第6話ーゲーム開始


「神がゲーム配信えぇ……」


「何さ!今は多様性の時代だよ?神だってゲーム配信くらいするさ!!」


 ((((多様性って便利だなぁ……))))


「そんなことより、私達は一体どんなゲームをさせられるのかしら?」


 やはり綾華。

 全員が気になっていたゲームの内容をスパッと聴く。


「君たち、ディテクティヴ・タイムズって謎解きゲーやる予定だったでしょ?だから、ボクが夜鍋して作った謎解きをして貰おうかな?って……」


「それならあたし達がゲームをやってる所を、神の力か何かで見てれば良かったんじゃ……?」


「それも良いんだけどさ……どーせなら自分も何かしら関わりたくない?どーせなら野球みたいに、特等席で観戦したくない?テレビで見るより現地で観たいじゃん?」


「めっちゃ分かるけども」


「そうだろ?……って、関係ない話が長引いちゃったね。それじゃあゲームの説明をしようか。謎解きは二つ。一つ目は比較的簡単な奴。そして二つ目は殺人事件をテーマにしたそこそこ難易度のある奴。この二つを見事!クリアすることが出来たら!!神であるボクから、ロマン溢れるプレゼントを上げよう!さぁ、プレイヤー諸君。何か質問はあるかい?」


 ゲームでの謎解きは二つ。

 その二つの謎を解いたらクリア。

 クリアしたらプレゼントを貰える。

 そして質問タイム……。

 正直な話、したい質問が多すぎて困る……が。


「じゃあ質問。この二つがクリア出来なかったらどーなるんだ?」


「特に無いよ?君たちならクリア出来る……そう思ってるからね!まぁ、分かんなくて慌てふためいてたら創作者冥利には尽きるけどねぇ。でも……もし、クリア出来なかったら……それは君たちがその程度って事だよね!」


 自他ともに認めるゲーマー相手に、こと、ゲームに置いて、「その程度」などという煽りを入れる事の重みを分からせてやるよ……と、心の内でひしひしと感情を燃やしていた。


「ふ、ふーん……言ってくれるじゃん」


 蒼がメラメラと燃えていると、隣に座ってる陽葵が手を挙げて質問した。


「じゃあ、あたしからも質問。ゲームが長引いた時、親が心配して強制シャットダウンしちゃったらどうなるの?」


「確かに、それ僕も気になってた」

 

「強制シャットダウン?なんの事だい?」


「だってさ。これってゲームで、あたし達の身体は家のベッドじゃないの?」


「君たちの身体はここに在るじゃないか?」


 神が放った、たった一言。

 その一言が四人の認識を変えた。


「「「「は?」」」」


「ここはゲーム世界じゃなくて、現実世界だよ?そして君たちの身体も、アバターじゃなくて現実のモノさ。実際君たち目が痛くて、陸にあげられた魚より酷いことになってたじゃん」


「「「「たしかに……」」」」


「でも、どうやって俺達をここに連れて来たんだ?しかもゲームの最中に……」


「神だから何でも出来るよ?出来ない事のが少ないさ。ちなみに、ここは君たちが居た時空とは違くてね……ボクが作った全く別の時空だから、ボクたちが今居るこの時空にどれだけ居ても、君たちが居た時空では時間が進ま無いんだよ」


「やってること別次元の誘拐じゃん……」


「ゲームが終わったら帰すから許してぇ……てか、もうそろ質問は大丈夫そう?」


「うん、大丈夫」


「OK!じゃあゲームスタート!!」


 神が指をパチンッ!と鳴らすと四人の周りに薄らと光が漂う。


「ちょっと待って!!あなた、何て名前の神なのよ?神なら名前の一つや二つ位あるんでしょ?」


「ほほう、いい質問だ……。ボクの名は、万物を司りし魔王アザトースの息子が一人、トリックスターのニャルラトホテプです。どうぞ、以後お見知り置きを」


 自分の名前をニャルラトホテプだと言ったソイツはニヤリとした笑みを零し、その目には深淵とも呼べる闇が蠢いていた。


「じゃ!楽しんでねっ!」


 ニコリとした笑顔で手を振る神の姿は、薄らとした光に包まれて消え……気づいた時、知らない部屋に居たのだ。

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