第55話
『関所の集落(仮)』の食事改革というかパイク=ラックさんに野菜を喰わせる計画がいきなり始まった。先ずは食材確認という事でマリイン=リッジさんの管理する畑を見学する事になった。集落内の端っこ、ギリギリ外には出ていないのでセーフ。整然と畝が列をなす管理された畑だ。
「男が六人しかいないし、ジジイは野菜食わないし…だから、あまり耕作面積が広くないんだ。俺としては物足りないんだけどね。足りない野菜や芋類や大麦は運んでもらえばいいから、ここの野菜が拒絶されても食う物には困ってないよ」
で、パッと見で分かる範囲に植えられてるのは、【
「栄養はあるけどイマイチ人気のない野菜ばっかりじゃないですか」
折角だからちゃんと確認してみることにする。それこそ前世と旬が違うかもしれないしね。
「あっ、【
「【
どうも旬とかは関係なしで節操ないって感じに見える。まぁ、前世でもハウス栽培された野菜が通年で出回ってたけれども。
「ミーシャ、何かいい料理が思い付いた?」
まぁ、簡単に作れる料理はあるけど。完熟トマトがあるならアレ一択しかない。パパラパッパパ〜 「レッド・アイ〜!!(ダミ声)」 そう、トマトジュースをビールで割った
そしてブロッコリーがあるならアレがやりたい。生前、国営放送の番組で見た記憶のある『丸ごとブロッコリーを皿に立てた』あの料理を!! 流石に若干のアレンジはするつもりだけどね。
それより、さっきからパイク=ラックさんのことを「ジジイ」呼ばわりしちゃってるのって大丈夫なんですか?パイク=ラックさんって敬意対象ですよね?
ドワーフという生き物は、老ドワーフに対して敬意を払うのが常識だ。長く生きている事はそれだけ多くの知識と技術をその身に貯め込んできているという理由だからで、200歳を超えているドワーフは敬意対象、250歳を超えているドワーフは礼賛対象、そして滅多にいない300歳超えは崇拝対象と呼ばれたりしている。
で、魔石滓騒動で昇天しかけたパイク=ラックさんは200歳超えなので敬意対象ドワーフ。間違っても目の前で「ジジイ」とかと呼びかけてはいけない。
「あ、それね。あの
パイク=ラックさんにそんな過去が……。でも、マリイン=リッジさん、パイク=ラックさんを「ジジイ」呼ばわりするのはやっばりダメだと思います。そんな話を聞きながら作る料理を思い浮かべる。
「マリイン=リッジさん、何品か作ってみたい料理が浮かびました。ここの野菜を収穫してもいいですか?」
新鮮な【
――――――――――
(表記変更)
(前) ビールをトマトジュースで割った
(後) トマトジュースをビールで割った
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます