鉱石研磨が趣味なおっさんは、異世界で石を磨きながらスローライフを楽しむ事を決意する

第75話

おっさんドワーフ達がトマトで大はしゃぎしている間、大麦パンを薄くスライスしたものにブロッコリーペーストとマッシュポテトをたっぷり塗ったものを食べることにした。小鍋に残っていたトマトソースも添えたら三色トッピングなパンの出来上がり。うん、大三元（だいさんげん）だ。この世界に麻雀があるかは不明。

そんな食べ方をしていたのをファイン=ロックさんに見つかってしまった。ファイン=ロックさんは「俺はこうするぞ！！」とかなんとか言いながら、パンでマッシュポテトと【空（から）茄子】の肉詰めを挟んでいた。サンドイッチではなくバーガー的な方ね。

「【樹樹（じゅじゅ）菜】のペーストに油と岩塩を足した物ってこんなに美味かったの！？芋とかパンに凄く合うよ。もう少し植えた方がいいのかな…」

マリイン=リッジさん、作付けを増やさなきゃいけないのはブロッコリーではなくてトマトです。下手をしたらここの畑が全面トマト畑になるかもしれない……。

「儂は【血祭り（ブラッディ・フェスタ）】より【血の海（ブラッディ・オーシャン）】が好みじゃな」

パイク=ラックさん！それは単にカクテルベースに使うアルコールを冷やすか冷やさなくていいかの理由だけで選んだのでは？

【赫（あか）茄子】が無ければ【リモー】を使えばいいじゃない！　という訳で、リンド=バーグさんが【生命之水（蒸留酒）】を飲みながら【リモー】をかじり始めた。マリイン=リッジさんはどこから出したか【シークワ】を絞ってエールを割ってるし。

「ミーシャ、散々飲んだ後で悪いんだが……、明日の夜も宴会になるハズだ。朝になってからでいいから料理の仕込みをしてくれないか？メインはこの前食べた芋麺料理と【渓流鰮】のヒレ酒にしてくれ。肉が要るなら、猪肉の残りと兎肉に山鳩肉、全部使って構わない。この前の５割増程度の量になるだろうから、芋麺作り以外でも手伝いがいるなら言ってくれ」

「はい、分かりました。審査官の方に出す料理ですね。でも、随分多く作る様な……」

「そりゃあ、最低でも三人は来るからな」

「えっ！？審査官さんって一人じゃないんですか？」

「審査官は一人だ。後はこの集落の交代要員が来るんだ」

「交代要員？」

「ミーシャを『ビレッジアップ』経由で『スワロー』まで連れて行くメンバーの交代要員だよ。ミーシャを一人で行かせられないだろ？　ここは最低人数で運営してるからな。六人居ないと防衛やら何やらが回らないんだ」

あ、そう言う事か。納得。

「あー、俺が引率したいな」

「マリイン=リッジ、お前は【赫（あか）茄子】の増産要員だろ」

「え゛〜〜」

まさか客人が最低三人だなんて。そしてマリイン=リッジさん、トマト栽培頑張って下さい。

「あの…お肉を使った料理も作っていいんですよね？」

「ミーシャ、また何か企むつもりか？」

「えっ！？」

「今のミーシャは悪い笑顔を浮かべておるからのう…」

「えへへへ……」

いかん、酢豚と餃子の妄想が漏れたな。