第三章: 「封印の儀式」

満月の夜、正隆と玲子は、古い文献に記された通りの道具を揃え、寺院の本堂に集まった。彼らは文書の指示に従って祭壇を設け、儀式の準備を整えた。静寂が辺りを包み、空気が張り詰める中、二人は深い息をついて儀式を開始した。


正隆が呪文を唱え始めると、本堂の空気が重くなり、微かな囁き声が耳元で響き始めた。玲子は祭壇の前で古びたお守りを握りしめ、緊張しながらも正隆の呪文に合わせて祈りの言葉を唱えた。


「古の霊よ、我が声を聞き、悪しきものを封じ込め給え…」


突然、周囲の温度が急激に下がり、正隆は背筋に冷たい汗が流れるのを感じた。彼は恐怖を感じながらも、楠本正隆の遺志を継ぐために呪文を続けた。玲子もまた、強い決意を持って儀式を進めた。


「我らが意志を示し、封印を再び強固にせん…」


その時、本堂の奥から不気味な影が浮かび上がり、二人に向かってゆっくりと近づいてきた。影はまるで生きているかのように動き、冷たい風が吹きつけた。正隆は一瞬怯んだが、玲子の落ち着いた声に励まされて再び呪文を唱え続けた。


影が二人に迫る中、祭壇の上の古い巻物が淡い光を放ち始めた。その光が影に触れると、影は一瞬後退したが、再び強力な力で二人に襲いかかろうとした。正隆と玲子は必死に耐えながら、儀式の最終段階に入った。


「光の守り手よ、我らの力を貸し、この地を浄化せよ!」


最後の呪文を唱えると、祭壇から強烈な光が放たれ、本堂全体を包み込んだ。影は光に触れた瞬間に消え去り、冷たい風も止んだ。静寂が戻り、二人は息をついた。


「やった…本当にやったんだ…」正隆は息を切らしながら言った。


玲子も安堵の表情を浮かべ、「封印は再び強化されたわ。でも、これで全てが終わったわけじゃない。私たちがこの場所を守り続けることが必要よ。」と応えた。


その瞬間、楠本正隆の霊が再び現れ、微笑みを浮かべながら二人に向かって言った。「あなたたちの勇気と決意に感謝する。私の使命は終わった。これからはあなたたちがこの地を守るのだ。」


霊は徐々に消え去り、最後に一言だけ残した。「西海正隆、あなたの道はこれからも続く。誇りを持って生きなさい。」


正隆は静かに頷き、玲子と共に寺院を後にした。二人は新たな使命を胸に、次なる冒険に備えることを決意した。



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