障り
湊隊長によると、この錆びた剣は消費魔力が多すぎるので、日常的に使うのは俺くらいしかいないらしい。
ある意味、返さなくて良さそうなので良かったけど、やっぱり魔剣というくらいだから、その威力に反してデメリットもあるらしい。
魔力が異常に多いらしい俺にはあまり影響なさそうなので、このままありがたく使わせてもらう事にする。
「修太朗さん、カメラの前でお願いします」
「はい」
俺は今カメラの前で炎の魔法剣を振るっている。
桜花さんに促され視聴者サービスとのことだ。
こんなのがサービスになるのかは甚だ疑問だけど、このカメラの向こうに100万人を超える人がいると思うとかなり恥ずかしい。
「修太朗さん250万こえてますよ」
100万じゃなかった。250万ってすごいな。
「それじゃあ、この調子でどんどん進みましょう」
湊隊長の声で、デモンストレーションを止めて先を急ぐことにする。
その後は順調に進み3階層まで辿り着くことが出来た。
ワイルドウルフは犬だけあって炎が苦手らしく、炎の魔剣がかなり有効に働いた。
狭いダンジョンでは炎系の魔法は取扱注意だけど、この魔剣は例外のようで炎を纏わせたとしても、そこまで延焼や酸欠の心配はなさそうなので助かっている。
そして、3階層のゴーレムを相手にしてもこの錆びた魔剣は有用だった。
まあ、ゴーレムについては『ファイア』で燃やすことが出来たし、同じ魔法を纏った剣で斬れるのはある意味道理というものだろう。
”なんで炎でゴーレム溶けてんの”
”超克の魔剣”
"おおっ、なんかかっこいいな”
”だけど、修太朗全然疲れた感じないな”
”大仁田は既にふらふら。どうした大仁田”
”大仁田完全に錆びた魔剣使ってからおかしい”
「修太朗さんなんでもありっすね」
「それより、大仁田君大丈夫ですか?」
「いや~あんま大丈夫じゃないっす」
「魔力切れですか?」
「切れてはないと思うんですけど、なんか気持ち悪いっす」
「魔剣の障りが出てるのかもしれませんね。ちょっと早いですが、今日はここまでで切り上げましょうか」
「湊隊長~まじっすか。そうしてくれると助かります。代わりに次は頑張ります」
「わかりました。皆さん、今日はここまでです。戻りましょう」
ゴーレムも問題なさそうだし、いいペースで進んできたけど今日はこれで終わりらしい。
時計を見るとまだ13時。
いつもよりかなり早めだし、なにかあったんだろうか。
今回前衛に立つことが多かったので周囲の状況をあまり確認できていなかったので改めて確認してみる。
凜と桜花さんは変わりないようだ。
よく見ると大仁田さんの顔色が優れないように思える。
大仁田さんを確認してから湊隊長へと視線を向けるとうなずき返してきてくれた。
やはりそういう事だろう。
俺は、自分の事で手いっぱいになってしまい、他の隊員にまで気が回っていなかった。
さすがは湊隊長だけど、大仁田さん大丈夫かな。
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