育つまでここで暮らすといいわ。どの部屋を使っても構わないわ。足りないものがあればいつでも言って頂戴。私は地下五階にいるから」


 すると二人とも頭を下げて二人とも部屋へと入っていった。後の部屋には私の方の種を蒔く。私が作った魔人は龍魔人のドラゴニートとカーバンクルと虫系の魔人アラクネにした。龍魔人は私の護衛にピッタリなのよね。


 前回ダンジョンを作った時はまだまだ私もひよっこだったからリザードマンまでの強さの魔物を生み出すことしか出来なかったの。ダンジョンを作っていけば得られる瘴気も格段に増え、倍々ゲームのように強くなっていく。


 今回はドラゴニートクラスを作り出す事が出来た。カーバンクルも小さなペットとして作ったわ。ペットの割には高い知能と魔法を使いこなす優秀な魔獣ね。


 そして最後に選んだアラクネは人型だけあって知能は高いし、特殊な糸を作り出す事が出来るの。私はそれで何か防具の一つでも作ろうかと思い立って生み出した。


 ファーストから依頼された奇術師も妖術師も人型をとっていて知能は高い。育て上げればファーストの補佐は十分にこなしてくれるのだと思う。


 因みに生み出された魔獣や魔人は種の主がちゃんと分かっているので奇術師や妖術師も私を主人だと思ってはいない。反乱を起こすかは主の命令一つだが。基本的に知能のある者はお互いを攻撃しない。


 余程の事が無い限り無関心なの。


 喧嘩は偶にするようだけれど、主な原因は主人を如何に崇拝しているかということらしい。


 私には全く持って理解できない部分ではあるわね。

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