聞き取り

「りんたろ~こんどわたしのも手伝って~。わたしも入力きらい~」

「今度ね」


凜は、そこまで事務仕事が多いようにも見えないけど、入力苦手そうだしな。

俺も前職に比べると事務仕事の分量は大幅に減っているし適材適所だ。

それから湊隊長の仕事を手伝いつつ、みんなで事務仕事をこなしていると大仁田さんを除く4人が順番に呼び出された。


「花岡修太朗さん、一昨日は大活躍でしたね。身体は大丈夫でしょうか?」

「はい、いえ、筋肉痛です」

「あれほどの戦いでしたからね」


俺の番が来ると個室に呼ばれ、中に入ると事務所の職員らしき人が2人。

ひとりが聞き取り役でもう一人が入力役らしい。

一昨日の事を時系列に沿って答えていく。


「これも一応形だけなんですよ。各隊配信されてますし、あくまでも確認です」

「そうなんですね」

「ところで、オーガ、特にジェネラルとキングがどこから現れたかは見ましたか?」

「いえ、気が付いたら突然現れた感じです。特にキングについては反応することが出来ませんでした」

「やはりそうですか。配信の映像を確認してみてもどこから現れたのか確認が取れなかったんですよね」

「砂の中ってことはないですよね」

「キングは上方から襲ってきてますからね。天井に張り付いていたという線もなくはないのですが」

「そうなんですか」


俺に気配を察知するような能力はないので全く役に立てそうにはないけど、他の隊員も全く反応できていなかったし、あの大きさのモンスターがずっと天井に張り付いて待ち構えていたというのもな。

謎だ。


「5階層でオーガキングが現れるなんてイレギュラー中のイレギュラーですから。今後の対策を取りたいところなんですが、他の隊員も曖昧なんですよ」

「今までこういうことは……」

「イレギュラーはありますが、今回のようなケースはあまり」

「そうなんですね」

「それはそうとオーガキングを単独撃破とはさすがは大魔導士ですね」

「いえ、単独ではありません。他の方たちも一緒でしたから」

「まあ、そうなんでしょうが、花岡さんがいなければ全滅もあり得ましたから」

「5階層はもう大丈夫なんでしょうか」

「確認したいところですが、2次3次被害が発生する恐れもあるので今は4階層までで封鎖している状態です」

「封鎖ですか」


確かダンジョンのモンスターは放置しておくと増えすぎて溢れたりすることがあるらしいけど大丈夫なんだろうか。


「あ~封鎖とは言っても一時的なものですから大丈夫ですよ。ドローンを飛ばして異常が無いようならまた解放となりますから」


考えていることが顔に出てたか。

流石に今日からまた5階層へと命じられてもキツイものがあるし、しばらく封鎖というのは俺的にも助かる。



お知らせ

読者の皆さんのおかげで 非モテサラリーマン花岡修太朗の書籍化が決定しました。

ありがたい事にいくつかお声がけいただいたのですが1番初めに声をかけていただいたホビージャパンさんに決定しました。

作業も順調に進んでいるので、そう遠くない将来発売日もお知らせできるのではと思っています。

よろしくお願いします。

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