第56話 老化?

こんなに安全にダンジョンでの実地訓練を積めるとは思っていなかった。

今日一日で2階層のモンスターにもだいぶ慣れることが出来たし、次回は3階層に向かうらしい。

これだけ熱いサポートを受けているので、初めてでも焦ることなくダンジョンに潜ることが出来ている。

おかげで、初代大魔導士の二の轍を踏まずにすみそうだ。


ダンジョンを引き上げ、報告書を書き上げる。

報告書も小谷さんが丁寧に教えてくれたので問題なく書き上げる事が出来た。

優しい先輩に感謝だ。

今日の仕事をすべて終えたけど時刻はまだ18時だ。

後藤隊長はまだ書類仕事が残っているようだったし、定時ぴったりの退社に少しだけ罪悪感を覚えてしまったけど、「先に帰ってください」といわれてしまったのでおとなしく帰る事にする。

マンションに戻る前にコンビニによって弁当と焼き鳥それとレモン酎ハイを買う。


「ふぁ~っ、うまい」


部屋に戻ってシャワーを浴びてからの一杯は格別だ。

いままで身体を動かす機会が少なかったけど、ダンジョンは歩くし戦闘で身体も動かすしかなりの運動だ。

そして運動の後の風呂上りレモン酎ハイが最高にうまい。

これが文字通り格別というやつだな。

しっかり身体を動かして、仕事終わりにこの一杯。

しかも夢にまでみた防衛機構でモンスターを倒して、少しだけど世の中の役に立ててるだろうし、給与もアップした。

これ以上は望むべくもないけど、ほろ酔い気分で今日の事を思い返してみる。ゴブリンもウルフハウンドもそれほど強い感じでもなかったし自分なりにうまくやれている感覚もある。

そういえば喜田さんにインタビューされたけど、えぐられたところが少しだけ痛む。

若くてきれいな人にインタビューされるとなお更だ。

結婚なんて高望みはしないけど、これで一緒にお酒を飲んでくれる彼女とかいたら最高だろうな。

いや、そんな夢みたいなことがあるはずないのはわかってるけど、すべてが変わった今ならなんて。

身体が疲れてて少し酔ってしまったかな。

いつになく感傷的になってしまった。

あまり気にするのもよくないと思い、ほろ酔いのまま眠ってしまう。


「う~ん、あれ……。いたい」


もう朝か。よく寝た。

やっぱり初めてのダンジョンで疲れてたんだな。


「これって」


目を覚まして身体を動かそうとすると全身が痛む。

これはあれか。昨日の身体強化の反動か。

だけど、最初に身体強化を使って戦った後は、痛いには痛かったけどここまでじゃなかった。

なんでだ?

もしかして……。

これが世にいう老化⁉

もしかして筋肉痛が日を置いて襲ってくるというあれか?

いや、でも本当に痛いし、実際にこうなるとショックはでかい。

自分がオッサンだという自覚はあるけど身体もか。

今までの運動不足が完全にたたってる。

隊の人たちはみんな20代だ。

何もせずに同じにやっていけると思ったのが間違いだった。

俺は、大いに反省し、身体を無理やり起こしてから運動を日課とすることを決意した。

いきなりジムとかいくのはハードル高いし、まずはジョギングとかからだな。

もちろんジョギングシューズなんか持ってないので、お昼からスポーツ用品店に向かい、それっぽいウェアと店員さんに勧められたシューズを買った。

さすがに今日は身体が痛いので明日の朝からかな。

スポーツ用品店の店員さんが妙にフレンドリーな感じだった気がするけど、知らない人だったし、親切な人だっただけだよな。

馴染みのないスポーツ用品店だったし、親切な人に担当してもらえてラッキーだったな。

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