第2話 わたくし、なんでもやります
リイン・ルーベカ。海外の探検家でありながら、大富豪である。なんでも未発見の宝石や生物を次々に見つけ出し、それを公表しては大金を稼いでいるらしい。 ちなみに名称はリイン・ストーン、リイン・インセクト。……あまりに自己主張が強すぎる。
そんなリインは突如、日本へと移り住んできて豪邸を建てた。
……とあるメイドの噂を聞いたから、である。
◇◇◇
都心にドンと居を構えている、大理石を基調としたリイン邸。
そんな
「やぁやぁ月夜くん! 昨日は何件、こなして来たのかな!?」
アンティーク調のソファーに深々と腰を掛け、偉そうに足を組んだ探偵のような服装をした金髪の人間。――この家の主にして探検家のリイン・ルーベカ、その人である。彼か、彼女かは……不明。
「254件です、
ルーベカの問いに対して月夜は表情一つ変えずに、報告をする。
「あっは! 最高記録じゃあないか! いやー、君を雇って正解だったよ。僕の目に狂いはなかった」
リインは手を叩きながら笑って、そう言った。
「有難うございます。お褒めの言葉を
月夜はゆっくりと頭を下げる。
「しかし毎日、よく働いているよ。尊敬するね。いやいや、本当に。……だが、飼い犬のようだとは思わないのかい?」
本当にそう思っているのか、と誰が見てもそう思うであろう
「
特例指定国務。自国の中でも特に優れた能力を総合的に有した人間には年齢を問わず強制的に政府から雇用され、なんでも屋のような仕事を押し付けられる。……本当に、なんでも――。
しかし、そこに待ったをかけたのがリイン・ルーベカ。「それでは非効率だろう? 私ならもっと上手くやれる」といって持ち得る限りの財力を全て
月夜は顔を上げて。
「……いえ」
「
それを聞いて突然
「………………」
「……主様?どうなさいまし――」
月夜が心配して声をかけようとした、その時。
「アッハハハハハ!!! 君はやっぱり面白い!」
探検家らしい、
「いやー、ありがとう。君と話していると飽きないよ。さぁ、報告は終わったんだから行くといい。忙しかろう」
リインは、さぁ行った行ったと手を扉に向かって突き出す。
「……では、失礼します」
月夜は
「君には期待しているよ」
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