第7話 図書館の秘密

門司港の静かな夜、その中で静かに揺れる図書館の灯り。三田村香織と藤田涼介は、中山美沙とともに鈴木翔太の案内で古い資料室へと足を踏み入れた。古びた木製の扉が軋む音を立てて開かれると、そこには埃をかぶった書類や古文書が無数に積まれていた。


「ここには町の歴史が詰まっています。おそらく、過去の計画に関する詳細も見つかるでしょう。」鈴木翔太が低い声で言った。


香織は懐中電灯の光を頼りに、慎重に資料を探し始めた。藤田もまた、古い新聞記事や議事録を手に取り、目を通していた。美沙は少し緊張した面持ちで、二人の動きを見守っていた。


「この資料室、まるで時が止まったようですね。」美沙が呟いた。


「ここには昔の人々の思いや苦労が詰まっているんだろうな。」藤田が応えた。


香織は手に取った一冊の古いファイルを開き、目を凝らした。その中には、過去の町の再開発計画に関する詳細な書類が収められていた。


「この計画書、見てください。現在のプロジェクトと驚くほど似ている。」香織が低い声で言った。


藤田もその計画書を覗き込み、首を傾げた。「確かに…だが、この計画はなぜ中止になったのだろうか?」


香織はさらにページをめくり、計画が中止された理由を探した。そしてついに、決定的な手がかりを見つけた。


「ここに書かれている。予算の不足と内部の対立が原因だったらしいわ。」香織が指を差して言った。


その時、香織の目に一枚の古い新聞記事が飛び込んできた。記事には、過去の計画を推進していた人物たちの写真が掲載されていた。


「この記事を見て。この人物たち…現在のプロジェクトに関与している人と同じ名前があるわ。」香織が驚きの声を上げた。


「まさか、過去の失敗が再び繰り返されるというのか…」藤田が険しい表情で言った。


鈴木翔太はその話を聞いて、深く息をついた。「過去の計画が失敗に終わったのは、内部の不正や権力争いが原因でした。その影響が今も続いているのかもしれません。」


香織は決意を新たにし、さらなる調査を続けることを誓った。「この計画の真相を暴かなければならないわ。過去の過ちを繰り返させるわけにはいかない。」


その時、図書館の奥で何かが崩れる音がした。三人は一瞬緊張したが、鈴木が確認に行き、戻ってきた。


「大丈夫です。古い棚が倒れただけです。」鈴木が微笑んだ。


香織たちは再び調査に集中し、ついに決定的な証拠を見つけた。それは、過去の計画を推進していた人物の日記だった。日記には、計画が失敗した理由と、その背後にある陰謀が詳細に記されていた。


「この日記に全てが書かれているわ。過去の計画が失敗した理由が、現在のプロジェクトにも影響しているのね。」香織が確信を持って言った。


「この日記を詳しく調べましょう。ここに隠された真実が、私たちが探していた答えを示しているはずです。」藤田が興奮を抑えきれずに言った。


三人は再び日記を読み進め、過去の計画が失敗した理由と、それが現在のプロジェクトにどのように影響しているのかを突き止めるために全力を尽くした。門司港の図書館に広がる静かな夜の中で、彼らは真実の手がかりを追い求め続けた。


「この日記に書かれている内容をもとに、町の集会で真実を公表しましょう。地元の人々に真実を知ってもらい、協力を仰ぐのです。」香織が提案した。


「それがいいですね。町のみんなが協力すれば、プロジェクトを正しい方向に導けるはずです。」翔太も賛同した。


三人は町の集会を開くために、地元の役場に向かい、集会の計画を立てることにした。役場の担当者も協力的で、すぐに集会の準備が進められた。


「この集会で、町のみんなに真実を伝えましょう。美沙さんの勇気ある行動が、町を救うことになります。」香織が美沙に励ましの言葉をかけた。


「ありがとう、香織さん。私も皆さんの助けがあってここまで来ることができました。必ず真実を明らかにしてみせます。」美沙は決意を新たにした。


門司港の夜は静かに更けていく中、香織たちは新たな決意を胸に抱き、真実を明らかにするための一歩を踏み出した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る