37_エウノキ村へ
ダンテは神殿の中で、風の力を練習した際、あることに気づく。生み出した風にあたったものは、光を宿していたのだ。
その光景に、彼は不死鳥との戦闘を思い出した。不死鳥は、風を当てることでマナを纏わせた舞い散る葉を自由自在に動かしていた。
まさか……。
ダンテは、咄嗟に不死鳥と同様のことができるのかもしれないと思った。試しに光を帯びたものを念じ動かしてみる。すると、予想通り彼の念じた通りにものがサッと移動した。
やっぱり、動いた!?風の力は単純に風を生み出す力じゃない。風に触れたものに自らのマナを付与させる力でもあるのか。
ダンテは、神殿の中で風の力を練習した時のことを思い出し、世界樹の上にある、エウノキ村までたどり着く方法を思いついていた。
「やってみるか。成功すれば、エウノキ村まで簡単に行けるはずだ」
神殿前に立つダンテは、世界樹の巨体の遥か上方を眺めながら言った。
メイテツの力は、色を変えることで使い分けられる。ダンテは、メイテツの色を黒に変色させ、頭部以外の身体にメイテツを纏わせた。
次に、メイテツの黒い身体を緑へと変えて、風の力を使う。地面に向かって風を吹き出す。
「思った通りだ。メイテツの鎧に光が宿っている」
風でマナを付与できる対象は、人や動物以外のものに限られる。メイテツに、マナを付与できるかどうかは微妙なところだったが、付与可能なことが分かった。
ダンテは、メイテツに光が宿った状態で浮かび上がるイメージをするとふわりと足底が地面を離れる。
「おじさんが浮いてる!?」
突如、浮かび上がったダンテを見て、カリンは目を見開き驚愕する。
「神殿の力を手に入れて、宙に浮けるようになったみたいだ。カリン、そろそろ行くよ。助けを求めてる人がいるから。落下した俺を助けてくれて、ありがとう」
彼は、カリンに最後に感謝の言葉を言い残すと、エウノキ村に向かって身体を浮遊させ飛んでいった。
カリンは、エウノキ村に飛んでいって小さくなった彼の背中を眺めながら、呟いた。
「あなたには、死んでもらっては困るもの。頑張って死なないようにしてね。ダンテ、あなたには、ダンジョンを攻略してもらわないといけないのだから」
彼女はニヤリと笑みを浮かべると、目線を森の暗闇の中へと向けて彼女はゆっくりと歩いていく。
そんな彼女を森の魔物たちはビクビクと怯えながら見つめていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます