088 ヘキの扉が開く

クラス中から『ほう』とため息が漏れた。

普段は、長い黒髪をなびかせた御令嬢、といった雰囲気の彼女だが、今は違う。

文化祭の出し物『浪漫喫茶』で着る衣装、詰め襟に学帽、髪はおろしたまま、という姿。

「ごきげんよう、お嬢さん」

ハリのある朗らかな声は、親族に警察官や自衛官がいるからだ。

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