050 愛・言葉

その便せんには、ひとこと『好きです』と書かれていた。

送り主は不明。


冴えない数学教師の私に宛てて。

文字の形に便せんが凹んでいる。

深夜ラジオを聞きながら書いたのか、消し跡には甘い言葉が並んでいる。

筆圧が高く、深夜ラジオリスナーで、恥ずかしくなって簡素な言葉を選ぶ。


あの子だ。

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